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新たな旅 ーミズガルドー
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この日1日、黙って成り行きを見ていたイオリは朝のヴァルトの言葉を思い出していた。
「相手はミズガルドの貴族の中でも最高峰の方だ。
情報のよれば、マシな方の部類だと判断する。
今日は私に任せてくれないか?」
イオリは今、目の前で本人よりも年上の貴族と堂々とやりとりをしているヴァルトに感嘆した。
そしてまた、主人を誇らしげに見ているトゥーレとマルクルに微笑んだのであった。
自分の出番は終わったと帰ってきたラックが再び背中に隠れようとするのをイオリは自分の前に立たせ肩を抱いた。
「本気の大人達を見ておこう。
彼らが示す先に俺たち平民の生きる道があるんだ。
今のラックは自由だ。どうしたいか、何をしたいか決めるのは君だよ。
だから、しっかり見ておいで。
彼らが何をしようとしているのかを。」
「うん。」
ラックは済んだ目を持った真剣な顔でイグナートとヴァルトと見つめた。
「何はともあれ、ドミトリー・ドナードは逃すわけにはいかない。
確かに私怨があり、憎しみしか感じられない男ではあるがヴァハマンを追求する為には必要だ。」
「現在も仲間が監視してくれています。
彼女もヴァハマンの元暗部でドミトリー・ドナードを発見した者です。
我々は彼女と合流し確保に向かいます。」
イグナートとヴァルトは計画を練り始めた。
「私達の他にもドミトリー・ドナードやヴァハマン侯爵に一言ある人間達がいるだろう。
連絡を取ろう。
我が祖父と母が手を貸してくれる。
何よりもポリーナの生家にも声をかけなければ。」
「それならば、私も実家に手紙を出しましょう。
ポリーナ様のお父様は私の父の親友。
父も事件の際は激怒しておられました。」
ソフィアはイグナートに意志の強い顔を向けると頷いた。
「ヴァハマン侯爵の交友は記録してあります。
私は今回の式典の出席者リストを作って参ります。」
執事ユーリィは主人の許可を取ると部屋を出て行った。
「事は内密に進めましょう。
どうせ言うことの聞かない私の事などヴァハマンは監視しているでしょうからね。
ヴァルト殿が変装して来られて良かった。」
イグナートはヴァルトにニヤリとした。
「どうぞ、ヴァルトとお呼びください。
私の方が若輩者です。
敬語も不要です。」
「ならば、私もイグナートと呼んでくれ。
よく考えれば紹介をしていなかった。
妻のソフィアだ。」
「ようこそ。ミズガルドへ。ヴァルト様。」
手を差し出したソフィアの手を握りヴァルトは微笑んだ。
「私の方も紹介しましょう。
従魔のカーバンクル、ルチアとクロムスです。
後ろにいるのが従者のトゥーレとマルクル
そしてラックと・・・。
我がポーレット公爵家専属冒険者のイオリです。
イオリが連れている従魔はゼンとアウラにソル。
我らが絶対的に信頼を置く者です。」
会釈をするイオリ達をカレリン公爵夫婦は微笑んで見つめていた。
「頼もしい限りだ。
不甲斐ない男だがよろしく頼む。」
自分の弱さを知っているイグナート・カレリンにイオリは好ましく思った。
「相手はミズガルドの貴族の中でも最高峰の方だ。
情報のよれば、マシな方の部類だと判断する。
今日は私に任せてくれないか?」
イオリは今、目の前で本人よりも年上の貴族と堂々とやりとりをしているヴァルトに感嘆した。
そしてまた、主人を誇らしげに見ているトゥーレとマルクルに微笑んだのであった。
自分の出番は終わったと帰ってきたラックが再び背中に隠れようとするのをイオリは自分の前に立たせ肩を抱いた。
「本気の大人達を見ておこう。
彼らが示す先に俺たち平民の生きる道があるんだ。
今のラックは自由だ。どうしたいか、何をしたいか決めるのは君だよ。
だから、しっかり見ておいで。
彼らが何をしようとしているのかを。」
「うん。」
ラックは済んだ目を持った真剣な顔でイグナートとヴァルトと見つめた。
「何はともあれ、ドミトリー・ドナードは逃すわけにはいかない。
確かに私怨があり、憎しみしか感じられない男ではあるがヴァハマンを追求する為には必要だ。」
「現在も仲間が監視してくれています。
彼女もヴァハマンの元暗部でドミトリー・ドナードを発見した者です。
我々は彼女と合流し確保に向かいます。」
イグナートとヴァルトは計画を練り始めた。
「私達の他にもドミトリー・ドナードやヴァハマン侯爵に一言ある人間達がいるだろう。
連絡を取ろう。
我が祖父と母が手を貸してくれる。
何よりもポリーナの生家にも声をかけなければ。」
「それならば、私も実家に手紙を出しましょう。
ポリーナ様のお父様は私の父の親友。
父も事件の際は激怒しておられました。」
ソフィアはイグナートに意志の強い顔を向けると頷いた。
「ヴァハマン侯爵の交友は記録してあります。
私は今回の式典の出席者リストを作って参ります。」
執事ユーリィは主人の許可を取ると部屋を出て行った。
「事は内密に進めましょう。
どうせ言うことの聞かない私の事などヴァハマンは監視しているでしょうからね。
ヴァルト殿が変装して来られて良かった。」
イグナートはヴァルトにニヤリとした。
「どうぞ、ヴァルトとお呼びください。
私の方が若輩者です。
敬語も不要です。」
「ならば、私もイグナートと呼んでくれ。
よく考えれば紹介をしていなかった。
妻のソフィアだ。」
「ようこそ。ミズガルドへ。ヴァルト様。」
手を差し出したソフィアの手を握りヴァルトは微笑んだ。
「私の方も紹介しましょう。
従魔のカーバンクル、ルチアとクロムスです。
後ろにいるのが従者のトゥーレとマルクル
そしてラックと・・・。
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我らが絶対的に信頼を置く者です。」
会釈をするイオリ達をカレリン公爵夫婦は微笑んで見つめていた。
「頼もしい限りだ。
不甲斐ない男だがよろしく頼む。」
自分の弱さを知っているイグナート・カレリンにイオリは好ましく思った。
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