80 / 90
己の価値を知る男は好かれる
73
しおりを挟む
その後の3日に渡り行われた裁判は同じ様な展開が繰り返すばかりで、アマッティ伯爵を始めとした原告側はクロス・アルデバラン侯爵率いる被告側に大きな痛手が与えられずにた。
原告側が提示する証言や証拠を被告側に淡々と反撃され、時には傍聴席の物見遊山できた者達にも飛び火をしては荒れていた。
誰の目に見えても、クロス達に軍配が上がると分かると、《裁判などしなければ私達の悪事はバレなかったのに》と今度はダチュラの面々を呼びつけた原告側に厳しい目が向けられていた。
いつ国王から呼び出され、お叱りを貰うか分かったものではない。
それぞれの思いが渦めく大裁判所は判決の時を迎えるのであった。
________
「主・・・最後までご覧にならないので?」
騎士姿の男が物陰から主人と仰ぐ男に声をかけた。
「結果は分かっている。
見たところで意味はなかろう。
別に期待していなかったが、ここまで無能だったとはな。
まぁ、アルデバランを王都に呼び出しただけで良しとするか。
準備は良いな?」
グルーバー侯爵は空を仰ぎ見ていた視線を騎士の男に向けた。
「はい。
準備は出来ています。
城の衛兵によれば、裁判の後に国王陛下とクロス・アルデバラン並びにダチュラの貴族達が茶会を開くそうです。
何でも、今回呼びつけた詫びをするとか。」
グルーバー侯爵は鼻で笑うと再び空を見上げた。
「陛下も陛下だ。
田舎貴族など、いくら呼びつけても構わぬというに。
あの方は今だに英雄への恩を感じ続けている。
それを、クロス・アルデバランが利用しているのだ。
しかし、それも今日で終わらせる。」
最早、グルーバー侯爵の独り言は青々した空に消えていった。
_________
「判決を申しつける。
クロス・アルデバラン侯爵並びにダチュラの貴族達は独自の統治に満身し、国王陛下への報告も怠っていない。
ダチュラでの他領の貴族達の不幸の前には己達の過ちがある事も忘れてはいけない。
よって、無罪とする!
しかし、アルデバラン侯爵には自領の安定への尽力を怠らない事を誓って頂きたい。」
「承知しました。
私、クロス・アルデバランはダチュラの領地の安定に尽力するとお誓い致します。」
クロスの言葉に満足そうに頷いたヴィクトル裁判官は続いて、原告側に座っていたアマッティ伯爵を含めた貴族達に厳しい目を向けた。
「尚、当裁判で判明した原告側の余罪は改めて調査をした後に嫌疑にかけられると考えてください。
以上を持ちまして、大裁判所を閉廷致します。
どうぞ、陛下。」
ヴィクトル裁判官に促された国王アルベールは静かに立ち上がった。
「ヴィクトル裁判官、ご苦労だった。
無意味と思っていた、この裁判も幾多の罪が浮き彫りになる良い機会になった。
アルデバラン、皆も苦労をかけたな。」
「勿体無きお言葉に御座います。」
クロスを始めとした“ディアマンの庭”のメンバーは頭を下げ礼を尽くした。
「この茶番は終わりだ!
しかし、心せよ。
我ら王族と貴族が何のために存在するかと今一度、考えよ。
自分達の事だけではなく、他の人間が何を考えているのか、弱気者は何を欲しているのか・・・。
私に届かない彼らの声を聞くのがお前達の役割の一つだ。
彼らの声が届かなくなった王など、愚王も良いところだ。
私を愚王にしてくれるなよ・・・。」
静かに退出する国王陛下を見送ると、被告側にいたダチュラの面々も退出して行った。
すると、大きな溜息が大裁判所に響き渡った。
傍聴席に座っていた貴族がガヤガヤと退出し始めた中、原告側にいた貴族達は呆然としていた。
己達の愚かな行いが暴露された貴族達は勿論の事、代表で先頭にたっていたアマッティ伯爵はダチュラを・・・クロス・アルデバラン侯爵が悪だと信じていた。
そう。
アマッティ伯爵は自分の行いに恥じいる事はなく、他の原告側の貴族と同じにして欲しくはなかった。
それでも、アマッティ伯爵にとってダチュラ・・・クロス・アルデバラン程、恐ろしい男はいないと考えていた。
アルデバランの持つ、刃がいつ王都に国王陛下に届くとも限らない。
今回の裁判に付き合ったのは、そんな彼の意思が含まれていたからである。
しかし、話の節々に出てきたダチュラの存在理由がアマッティ伯爵の思考を鈍らせた。
「あれでは・・・あれでは、まるで・・・。
国中の悪を引き受けているみたいじゃないか・・・。」
呟くアマッティ伯爵に人影が近づいた。
「その通りだ。アマッティ伯爵。」
目の前に立っていたのは宰相オランド公爵であった。
貴族の中で最高位の彼が憮然とした顔で睨みつけていた。
「ダチュラは犯罪の巣窟・・・。
そうであれば、悪人が集まってくる。
それを一掃する事がアルデバランの役割だ。
というか、奴の考えだがな。
全ての悪人がダチュラを目指すわけではない。
しかし、一種の憧れによって引き寄せられた犯罪者達が集結していくのだ。
だからこそ、他の領地の犯罪件数は減り安心して暮らす事ができるのだ。
我らは奴らに負を押し付けている。
奴らの街をどうこう言う権利など最初から持ち合わせていないのだ。
分かったのなら、もう構うな。
お前らの首をしめるぞ。
現に、自ら沼に足を踏み入れた者達もいる様だからな。」
身を翻し、大裁判所から出ていくオランド公爵の背をアマッティ伯爵は見つめることしか出来なかった。
《敵に回してはいけない人間を敵に回した・・・。
貴族としても人としても・・・。》
閉ざされる扉に取り残されていく様にアマッティ伯爵は頭を抱えた。
原告側が提示する証言や証拠を被告側に淡々と反撃され、時には傍聴席の物見遊山できた者達にも飛び火をしては荒れていた。
誰の目に見えても、クロス達に軍配が上がると分かると、《裁判などしなければ私達の悪事はバレなかったのに》と今度はダチュラの面々を呼びつけた原告側に厳しい目が向けられていた。
いつ国王から呼び出され、お叱りを貰うか分かったものではない。
それぞれの思いが渦めく大裁判所は判決の時を迎えるのであった。
________
「主・・・最後までご覧にならないので?」
騎士姿の男が物陰から主人と仰ぐ男に声をかけた。
「結果は分かっている。
見たところで意味はなかろう。
別に期待していなかったが、ここまで無能だったとはな。
まぁ、アルデバランを王都に呼び出しただけで良しとするか。
準備は良いな?」
グルーバー侯爵は空を仰ぎ見ていた視線を騎士の男に向けた。
「はい。
準備は出来ています。
城の衛兵によれば、裁判の後に国王陛下とクロス・アルデバラン並びにダチュラの貴族達が茶会を開くそうです。
何でも、今回呼びつけた詫びをするとか。」
グルーバー侯爵は鼻で笑うと再び空を見上げた。
「陛下も陛下だ。
田舎貴族など、いくら呼びつけても構わぬというに。
あの方は今だに英雄への恩を感じ続けている。
それを、クロス・アルデバランが利用しているのだ。
しかし、それも今日で終わらせる。」
最早、グルーバー侯爵の独り言は青々した空に消えていった。
_________
「判決を申しつける。
クロス・アルデバラン侯爵並びにダチュラの貴族達は独自の統治に満身し、国王陛下への報告も怠っていない。
ダチュラでの他領の貴族達の不幸の前には己達の過ちがある事も忘れてはいけない。
よって、無罪とする!
しかし、アルデバラン侯爵には自領の安定への尽力を怠らない事を誓って頂きたい。」
「承知しました。
私、クロス・アルデバランはダチュラの領地の安定に尽力するとお誓い致します。」
クロスの言葉に満足そうに頷いたヴィクトル裁判官は続いて、原告側に座っていたアマッティ伯爵を含めた貴族達に厳しい目を向けた。
「尚、当裁判で判明した原告側の余罪は改めて調査をした後に嫌疑にかけられると考えてください。
以上を持ちまして、大裁判所を閉廷致します。
どうぞ、陛下。」
ヴィクトル裁判官に促された国王アルベールは静かに立ち上がった。
「ヴィクトル裁判官、ご苦労だった。
無意味と思っていた、この裁判も幾多の罪が浮き彫りになる良い機会になった。
アルデバラン、皆も苦労をかけたな。」
「勿体無きお言葉に御座います。」
クロスを始めとした“ディアマンの庭”のメンバーは頭を下げ礼を尽くした。
「この茶番は終わりだ!
しかし、心せよ。
我ら王族と貴族が何のために存在するかと今一度、考えよ。
自分達の事だけではなく、他の人間が何を考えているのか、弱気者は何を欲しているのか・・・。
私に届かない彼らの声を聞くのがお前達の役割の一つだ。
彼らの声が届かなくなった王など、愚王も良いところだ。
私を愚王にしてくれるなよ・・・。」
静かに退出する国王陛下を見送ると、被告側にいたダチュラの面々も退出して行った。
すると、大きな溜息が大裁判所に響き渡った。
傍聴席に座っていた貴族がガヤガヤと退出し始めた中、原告側にいた貴族達は呆然としていた。
己達の愚かな行いが暴露された貴族達は勿論の事、代表で先頭にたっていたアマッティ伯爵はダチュラを・・・クロス・アルデバラン侯爵が悪だと信じていた。
そう。
アマッティ伯爵は自分の行いに恥じいる事はなく、他の原告側の貴族と同じにして欲しくはなかった。
それでも、アマッティ伯爵にとってダチュラ・・・クロス・アルデバラン程、恐ろしい男はいないと考えていた。
アルデバランの持つ、刃がいつ王都に国王陛下に届くとも限らない。
今回の裁判に付き合ったのは、そんな彼の意思が含まれていたからである。
しかし、話の節々に出てきたダチュラの存在理由がアマッティ伯爵の思考を鈍らせた。
「あれでは・・・あれでは、まるで・・・。
国中の悪を引き受けているみたいじゃないか・・・。」
呟くアマッティ伯爵に人影が近づいた。
「その通りだ。アマッティ伯爵。」
目の前に立っていたのは宰相オランド公爵であった。
貴族の中で最高位の彼が憮然とした顔で睨みつけていた。
「ダチュラは犯罪の巣窟・・・。
そうであれば、悪人が集まってくる。
それを一掃する事がアルデバランの役割だ。
というか、奴の考えだがな。
全ての悪人がダチュラを目指すわけではない。
しかし、一種の憧れによって引き寄せられた犯罪者達が集結していくのだ。
だからこそ、他の領地の犯罪件数は減り安心して暮らす事ができるのだ。
我らは奴らに負を押し付けている。
奴らの街をどうこう言う権利など最初から持ち合わせていないのだ。
分かったのなら、もう構うな。
お前らの首をしめるぞ。
現に、自ら沼に足を踏み入れた者達もいる様だからな。」
身を翻し、大裁判所から出ていくオランド公爵の背をアマッティ伯爵は見つめることしか出来なかった。
《敵に回してはいけない人間を敵に回した・・・。
貴族としても人としても・・・。》
閉ざされる扉に取り残されていく様にアマッティ伯爵は頭を抱えた。
32
お気に入りに追加
858
あなたにおすすめの小説
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。
音爽(ネソウ)
ファンタジー
見た目だけはユルフワ女子のハウラナ・ゼベール王女。
その容姿のせいで誤解され、男達には尻軽の都合の良い女と見られ、婦女子たちに嫌われていた。
16歳になったハウラナは大帝国ダネスゲート皇帝の末席側室として娶られた、体の良い人質だった。
後宮内で弱小国の王女は冷遇を受けるが……。
【講談社大賞受賞作品】私を殺したのは、大魔法使い様ですか?
たんたん
ファンタジー
講談社マンガ原作賞 大賞作品🏆✨ド定番を読み飽きた方にお勧め ⚠️R15作品⚠️
⚠️過激表現は付けていませんが、エロティックな結構きわどいシーンがチラホラある作品なので15歳以下の方は読まないでください。
15%の復讐劇、5%の笑い、10%のミステリー、70%のキュンキュン💖を詰め込みました。
【あらすじ】
結婚式当日に何者かに殺された主人公は、赤ちゃんになっていた。
早く大きくなって復讐したいと願っていた矢先に――
謎のコスプレ集団に誘拐されてしまう。
でも誘拐された先は主人公の知る普通の世界ではなく、魔法が存在する世界が広がっていた。
全寮制の魔法学園に強制入学させられてしまった主人公は、父からの「この学園は表向きは魔法使いを育てる学校で、本来の目的は……」というメッセージに頭を悩ます。
本来の目的を知ることも、学園から脱出することも出来ない。
そんな中で、愛や恋を知らない主人公が成長して行くお話です。
【登場人物】
・タチバナ・シエル
黒髪
黒目
可愛くて美人
復讐に燃える
学園最弱の魔力の持ち主
・カミヅキ・ディオン
白銀
切れ長の蒼い目
この世のものとは思えない程の美しい容姿の持ち主
人を簡単に殺しそう、というか既に殺してそう
シエルが一番会いたくない奴
・サオトメ・ロレンツォ
ふわっとしたアッシュブラウンの髪に、色素薄めの茶色い目
名家の一人息子
100年に1人の凄い魔力の持ち主
中性的で美しい美貌の持ち主で、学園のアイドル的存在
誰にでも優しい
・ジョウガサキ・アラン
突然転校してきた大阪弁の派手で女慣れしてるチャラいイケメン
元T大の医学部生
見た目とは想像できない程にIQが高く賢い
・今世のシエルの両親
優しく、たっぷりと愛情を与えてくれる親の鏡のような人達
異常な程にシエルの長生きを願う
本棚追加してもらえるとやる気がみなぎります🤗
表紙はpixivにあったフリーアイコンになります。
- ̗̀ 📢💭お知らせ
完結前に加筆修正します。こちらは加筆修正前の作品です。
狂愛 すれ違い 両片想い 両片思い
世界最速の『魔法陣使い』~ハズレ固有魔法【速記術】で追放された俺は、古代魔法として廃れゆく『魔法陣』を高速展開して魔導士街道を駆け上がる~
葵すもも
ファンタジー
十五歳の誕生日、人々は神から『魔力』と『固有魔法』を授かる。
固有魔法【焔の魔法剣】の名家――レヴィストロース家の長男として生まれたジルベール・レヴィストロースには、世継ぎとして大きな期待がかかっていた。
しかし、【焔の魔法剣】に選ばれたのは長男のジルベールではなく、次男のセドリックだった。
ジルベールに授けられた固有魔法は――【速記術】――
明らかに戦闘向きではない固有魔法を与えられたジルベールは、一族の恥さらしとして、家を追放されてしまう。
一日にして富も地位も、そして「大魔導になる」という夢も失ったジルベールは、辿り着いた山小屋で、詠唱魔法が主流となり現在では失われつつあった古代魔法――『魔法陣』の魔導書を見つける。
ジルベールは無為な時間を浪費するのように【速記術】を用いて『魔法陣』の模写に勤しむ毎日を送るが、そんな生活も半年が過ぎた頃、森の中を少女の悲鳴が木霊した。
ジルベールは修道服に身を包んだ少女――レリア・シルメリアを助けるべく上級魔導士と相対するが、攻撃魔法を使えないジルベールは劣勢を強いられ、ついには相手の魔法詠唱が完成してしまう。
男の怒声にも似た詠唱が鳴り響き、全てを諦めたその瞬間、ジルベールの脳裏に浮かんだのは、失意の中、何千回、何万回と模写を繰り返した――『魔法陣』だった。
これは家を追われ絶望のどん底に突き落とされたジルベールが、ハズレ固有魔法と思われた【速記術】を駆使して、仲間と共に世界最速の『魔法陣』使いへと成り上がっていく、そんな物語。
--------
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
ミニゴブリンから始まる神の箱庭~トンデモ進化で最弱からの成り上がり~
リーズン
ファンタジー
〈はい、ミニゴブリンに転生した貴女の寿命は一ヶ月約三十日です〉
……えーと? マジっすか?
トラックに引かれチートスキル【喰吸】を貰い異世界へ。そんなありふれた転生を果たしたハクアだが、なんと転生先はミニゴブリンだった。
ステータスは子供にも劣り、寿命も一ヶ月しかなく、生き残る為には進化するしか道は無い。
しかし群れのゴブリンにも奴隷扱いされ、せっかく手に入れた相手の能力を奪うスキルも、最弱のミニゴブリンでは能力を発揮できない。
「ちくしょうそれでも絶対生き延びてやる!」
同じ日に産まれたゴブゑと、捕まったエルフのアリシアを仲間に進化を目指す。
次々に仲間になる吸血鬼、ドワーフ、元魔王、ロボ娘、勇者etc。
そして敵として現れる強力なモンスター、魔族、勇者を相手に生き延びろ!
「いや、私はそんな冒険ファンタジーよりもキャッキャウフフなラブコメスローライフの方が……」
予想外な行動とトラブルに巻き込まれ、巻き起こすハクアのドタバタ成り上がりファンタジーここに開幕。
「ダメだこの作者私の言葉聞く気ねぇ!?」
お楽しみください。
色々な所で投稿してます。
バトル多め、題名がゴブリンだけどゴブリン感は少ないです。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる