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第2章 「俺の【成り上がり】編」(俺が中二で妹が小四編)
第41話 俺は蘭子さんと開脚ゲームをした
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五分ほど失神していた俺は、伯父さんに介抱されていた。
蘭子さんから十戦目の解説を訊くと、体力がやばかったのは事実だが、俺の攻撃を捌けなくなりガードに切り替えたのは、体力が尽きたからではなく、俺が勝負に出るのを誘ったのだと言う。
まんまと引っかかった俺は勝負を決めるべく、渾身の【四大元素】を込めて振りかぶってしまったのだ。その隙を狙っていた蘭子さんは、カウンターで後ろ回し蹴りを合わせたらしい。
俺はまともに食らって失神して、今に至る。
「成長しているのは認めるが、過信はするな。戦闘系の【逆徒】と戦って命を落とした者もいるからな……」
「え……?」
「御伽原、お前……」
蘭子さんは物憂げな表情を見せたが、それがどういうことか俺にはわからなかった。おそらく【逆徒】と戦って死んだ人も少なからずいるのではないかと、俺は注意喚起として受け取った。
場の雰囲気が暗くなりかけるが、伯父さんがそれを打ち消すように高らかに宣言した。
「こんな時はゲームだ! ゲーム! はーい、じゃあ開脚ゲームをしまーす!」
「伯父さん!?」
「勝ったのはあたしだが?」
「堅いこと言うなよ、御伽原。E級の隼人がここまで頑張ったんだ。ご褒美くらいあげてもバチは当たらんだろう」
「お前がバチに当たってしまえ……、まぁ、今回は特別だ。少しなら付き合ってやる」
「いぇーい!」
あれ? 俺が負けたのにゲームをやる流れに……。というか伯父さん、開脚ゲームって何?
俺が困惑していると、察した伯父さんがルール説明をする。
ゲーム開始時は全員両足を閉じて直立をする。そして順番に指定された間隔で両足を開いていく。バランスを崩してしまったほうが負けらしい。
伯父さんがタブレットを操作して、俺たちに見せてくれる。
「両足を何センチ開くかは、このアプリで決める。このアプリはランダムで1から30までの数字が表示される仕組みだ。例えば8が出たら、八センチ足を開くって具合だ。説明はオッケー?」
「何だ、ただの股裂きか。そんなゲームがやりたかったのか?」
「御伽原、俺を誰だと思っている。組織随一の【異能】研究のスペシャリストだぞ? 模擬戦のあとはしっかり、クールダウンしなきゃダメだ。これはゲームと銘打っているが、訓練同様真剣に取り組んでもらいたい。隼人もわかったな?」
「は、もっともらしく言うじゃないか」
「あ、ああ。わかったよ、伯父さん」
伯父さんがいつになく真剣な表情で、これは訓練の一環だと主張した。そしてポケットからメジャーを三個取り出して、それぞれの足下に伸ばした状態で配置していく。メジャーは二メートルまで表示されている。
もし百八十度の開脚ができても、俺たち三人の身長じゃ誰もニメートルには届かないだろうが……。
蘭子さんはやれやれという風に鼻で笑うと、伯父さんの説明どおりの姿勢をとった。俺も慌てて蘭子さんに続く。
「準備はできたな? それではまず俺からだ。アプリをタップして……と」
伯父さんはタブレットを操作して、アプリに表示された数字を見せてくれた。タブレットの画面には、30と数字が表示されている。
いきなり最大値かよ……。
伯父さんは「なんてこった!?」と、大袈裟な仕草で頭を抱えている。
「仕方ない。じゃあ俺は今から三十センチ足を開く。見ててくれ。はい、三十センチ!」
三人とも近距離で向かい合っているので、誤魔化しようがない。伯父さんはきっちり三十センチ足を開いた。伯父さんは「次は御伽原な」と、アプリを操作して、蘭子さんが十五センチ、俺が四センチ足を開いた。
一巡目で結構差が出たな。これ、後半になると踏ん張るのもキツそうだ。アプリを使っているから、星川先輩とのツイスターゲームの時みたいに出目を【四大元素】で操作するのは無理だし、完全に運ゲーだな。
以降も順番にアプリでランダムに指定された数字に従っていく三人。六順目にして最初の脱落者が出た。
「ああああっ! 足がつ、吊るぅ……! あー、もうダメだっ!」
六巡目までの合計が百五十二センチだった伯父さんは、足を開いたままコテンとひっくり返った。
俺と蘭子さんは同時に失笑した。
「あー、俺はリタイアだ。なのでここからは審判に徹するとしよう」
続いて蘭子さんは十七センチ――ここまでの合計で百四十六センチ――、俺は六センチ――ここまでの合計で百三センチ――足を開く。
俺も蘭子さんもまだまだ余裕の表情だ。俺はともかく蘭子さんは結構キツいと思うのだが、意に介さず涼しい顔をしている。
「次はあたしか。進藤、数字を出してくれ」
「はいはい。ポチッとな。ん……、いい目が出たな」
伯父さんが笑みを浮かべながら示したタブレットには、30と表示されていた。
流石に蘭子さんでも合計百七十六は無理だろう。俺の勝ちで開脚ゲームは終了だと思った。
「三十センチか。これで足りるか?」
すると、蘭子さんは足を更に開いて、ストンと床にお尻をくっつけた。百八十度の開脚だ。
そう言えば、蘭子さんって足技が得意だよな。いつも蹴り技使ってるし……。だから柔軟性があるのか。
「蘭子さんすげー!? こんな開脚初めて間近で見ましたよ!」
「そうか? 百七十六はクリアしたか?」
「あ! 伯父さん早く測って!」
「ああ、今確認する。…………ふむ、ジャスト百七十六センチだ」
俺に急かされてメジャーの目盛りを読んだ伯父さんが、「やるなー」などと言いながらタブレットを操作しつつ蘭子さんの後方に歩を進めた。
お、伯父さん……まさか!?
俺は伯父さんの意図を察して、蘭子さんに注文をつけてみる。
「マジか!? 蘭子さんもしかして、その状態で体をペタッて床につけたりできます?」
「簡単だ。ほら」
「うおー! マジですげぇ!」
弾力のあるおっぱいが床に押しつぶされている。なんという眺め。
見事な開脚前屈だった。蘭子さんの上半身は床に張り付くようにくっついていた。
そして、蘭子さんの後方では腹ばいになった伯父さんが、タブレットを構えていた。
あー、伯父さんアレ録画してるわ……。……あとでデータもらおう。
伯父さんの最低な行為に便乗する俺だった。
伯父さんは最初からこれを狙っていたのだ。順番も重要で自分がまずリタイアし、自由に動ける審判になる。そうして蘭子さんに百八十度の開脚をさせる。もし俺が二番手だったなら、俺がリタイアした時点でゲームは終わってしまうから、三番手にしたのだろう。ついでに言うなら、あのアプリはおそらく伯父さんの自作で、出目もコントロールできたに違いない。そこまで思考して、伯父さんの考えを読めてしまう俺が嫌になった。
「次は隼人の番だ。進藤数字を出してやれ」
「はぁ、はぁ……」
「……進藤? 何してる?」
「はぁ、はぁ……」
「おい、隼人。進藤はあたしの後ろで何をしている? 言え」
「あ……」
蘭子さんが伯父さんの異変に気づいた。しかし蘭子さんの位置からじゃ、伯父さんの姿は見えない。そして、俺に白羽の矢が立ったのだ。
俺の目には伯父さんが何をしているのか、ハッキリと見える。というか、伯父さんが何をしているのか言うのか? 蘭子さんに言ってしまうのか?
俺が言いよどむのに何かを察した蘭子さんは、舌打ちをしてから口を開いた。
「お前たち、何か隠しているな? どうせくだらないことだろう? ……もういいゲームは終わりだ」
「あ、ちょっと待ってくださ……!」
俺が制止するのを待たずに、蘭子さんが上半身を起こして開脚したまま後ろを振り返った。俺は「終わった……!」と、自分の目を手で覆う。
蘭子さんは一瞬固まったようだった。そりゃあそうだろう。伯父さんに股間を近距離から録画されていたのだから……。
伯父さんは録画に夢中で、心ここにあらずだ。
「はぁ、はぁ、これがっ……御伽原のっ……! …………え?」
「この変態が! お前というヤツは!」
蘭子さんの蹴りがタブレットごと、伯父さんの顔面にめり込んだ。
「あっ! あがっがあっ……!」
伯父さんはタブレットを大事に抱え直すと、片手で顔を押さえて転がった。蘭子さんは立ち上がり、伯父さんの手からタブレットを取り上げる。
「おい、進藤。【録画中】と画面に出ているが? 言い訳はあるか?」
「なっ!? い、いや……お前の蹴りで【録画】モードになってしまったのか……」
「そうか。それならタブレットの画像と動画データは消しても問題ないな」
「や、止めろ! そ、それは俺の研究データが詰まった大事なものだ! 勝手に触るな! おい、待て……!」
「もう消した」
「お、おま……!? ……そ、そんな殺生なっ!? この人でなし!」
どっちがだよ……。伯父さんはまったくブレない。
結局、俺も同罪ということにされて、伯父さんと一緒に腕立てや腹筋、スクワットなどをひたすらやらされた。体力のない伯父さんは悲惨で、開始三分で弱音を吐いていた。
「誰が休んでいいと言った。お前の頭の中から性欲が消えてなくなるまで、とことんトレーニングに付き合ってやる」
「お、御伽原……! 勘弁してくれ……、もう腕がプルプルと痙攣して……」
あー……これは、明日筋肉痛確定だな。おかげで今夜はぐっすり眠れそうだ。菜月と食後の遊びもできそうにない。自業自得というやつか。
予定では明日、葛葉さんと模擬戦をしたかった。だけど、葛葉さんにはまだ言っていない。それを話すと蘭子さんが葛葉さんに電話をかけてくれた。
「今からでもいいと言ってるが?」
「いや、流石に今日は……」
蘭子さんと模擬戦を十戦して筋トレしたあとに、葛葉さんと模擬戦する気力は残っていなかった。それに時刻は午後六時半だ。もう家に帰らないといけない。
俺が可能なら明日にして欲しいと言うと、蘭子さんは葛葉さんにそう伝えてくれた。
連勝記録は五でストップか……。初めての敗北だった。だけど、この屈辱は絶対リベンジしてやる!
これで模擬戦五勝一敗。
蘭子さんから十戦目の解説を訊くと、体力がやばかったのは事実だが、俺の攻撃を捌けなくなりガードに切り替えたのは、体力が尽きたからではなく、俺が勝負に出るのを誘ったのだと言う。
まんまと引っかかった俺は勝負を決めるべく、渾身の【四大元素】を込めて振りかぶってしまったのだ。その隙を狙っていた蘭子さんは、カウンターで後ろ回し蹴りを合わせたらしい。
俺はまともに食らって失神して、今に至る。
「成長しているのは認めるが、過信はするな。戦闘系の【逆徒】と戦って命を落とした者もいるからな……」
「え……?」
「御伽原、お前……」
蘭子さんは物憂げな表情を見せたが、それがどういうことか俺にはわからなかった。おそらく【逆徒】と戦って死んだ人も少なからずいるのではないかと、俺は注意喚起として受け取った。
場の雰囲気が暗くなりかけるが、伯父さんがそれを打ち消すように高らかに宣言した。
「こんな時はゲームだ! ゲーム! はーい、じゃあ開脚ゲームをしまーす!」
「伯父さん!?」
「勝ったのはあたしだが?」
「堅いこと言うなよ、御伽原。E級の隼人がここまで頑張ったんだ。ご褒美くらいあげてもバチは当たらんだろう」
「お前がバチに当たってしまえ……、まぁ、今回は特別だ。少しなら付き合ってやる」
「いぇーい!」
あれ? 俺が負けたのにゲームをやる流れに……。というか伯父さん、開脚ゲームって何?
俺が困惑していると、察した伯父さんがルール説明をする。
ゲーム開始時は全員両足を閉じて直立をする。そして順番に指定された間隔で両足を開いていく。バランスを崩してしまったほうが負けらしい。
伯父さんがタブレットを操作して、俺たちに見せてくれる。
「両足を何センチ開くかは、このアプリで決める。このアプリはランダムで1から30までの数字が表示される仕組みだ。例えば8が出たら、八センチ足を開くって具合だ。説明はオッケー?」
「何だ、ただの股裂きか。そんなゲームがやりたかったのか?」
「御伽原、俺を誰だと思っている。組織随一の【異能】研究のスペシャリストだぞ? 模擬戦のあとはしっかり、クールダウンしなきゃダメだ。これはゲームと銘打っているが、訓練同様真剣に取り組んでもらいたい。隼人もわかったな?」
「は、もっともらしく言うじゃないか」
「あ、ああ。わかったよ、伯父さん」
伯父さんがいつになく真剣な表情で、これは訓練の一環だと主張した。そしてポケットからメジャーを三個取り出して、それぞれの足下に伸ばした状態で配置していく。メジャーは二メートルまで表示されている。
もし百八十度の開脚ができても、俺たち三人の身長じゃ誰もニメートルには届かないだろうが……。
蘭子さんはやれやれという風に鼻で笑うと、伯父さんの説明どおりの姿勢をとった。俺も慌てて蘭子さんに続く。
「準備はできたな? それではまず俺からだ。アプリをタップして……と」
伯父さんはタブレットを操作して、アプリに表示された数字を見せてくれた。タブレットの画面には、30と数字が表示されている。
いきなり最大値かよ……。
伯父さんは「なんてこった!?」と、大袈裟な仕草で頭を抱えている。
「仕方ない。じゃあ俺は今から三十センチ足を開く。見ててくれ。はい、三十センチ!」
三人とも近距離で向かい合っているので、誤魔化しようがない。伯父さんはきっちり三十センチ足を開いた。伯父さんは「次は御伽原な」と、アプリを操作して、蘭子さんが十五センチ、俺が四センチ足を開いた。
一巡目で結構差が出たな。これ、後半になると踏ん張るのもキツそうだ。アプリを使っているから、星川先輩とのツイスターゲームの時みたいに出目を【四大元素】で操作するのは無理だし、完全に運ゲーだな。
以降も順番にアプリでランダムに指定された数字に従っていく三人。六順目にして最初の脱落者が出た。
「ああああっ! 足がつ、吊るぅ……! あー、もうダメだっ!」
六巡目までの合計が百五十二センチだった伯父さんは、足を開いたままコテンとひっくり返った。
俺と蘭子さんは同時に失笑した。
「あー、俺はリタイアだ。なのでここからは審判に徹するとしよう」
続いて蘭子さんは十七センチ――ここまでの合計で百四十六センチ――、俺は六センチ――ここまでの合計で百三センチ――足を開く。
俺も蘭子さんもまだまだ余裕の表情だ。俺はともかく蘭子さんは結構キツいと思うのだが、意に介さず涼しい顔をしている。
「次はあたしか。進藤、数字を出してくれ」
「はいはい。ポチッとな。ん……、いい目が出たな」
伯父さんが笑みを浮かべながら示したタブレットには、30と表示されていた。
流石に蘭子さんでも合計百七十六は無理だろう。俺の勝ちで開脚ゲームは終了だと思った。
「三十センチか。これで足りるか?」
すると、蘭子さんは足を更に開いて、ストンと床にお尻をくっつけた。百八十度の開脚だ。
そう言えば、蘭子さんって足技が得意だよな。いつも蹴り技使ってるし……。だから柔軟性があるのか。
「蘭子さんすげー!? こんな開脚初めて間近で見ましたよ!」
「そうか? 百七十六はクリアしたか?」
「あ! 伯父さん早く測って!」
「ああ、今確認する。…………ふむ、ジャスト百七十六センチだ」
俺に急かされてメジャーの目盛りを読んだ伯父さんが、「やるなー」などと言いながらタブレットを操作しつつ蘭子さんの後方に歩を進めた。
お、伯父さん……まさか!?
俺は伯父さんの意図を察して、蘭子さんに注文をつけてみる。
「マジか!? 蘭子さんもしかして、その状態で体をペタッて床につけたりできます?」
「簡単だ。ほら」
「うおー! マジですげぇ!」
弾力のあるおっぱいが床に押しつぶされている。なんという眺め。
見事な開脚前屈だった。蘭子さんの上半身は床に張り付くようにくっついていた。
そして、蘭子さんの後方では腹ばいになった伯父さんが、タブレットを構えていた。
あー、伯父さんアレ録画してるわ……。……あとでデータもらおう。
伯父さんの最低な行為に便乗する俺だった。
伯父さんは最初からこれを狙っていたのだ。順番も重要で自分がまずリタイアし、自由に動ける審判になる。そうして蘭子さんに百八十度の開脚をさせる。もし俺が二番手だったなら、俺がリタイアした時点でゲームは終わってしまうから、三番手にしたのだろう。ついでに言うなら、あのアプリはおそらく伯父さんの自作で、出目もコントロールできたに違いない。そこまで思考して、伯父さんの考えを読めてしまう俺が嫌になった。
「次は隼人の番だ。進藤数字を出してやれ」
「はぁ、はぁ……」
「……進藤? 何してる?」
「はぁ、はぁ……」
「おい、隼人。進藤はあたしの後ろで何をしている? 言え」
「あ……」
蘭子さんが伯父さんの異変に気づいた。しかし蘭子さんの位置からじゃ、伯父さんの姿は見えない。そして、俺に白羽の矢が立ったのだ。
俺の目には伯父さんが何をしているのか、ハッキリと見える。というか、伯父さんが何をしているのか言うのか? 蘭子さんに言ってしまうのか?
俺が言いよどむのに何かを察した蘭子さんは、舌打ちをしてから口を開いた。
「お前たち、何か隠しているな? どうせくだらないことだろう? ……もういいゲームは終わりだ」
「あ、ちょっと待ってくださ……!」
俺が制止するのを待たずに、蘭子さんが上半身を起こして開脚したまま後ろを振り返った。俺は「終わった……!」と、自分の目を手で覆う。
蘭子さんは一瞬固まったようだった。そりゃあそうだろう。伯父さんに股間を近距離から録画されていたのだから……。
伯父さんは録画に夢中で、心ここにあらずだ。
「はぁ、はぁ、これがっ……御伽原のっ……! …………え?」
「この変態が! お前というヤツは!」
蘭子さんの蹴りがタブレットごと、伯父さんの顔面にめり込んだ。
「あっ! あがっがあっ……!」
伯父さんはタブレットを大事に抱え直すと、片手で顔を押さえて転がった。蘭子さんは立ち上がり、伯父さんの手からタブレットを取り上げる。
「おい、進藤。【録画中】と画面に出ているが? 言い訳はあるか?」
「なっ!? い、いや……お前の蹴りで【録画】モードになってしまったのか……」
「そうか。それならタブレットの画像と動画データは消しても問題ないな」
「や、止めろ! そ、それは俺の研究データが詰まった大事なものだ! 勝手に触るな! おい、待て……!」
「もう消した」
「お、おま……!? ……そ、そんな殺生なっ!? この人でなし!」
どっちがだよ……。伯父さんはまったくブレない。
結局、俺も同罪ということにされて、伯父さんと一緒に腕立てや腹筋、スクワットなどをひたすらやらされた。体力のない伯父さんは悲惨で、開始三分で弱音を吐いていた。
「誰が休んでいいと言った。お前の頭の中から性欲が消えてなくなるまで、とことんトレーニングに付き合ってやる」
「お、御伽原……! 勘弁してくれ……、もう腕がプルプルと痙攣して……」
あー……これは、明日筋肉痛確定だな。おかげで今夜はぐっすり眠れそうだ。菜月と食後の遊びもできそうにない。自業自得というやつか。
予定では明日、葛葉さんと模擬戦をしたかった。だけど、葛葉さんにはまだ言っていない。それを話すと蘭子さんが葛葉さんに電話をかけてくれた。
「今からでもいいと言ってるが?」
「いや、流石に今日は……」
蘭子さんと模擬戦を十戦して筋トレしたあとに、葛葉さんと模擬戦する気力は残っていなかった。それに時刻は午後六時半だ。もう家に帰らないといけない。
俺が可能なら明日にして欲しいと言うと、蘭子さんは葛葉さんにそう伝えてくれた。
連勝記録は五でストップか……。初めての敗北だった。だけど、この屈辱は絶対リベンジしてやる!
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