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英傑の記憶③〜ほころび〜
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ジョルジュはフランコ・トワと共に人々を導く為に満身した。
彼の妻となったフィリアが寂しい思いをしていた事にも気がついていただろう。
しかし、本当の意味で彼は彼女の心の中を読み解く事は出来ずいた。
龍の巫女であるセレティアの存在がフィリアのコンプレックスを刺激した事も間違いない。
加えて優しく心の広いセレティアが、自分を気にかけ友情を向けてきた事にも罪悪感が芽生えていた。
不安定なフィリアの心の隙間に付け込んだ者達がいた。
それは巡教で世界中を旅する僧侶だと言う。
天変地異の傷跡は世界中に根深く残っていた。
“傷付いた人々の心を救う。”
そんな言葉で僧侶達はジョルジュが山村を開けている間にフィリアに近づいてきた。
他者を訝しがっていたフィリアであったが、次第に僧侶達に心を開いていった。
彼女の心に何が灯ったのか分からない。
ジョルジュが帰ってきた時には僧侶は消えており、どこか憂いが晴れた様なフィリアが出迎えた。
塞ぎ気味だった妻の変化に戸惑いはしたが、ジョルジュは彼女の回復を喜んだ。
年月が経ち子宝に恵まれ、フランコ・トワと共に互いの国を建国したジョルジュは一国の王となった。
終生、フランコ・トワとの友情を育み続けたジョルジュ。
彼の死後も国が続いているのは、彼の努力と信念の賜物だろう。
_____
語り終えたリリィは冷めた紅茶に口を付けた。
「ジョルジュとフィリアは幸せだったのか?」
ロンサンティエ帝国皇帝ファヴィリエ・ルカの言葉にリリィは頷いた。
「側室も持たずに2人で仲良く暮らしたそうよ。」
誰しもが口に出来ずにいる疑問が残っている。
それを察しているリリィですら話す様子がない。
空気を読んだかのようなロンサンティエ帝国の宰相であるフィリックス・ガルシアがリリィに問いかけた。
「フィリア様は何をされたのです。」
「彼女は彼を・・・ジョルジュを愛したの。」
珍しく歯切れの悪いリリィにディミトリオ・ハクヤが近づいた。
「彼女の心の隙間に入り込んだ僧侶とは何者だ?
なぜ、そんなにもリリィが警戒する?」
リリィは大きな溜息を吐いた。
「かつて、人が欲に溺れ龍から見放された時代があった。
それには多くの人間が悲しみ、後悔した。
しかし、一部の人間は手を貸さなくなった龍の態度に腹を立て、龍が雲隠れした島に渡り・・・1匹の龍を捕獲し連れ帰った。」
人類の最大の過ち
これこそが、人類が龍に顔向できない恥ずべき歴史だった。
その話が出た事で顔を顰めたのはディミトリオ・ハクヤだけじゃなかった。
部屋にいた全ての者が思い思いの表情を浮かべている。
「哀れな龍は、まだ幼い龍だった。
龍気が奪われ続けていく地獄は想像すら絶するわ。
その一部の人間の行いが龍達の逆鱗に触れ、龍は人間を見捨てた。
でも龍に悪意を持ち、龍を支配する事こそ正義と謳う思想は今も生きている。」
リリィは、悲しみの目をレイド・フロドゥールに向けた。
「フロドゥール国初代王妃であるフィリア。
彼女を惑わした僧侶達の正体は、のちに“ドラコニス”と呼ばれる龍が何よりも嫌いな者達よ。」
彼の妻となったフィリアが寂しい思いをしていた事にも気がついていただろう。
しかし、本当の意味で彼は彼女の心の中を読み解く事は出来ずいた。
龍の巫女であるセレティアの存在がフィリアのコンプレックスを刺激した事も間違いない。
加えて優しく心の広いセレティアが、自分を気にかけ友情を向けてきた事にも罪悪感が芽生えていた。
不安定なフィリアの心の隙間に付け込んだ者達がいた。
それは巡教で世界中を旅する僧侶だと言う。
天変地異の傷跡は世界中に根深く残っていた。
“傷付いた人々の心を救う。”
そんな言葉で僧侶達はジョルジュが山村を開けている間にフィリアに近づいてきた。
他者を訝しがっていたフィリアであったが、次第に僧侶達に心を開いていった。
彼女の心に何が灯ったのか分からない。
ジョルジュが帰ってきた時には僧侶は消えており、どこか憂いが晴れた様なフィリアが出迎えた。
塞ぎ気味だった妻の変化に戸惑いはしたが、ジョルジュは彼女の回復を喜んだ。
年月が経ち子宝に恵まれ、フランコ・トワと共に互いの国を建国したジョルジュは一国の王となった。
終生、フランコ・トワとの友情を育み続けたジョルジュ。
彼の死後も国が続いているのは、彼の努力と信念の賜物だろう。
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語り終えたリリィは冷めた紅茶に口を付けた。
「ジョルジュとフィリアは幸せだったのか?」
ロンサンティエ帝国皇帝ファヴィリエ・ルカの言葉にリリィは頷いた。
「側室も持たずに2人で仲良く暮らしたそうよ。」
誰しもが口に出来ずにいる疑問が残っている。
それを察しているリリィですら話す様子がない。
空気を読んだかのようなロンサンティエ帝国の宰相であるフィリックス・ガルシアがリリィに問いかけた。
「フィリア様は何をされたのです。」
「彼女は彼を・・・ジョルジュを愛したの。」
珍しく歯切れの悪いリリィにディミトリオ・ハクヤが近づいた。
「彼女の心の隙間に入り込んだ僧侶とは何者だ?
なぜ、そんなにもリリィが警戒する?」
リリィは大きな溜息を吐いた。
「かつて、人が欲に溺れ龍から見放された時代があった。
それには多くの人間が悲しみ、後悔した。
しかし、一部の人間は手を貸さなくなった龍の態度に腹を立て、龍が雲隠れした島に渡り・・・1匹の龍を捕獲し連れ帰った。」
人類の最大の過ち
これこそが、人類が龍に顔向できない恥ずべき歴史だった。
その話が出た事で顔を顰めたのはディミトリオ・ハクヤだけじゃなかった。
部屋にいた全ての者が思い思いの表情を浮かべている。
「哀れな龍は、まだ幼い龍だった。
龍気が奪われ続けていく地獄は想像すら絶するわ。
その一部の人間の行いが龍達の逆鱗に触れ、龍は人間を見捨てた。
でも龍に悪意を持ち、龍を支配する事こそ正義と謳う思想は今も生きている。」
リリィは、悲しみの目をレイド・フロドゥールに向けた。
「フロドゥール国初代王妃であるフィリア。
彼女を惑わした僧侶達の正体は、のちに“ドラコニス”と呼ばれる龍が何よりも嫌いな者達よ。」
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