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新たな旅 ー王都ー

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 ラックの暴露に慌てるイオリとアルフレッドであったが、ヒューゴが他の面々と戻ってくると落ち着き始めていた。

「あー。末恐ろしい諜報員を保護できて安心したな。」

「確かに・・・。ラック恐ろしい子。」

 褒められたと思ったのか照れるラックに苦笑した2人だった。

「それで、執務室にいるはずの貴方が何故こちらにいるのです?」

 宰相グレンの指摘にアフルレッドが誤魔化すようにソッポを向いていると

「イオリのスープを盗み喰いしてたよ。」

「あそこにしゃがんで食べてた。」

 双子がすぐさまに告げ口をした。

「あー!バラすでない!!」

「ほう・・・。事実ですか?」

 グレンの凍りつくような表情とクスクス笑う双子にアルフレッドは観念したようだった。
 倍の仕事を増やされ肩を落とすアルフレッドにクッキーと琥珀糖をあげるナギとニナであった。

「それで、その子はご飯も食べれたんですか?」

「はい。無事に。
 確認したところ、奴隷印も体の傷も消えていました。
 先ほど、ここまでの彼の生い立ちを聞いていたところです。
 後で報告しましょう。」

 グレンは納得したように頷いた。

「それで?国王自ら、少年の取り調べを行った結果。
 彼の処分は如何するのです?」

 いくら小さくても犯罪者。宰相として国王に判断を煽った。

「リルラはどう思う?」

 男達の後ろにいたリルラは顔を出すとラックと目を合わせた。

「さっき言ったラックと同じ境遇だった人だよ。
 君を助けてくれた人。」

 ラックは目を輝かせてリルラに近づいた。

「元気そうで良かった・・・。」

「うん。助けてくれてありがとう。」

 リルラは震える手でラックを包み込むと涙を流した。

「本当なら、もっと早く助けてあげたかった・・・。」

 2人を見守っていた王子達は国の争いに巻き込まれている人間の現実を見つめていた。

「早く、開放を実現したいな。」

 ギルバートの言葉にディビット、ニコライ、ヴァルトも頷いた。

「え・・・。みんなを助けてくれるの?」

 ラックは王子達に顔を向けた。

「あぁ。私達はそれを望んでいる。」

「私たちを助けてくれるって。
 だから、私はアースガイルを手助けしている。」

 リルラの言葉にラックは嬉しそうにニッコリとすると真剣な顔を王子達に向けた。

「僕もみんなを助けたい!!手伝わせて!!」

「それは・・・。
 再び、辛い世界に戻る事になるのだぞ?
 お前は子供だ。
 慈しまれ、大切にされる存在なのだぞ?」

 ギルバートはラックを諭すように言った。

「村が焼かれ、親が殺された。
 一緒に捕まった皆んなは今はどこにいるのか分からない。
 仕事で顔を合わす人達も死んだような目で生きている。
 自分だけが大切にさるなんて出来ないよ。

 王様が言ってくれた。
 間違っていた事に気づいたのなら、今度こそ正しき道を行けって。
 正しき道は誰も犠牲にならない世界だよ。」

 子供の言っている事に圧倒された王子達は国王に顔を向けた。

「・・・・ふぅ。
 ならば、為して見せなさい。
 リルラと共に・・・。」

「はい!!!
 お姉ちゃん!よろしくね。」

 こうして、ラックはリルラと共に再び裏の世界に戻る決意をしたのであった。

「僕・・・あのスープが生きてきて1番美味しかったよ。」

「いつでも食べにおいで。
 ラックはリルラの家族になるんだろ? 
 だったら、俺たちとは友達だよ。」

 イオリの言葉に嬉しそうに頷くラックとリルラであった。
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