上 下
8 / 53
第1章 「俺の【四大元素】編」(俺が中一で妹が小三編)

第8話 俺はプールで学校一の美少女の水着姿をガン見した

しおりを挟む
 そのあとは、また三人で泳いだり、水のかけ合いをして遊んだ。
 市民プールだから、ウォータースライダーとかないんだよな……。三人で滑ってみたかったが。
 一時間ほど遊んで、一旦休憩することにした。

「お兄ちゃん。私喉渇いちゃった。ジュース買ってきていい?」
「にゃはは。流石に私も疲れたー。コーラ飲みたい」
「俺もそう思ってたところだから、腹も減ったし食事にするか」

 俺は更衣室に財布を取りに行って戻る。

「お兄ちゃんは座ってていいよ。私とマイちゃんで買ってくるよ」
「大丈夫か?」
「にゃはは。お兄さんは休憩しててよ」

 二人で売店に行くと言うので、俺は財布から三千円を出して菜月に渡した。
 俺はその場であぐらをかいて、ふたりの背中を見送った。
 いやー。思ってた以上に楽しいな。夏休みの前半を病院で過ごしたのが悔やまれる。来年は週三ぐらいでプールに来たいなあと考えていると、突然背後から声をかけられる。

「あ、櫛木くん!?」
「え……? あっ!?」

 振り返った俺の目の前には、天使がいた。
 もとい、学校一の美少女と言っても過言ではない、サッカー部のマネージャー椎名先輩だ。キラキラと輝いて見える。眩しすぎるぜっ!
 チャームポイントの腰まで伸びたストレートの黒髪は健在だ。揺れる黒髪からは、何だかいい香りがする。
 白く透き通った肌に、白のビキニがよく似合っていた。

 おおうっ! これは……何のご褒美だ? 俺は明日死ぬのかな?
 しかし目のやり場に困るな。滅多にない機会だから、目に焼き付けておきたいが流石にそれはな……。
 俺が伏し目がちに椎名先輩の足をみていると、椎名先輩が近寄ってきた。

「櫛木くんも、ここへ遊びに来てたんだー?」
「あ、はい。椎名先輩も……ですか?」
「うん。ちょっと知り合いの人に誘われて……ね」

 うん? 何だか語尾を濁したような……。まさか、彼氏と来ましたーなんてオチじゃないだろうな。だとしたら俺は泣くぞ!

「知り合い……ですか? 彼氏さんとかだったりして……」
「もう! 何言ってるのよー。そんなわけないでしょ。櫛木くんは……ひとりで?」
「いや、それは流石に痛すぎるでしょ。妹と妹の友達を連れて来てます。まあ、引率みたいなもんです」

 嘘は言ってないぞ。
 椎名先輩は俺の隣に座って、にこやかに笑った。
 近いっ! 近すぎます先輩っ! こんな急接近、サッカー部時代にもなかったのにっ!

「そうなんだ。妹思いなんだね」
「兄として妹の面倒を見るのは当然ですよ。はは……」
「あ、そうだ! 櫛木くんに、ずっと訊きたいことがあったの」
「俺に……? 何ですか?」
「どうしてサッカー部を辞めちゃったの? 櫛木くんは一年生で唯一のレギュラーだったし、私たち二年生も櫛木くんには結構期待してたんだよ?」

 妹と遊びたかったんです。妹と遊ぶ時間と部活の時間を天秤にかけたら、そらもう誰だって妹を選ぶでしょう!
 ……などと本音を言えるわけがない。
 俺は学業の成績が振るわないので、今は勉強に専念したいからだと誤魔化した。

「そう言えば、俺も椎名先輩に訊きたいことあったんですよね。俺この間まで入院してたんですが、もしかして椎名先輩は……お見舞いとか来てくれたりしました? いや、違ってたらすみません」

 俺が訊くと、椎名先輩は俺の胸の傷跡に一瞬目をやってから頷いた。
 そりゃ気になるよな。こんな大きな傷跡があったら。俺もちらりと自分の傷跡を見る。

「ええ。お母様から訊いたの?」
「やっぱり! でも……、どうして先輩が?」
「学校からサッカー部にも連絡があったの。顧問の先生から訊いて、すっごく心配だったから病院まで行っちゃった。でも、もう大丈夫そうね。良かったわ」
「母が学校に連絡してたんだと思います。怪我は大丈夫ですよー……いっ!?」
「えっ!? 急にどうしたの!?」

 眼前に椎名先輩の胸の谷間がっ! 先輩、無防備過ぎますっ! うっ……今日は何ていい日なんだ。俺は明日死ぬのかな? (二回目)
 見てはいけないと思いつつも、俺はそのふくよかな胸から目が離せない。俺の目があああ、椎名先輩の胸に引き寄せられるっ! ……その胸は地球以上の重力がありそうだ!

 椎名先輩は俺の視線に気づくことなく、首をかしげていた。

「すみませんっ! 炎天下で軽く意識が飛んでました。もう大丈夫です……」
「そ、そう? 病み上がりなんだから、無理しちゃダメだよ」

 椎名先輩はそう言って、苦笑しながら人差し指で俺の額をつついた。
 はああああっ。至福!

「千尋? 何だ、友達か?」

 誰だ、俺の至福の時を邪魔する輩は!
 俺と椎名先輩に割って入った声の主は、超絶ナイスバディのお姉さんだった。
 前屈みになって俺の顔を覗き込んでいる。
 その胸の谷間はまさに凶器だった。椎名先輩も素晴らしいものをお持ちだが、このお姉さんのはデ、デカい!
 背筋を伸ばして立つお姉さんを見上げると、下乳がこぼれ落ちそうだ。け、けしからん。

「あ、蘭子さん。この子は学校の後輩ですよ。と言うか、どこに行ってたんですか? 探してたのに」
「悪い悪い。ちょっと野暮用でな。ふうん、後輩か」

 蘭子さんと呼ばれたお姉さんは、年齢は二十代ぐらいだろう。おそらく見た目から後半ではないはず……。
 ほどよく筋肉がついた引き締まった身体に、光沢のある黒のビキニ姿だった。周りの男どもも、このお姉さんに釘付けのようだ。
 赤く染めた髪をサイドアップにしていている。サングラスをしているため瞳は見えなかった。
 特徴的なのは、これだけセクシーダイナマイトな美人でありながら、口調が男っぽかったことだ。
 甘い香水の香りがするが……あれ? この匂いどこかで……。
 椎名先輩といい、この蘭子さんというお姉さんといい、本当にいい匂いがする。ああ……この空気に包まれていたい。
 そうだ! 【風】だ! 【風】を使ってこの空気を俺だけのものに……!
 俺はよからぬことを考えていた。

「きみ、さっきから深呼吸ばかりしているが、どうしたんだ? 具合でも悪いのか?」
「い、いえっ……! 大丈夫っす!」

 危ない危ない。変態だと思われるところだ。
 蘭子さんは騒がしくなり始めた周りを見回した。
 俺の目の前には、蘭子さんのお尻があった。あ、何か水着がテカテカしてる。無性に触りたくなる衝動を抑えつつ、俺も周りの様子を確認する。
 やはり蘭子さんは、周囲の注目を浴びているようだ。中高生や大人の男までちらちら見ている。中にはガン見している奴もいた。

「蘭子さん、男の人にすっごく見られてます……」
「別に減るもんじゃないし、いいじゃないか」

 蘭子さんはさほど気にした様子もなく、笑いながら自分のお尻をぺちぺち叩いている。

「ほら千尋、見てくれ。最近のジム通いのおかげで、こんなに尻に張りがでてるんだ」
「も、もう! 蘭子さんてっば!」

 椎名先輩と蘭子さんが会話をしている。
 どういう関係なんだろう? 姉妹……ではないな。そう言えば、さっき知り合いって言ってたな。
 と思いつつも、俺は鼻の下を伸ばしていた。
 とにかく蘭子さんエロ過ぎるだろっ! 気づけば軽く人だかりができている。
 椎名先輩も周りの視線が気になりだしたようで、立ち上がって蘭子さんの腕を手に取った。

「ごめんね。私もう行くから。新学期にまた学校でね」
「あ、はい! また学校で!」

 また学校で……か。サッカー部を辞めた今となっては、学年も違う先輩とは接点がないじゃないか。くそう。
 椎名先輩は蘭子さんと並んで、売店とは逆の方向に歩いて行った。
 俺は並んで歩くその二人の尻を、見えなくなるまで眺めていた。
 おふう……。いいお尻を堪能させてもらった。
 
 俺が現実と妄想の狭間を行ったり来たりしていると、パタパタと子どもの足音が聞こえてきた。
 菜月とマイちゃんが戻ってきたか。

「お兄ちゃーん。ジュースと焼きそば買ってきたよー」
「にゃはは。カレーもあるよん」
「お、おう。サンキュー!」
「「えっ!?」」

 振り返った俺の顔を見て、菜月もマイちゃんも驚いている。
 菜月は慌てて俺に駆け寄ってくる。

「お兄ちゃん! 大丈夫!? 鼻血でてるよっ!」
「むふー。お兄さん鼻血大量。にゃはは」

 俺は盛大に鼻血を垂らしていたらしい。
 菜月が更衣室に、持参したティッシュを取りに行ってくれて事なきを得た。

「もう! びっくりしたんだからねっ! どうして鼻血出たのかな……?」
「あー。この炎天下で軽く意識が飛んでたわ。はは……」

 こうして俺は菜月とマイちゃんと三人で仲良く食事して、午後からもプールを満喫したのだった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...