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新たな旅 ーミズガルドー
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「次!おらっ!そんなものか!!次!」
アースガイル国軍将軍ザックス・ヒルは王宮の広場でミズガルドの軍人達を前に訓練という名の勝負を挑んでいた。
聞けば、王宮を囲む様に現れた大蛇をイオリが倒したらしい。
《俺も、大蛇とやり合いたかった!!
くそっ!イオリめ。いいところを持って行きやがって。》
子供がお祭りに間に合わなくて剝れる様に目の前の軍人をなぎ倒す。
ミズガルド軍の軍人達は他国にも名を轟かせるザックス・ヒル将軍との立ち合いに感動していたが、将軍の感情が読み取れるアースガイル軍の軍人達は深い深い溜息を吐いた。
尚且つ、将軍を諫める副官オーブリーがいないのが悔やまれる。
そんな訓練場に明るい声が響いていた。
「ザックス!イオリ連れてきたよ!」
「おぉ!!イオリ!来たか!勝負だ。」
パティが声をかけると嬉しそうにザックスが顔をあげ手招きをした。
イオリは苦笑するとコートをヒューゴに渡した。
大きなザックス・ヒルに対し、細身のイオリが素手で近づいていくのをミズガルドの軍人達は驚いて見ていた。
「ザックスさんが俺を捕まえられたら、ザックスさんの勝ちです。」
そう言うと、イオリはザックスに走っていった。
「いいねーいいねー。追いかけっこか?
やってやるよ。」
ザックスは真っ直ぐ走ってきたイオリに真横に剣を振った。
喚くミズガルド軍に対し慣れた光景のアースガイル軍の軍人達は申し訳ないとヒューゴに眉を下げていた。
「オラァ!」
「ほっ!ほい!!」
決して手を抜いている感じではないザックス・ヒルの剣をギリギリで避けているイオリにミズガルドの軍人達は驚いていた。
イオリがザックス・ヒルの剣を蹴り飛ばし着地すると2人はニヤリとして勝負をやめた。
「やっぱり、お前は面白いな!飽きねーよ。」
「それは何よりです。俺も久々に体を動かすことができて楽しかったです。
ありがとうございました。」
その後、それぞれの軍に指示を出し自身は汗を拭うと制服を着たザックス・ヒルはイオリ達を連れて王宮の外に出た。
「見ろよ。王宮はボロボロだが、街は守られている。
ヴァルトのとこのカーバンクルがいたとしても、よく守ったものだ。
よくやった。」
この国に来てから、ちゃんと街を見ていなかったイオリは壊れていない街並みを見て安心した。
そんな中、王宮脇にゾロゾロと並ぶ人の群れを見た。
衛兵が1人1人を書類と照らし合わせて決して豪華でない馬車に乗せている。
次々と行われている、その光景を見たイオリはザックスに聞いた。
「あれは、何をしているんですか?」
「あぁ、あれな。
前政権時にヴァハマン派だった連中やら不正やら恐喝をしでかしていた貴族や豪商達だ。
取り調べの末、悪質だった者達を裁判までそれぞれの場所で隔離するんだそうだ。
まぁ、今まで甘い汁を啜っていた連中さ。
あれは俺らにはどうにも出来ない。
ミズガルドの問題だ。」
トーレチカの改革の一歩を見たイオリ達が眉を下げながらも踵を返し王宮に入ろうとした時だった。
「ニナ!!ニナでしょ?
それに・・・ヒューゴ?ヒューゴじゃない!?」
女性の声が響き渡った。
アースガイル国軍将軍ザックス・ヒルは王宮の広場でミズガルドの軍人達を前に訓練という名の勝負を挑んでいた。
聞けば、王宮を囲む様に現れた大蛇をイオリが倒したらしい。
《俺も、大蛇とやり合いたかった!!
くそっ!イオリめ。いいところを持って行きやがって。》
子供がお祭りに間に合わなくて剝れる様に目の前の軍人をなぎ倒す。
ミズガルド軍の軍人達は他国にも名を轟かせるザックス・ヒル将軍との立ち合いに感動していたが、将軍の感情が読み取れるアースガイル軍の軍人達は深い深い溜息を吐いた。
尚且つ、将軍を諫める副官オーブリーがいないのが悔やまれる。
そんな訓練場に明るい声が響いていた。
「ザックス!イオリ連れてきたよ!」
「おぉ!!イオリ!来たか!勝負だ。」
パティが声をかけると嬉しそうにザックスが顔をあげ手招きをした。
イオリは苦笑するとコートをヒューゴに渡した。
大きなザックス・ヒルに対し、細身のイオリが素手で近づいていくのをミズガルドの軍人達は驚いて見ていた。
「ザックスさんが俺を捕まえられたら、ザックスさんの勝ちです。」
そう言うと、イオリはザックスに走っていった。
「いいねーいいねー。追いかけっこか?
やってやるよ。」
ザックスは真っ直ぐ走ってきたイオリに真横に剣を振った。
喚くミズガルド軍に対し慣れた光景のアースガイル軍の軍人達は申し訳ないとヒューゴに眉を下げていた。
「オラァ!」
「ほっ!ほい!!」
決して手を抜いている感じではないザックス・ヒルの剣をギリギリで避けているイオリにミズガルドの軍人達は驚いていた。
イオリがザックス・ヒルの剣を蹴り飛ばし着地すると2人はニヤリとして勝負をやめた。
「やっぱり、お前は面白いな!飽きねーよ。」
「それは何よりです。俺も久々に体を動かすことができて楽しかったです。
ありがとうございました。」
その後、それぞれの軍に指示を出し自身は汗を拭うと制服を着たザックス・ヒルはイオリ達を連れて王宮の外に出た。
「見ろよ。王宮はボロボロだが、街は守られている。
ヴァルトのとこのカーバンクルがいたとしても、よく守ったものだ。
よくやった。」
この国に来てから、ちゃんと街を見ていなかったイオリは壊れていない街並みを見て安心した。
そんな中、王宮脇にゾロゾロと並ぶ人の群れを見た。
衛兵が1人1人を書類と照らし合わせて決して豪華でない馬車に乗せている。
次々と行われている、その光景を見たイオリはザックスに聞いた。
「あれは、何をしているんですか?」
「あぁ、あれな。
前政権時にヴァハマン派だった連中やら不正やら恐喝をしでかしていた貴族や豪商達だ。
取り調べの末、悪質だった者達を裁判までそれぞれの場所で隔離するんだそうだ。
まぁ、今まで甘い汁を啜っていた連中さ。
あれは俺らにはどうにも出来ない。
ミズガルドの問題だ。」
トーレチカの改革の一歩を見たイオリ達が眉を下げながらも踵を返し王宮に入ろうとした時だった。
「ニナ!!ニナでしょ?
それに・・・ヒューゴ?ヒューゴじゃない!?」
女性の声が響き渡った。
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