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帰還 ー王都ー
477 ーマテオの回顧録④ー
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まずは世界を知ろうと旅に出る決意をするとジュウゾウは共に行くと言ってくれた。
早速、山を降りるとジュウゾウの妻・シノや村人達に己の考えを聞かせ世話になったのに我儘を言う詫びをした。
すると、何故かみんな笑顔で頷き合い旅支度の品を並べ始めた。
聞けば、数年前からジュウゾウより聞かせられていたと言う。
「貴方が皆んなが幸せに暮らせる国を造ると言ってくれるのを待っていました。
私達は、この村を守ります。
大丈夫。旦那様が造り上げた村ですもの、2人がいなくても自分達の身は守れます。
貴方はこれから、辛い人生を進むでしょう。
たとえ、旦那様が死のうとも、貴方は成し遂げなければなりません。
それが助けを必要とする者達の未来を決めるのです。
貴方の命は、これから最も尊き物になります。
貴方を守る為に、多くの人が命を落とすかもしれません。
それでも、貴方は国造りを諦めてはいけないのです。
どんなに辛くても、苦しくても歩みを止めてはいけません。
でも、本気で旅に疲れたら、ここに帰って来れば良いのです。
ここだけは変わらず、貴方達を待っています。
英雄になろうとも、国王になろうとも、ここにいる者達は苦心の内に決起した貴方の事を知っているのですから。」
ジュウゾウの妻・シノの言葉に私は震えた。
だた優しいだけではない彼女の言葉が私の胸を揺さぶったのだ。
彼女は夫を送り出す決意をしていた。帰ってこないかもしれない夫を私に託してくれたのだ。
村の住人達はジュウゾウがいなくなる不安を打ち消し、恥ずかしくない生き方をすると己達を鼓舞している。
私は改めて誓った。
彼女達の宝を譲り受けたのだ。
絶対に国を造ってみせると・・・。
次の日、シノさんにウサギの獣人の姉弟を託すと私はジュウゾウと共に村を旅立った。
その日から、私達は日中は色々な集落や村を見て周り、夜になると剣の稽古をした。
旅の初日からジュウゾウは私に剣の立ち合いをしてくれるようになったのだ。
毎日2万回の素振りをしていた私は当初、ジュウゾウと打ち合えると思っていたが彼の剣は私の知っている物と全く違っていた。
一振りが重く、早い。
何よりもオーラを纏うジュウゾウの前に立つのは、やっとだった。
体が重く、一歩を前に出るが多くの体力を削る。
ある時、ジュウゾウの剣を持たせてもらった。
彼が簡単に片手で振り回す、その剣は私の持っている両刃剣とは違い“カタナ”と呼ばれるジュウゾウの故郷の武器だった。
片方に刃が付き、薄く折れてしまうのではないかと心配するが「自分にはこれが一番良い」と微笑んでいた。
もう一本“ワキザシ”という短いカタナは戦いには使わないにも関わらず、絶えず身につけ時折、愛おしそうに撫でていた。
「持ってみるか?」
ジュウゾウの言葉に甘えてカタナを手にすると、地面にめり込むのかと思うほど重く持ち上げる事すら出来なかった。
もがく私をクスクスと笑うとジュウゾウは片手でカタナを軽々と持ち上げた。
「何だ?その重さは!
だから、お前の剣は重いのか!?」
驚く私が聞けば、ジュウゾウは首を横に振った。
「そうではない。
そうではないが、このカタナは私しか持てないように細工されているのだ。
譲ってくれた人が私に合う武器を選んでくれた。
私にはこれが1番シックリくるんだよ。」
どこか懐かしそうにジュウゾウはカタナを腰に戻し、落ちていた木の棒を掴み、数回振ると構えてみせた。
「証明してみよう。
さぁ、剣を構えろ。」
まずは世界を知ろうと旅に出る決意をするとジュウゾウは共に行くと言ってくれた。
早速、山を降りるとジュウゾウの妻・シノや村人達に己の考えを聞かせ世話になったのに我儘を言う詫びをした。
すると、何故かみんな笑顔で頷き合い旅支度の品を並べ始めた。
聞けば、数年前からジュウゾウより聞かせられていたと言う。
「貴方が皆んなが幸せに暮らせる国を造ると言ってくれるのを待っていました。
私達は、この村を守ります。
大丈夫。旦那様が造り上げた村ですもの、2人がいなくても自分達の身は守れます。
貴方はこれから、辛い人生を進むでしょう。
たとえ、旦那様が死のうとも、貴方は成し遂げなければなりません。
それが助けを必要とする者達の未来を決めるのです。
貴方の命は、これから最も尊き物になります。
貴方を守る為に、多くの人が命を落とすかもしれません。
それでも、貴方は国造りを諦めてはいけないのです。
どんなに辛くても、苦しくても歩みを止めてはいけません。
でも、本気で旅に疲れたら、ここに帰って来れば良いのです。
ここだけは変わらず、貴方達を待っています。
英雄になろうとも、国王になろうとも、ここにいる者達は苦心の内に決起した貴方の事を知っているのですから。」
ジュウゾウの妻・シノの言葉に私は震えた。
だた優しいだけではない彼女の言葉が私の胸を揺さぶったのだ。
彼女は夫を送り出す決意をしていた。帰ってこないかもしれない夫を私に託してくれたのだ。
村の住人達はジュウゾウがいなくなる不安を打ち消し、恥ずかしくない生き方をすると己達を鼓舞している。
私は改めて誓った。
彼女達の宝を譲り受けたのだ。
絶対に国を造ってみせると・・・。
次の日、シノさんにウサギの獣人の姉弟を託すと私はジュウゾウと共に村を旅立った。
その日から、私達は日中は色々な集落や村を見て周り、夜になると剣の稽古をした。
旅の初日からジュウゾウは私に剣の立ち合いをしてくれるようになったのだ。
毎日2万回の素振りをしていた私は当初、ジュウゾウと打ち合えると思っていたが彼の剣は私の知っている物と全く違っていた。
一振りが重く、早い。
何よりもオーラを纏うジュウゾウの前に立つのは、やっとだった。
体が重く、一歩を前に出るが多くの体力を削る。
ある時、ジュウゾウの剣を持たせてもらった。
彼が簡単に片手で振り回す、その剣は私の持っている両刃剣とは違い“カタナ”と呼ばれるジュウゾウの故郷の武器だった。
片方に刃が付き、薄く折れてしまうのではないかと心配するが「自分にはこれが一番良い」と微笑んでいた。
もう一本“ワキザシ”という短いカタナは戦いには使わないにも関わらず、絶えず身につけ時折、愛おしそうに撫でていた。
「持ってみるか?」
ジュウゾウの言葉に甘えてカタナを手にすると、地面にめり込むのかと思うほど重く持ち上げる事すら出来なかった。
もがく私をクスクスと笑うとジュウゾウは片手でカタナを軽々と持ち上げた。
「何だ?その重さは!
だから、お前の剣は重いのか!?」
驚く私が聞けば、ジュウゾウは首を横に振った。
「そうではない。
そうではないが、このカタナは私しか持てないように細工されているのだ。
譲ってくれた人が私に合う武器を選んでくれた。
私にはこれが1番シックリくるんだよ。」
どこか懐かしそうにジュウゾウはカタナを腰に戻し、落ちていた木の棒を掴み、数回振ると構えてみせた。
「証明してみよう。
さぁ、剣を構えろ。」
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