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初めての旅 〜ダグスク〜

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「ところで、カイさん。
 ダグスクに朝市があるとか?執事のカールさんに聞いたんです。」

「えぇ。
 毎日、港で行われます。獲れたての魚や肉、野菜が売られますよ。
 イオリさんも楽しんでいただけると思います。」

  嬉しそうにイオリは頷くと、もう一つこの街に来た目的を聞いた。

「魚と言われますが、海藻などは置いてますか?
 あと・・・。魚を干したものなどは?」

「海藻ですか?海藻は食べませんよね?・・・食べるんですか?
 魚を干すとは?魚は新鮮な物を焼いたり煮たりします。
 使い切らない物はオイルにまぶして保存しますが・・・。」

 イオリは話を聞いくと、比較的にヨーロッパと同じかな?と考えた。
 カツオ節を見つけるのは難しいかもしれない。
 難しい顔をするイオリにアクセルの声が聞こえた。

「父さん。エナばあちゃんを紹介したらどう?
 何か知ってるかもしれないよ?」

 カイは手をパンっ!と叩きイオリに笑顔を向けた。

「お探しの物があるか分かりませんが、港の外れにエナというご婦人がおりましてね。
 我々が知らない食材を集める偏食家がいるんです。
 何かお役に立つかもしれませんよ?」

 面白そうだ。とイオリは頷くと家族の許可を得て向かうことにした。
 案内はアクセルが請け負ってくれた。

「イオリさんとは年も近いですし、街の事は知り尽くしているのでお役に立つかと
 どうぞ、使ってやってください。」

 微笑むカイにお礼を言い。アクセルに頭を下げた。

「よろしくお願いします。」

「こちらこそ。お爺さまを助けてくれた冒険者だと聞いた時からお話がしたかったんです。
 ありがとうございます。
 同じ年くらいなのに、旅をして僕より知らない物を沢山見てきている・・・。
 短い間ですが勉強させてくだい。」

 爽やかに笑うアクセルに子供達も好意的だ。

「早速、エナばあちゃんの元へ向かいましょう。
 今の時間ならいますから。」

 カイとフリオに別れを言いグラトニー商会を後にした。
 エナばあちゃんの元へ行くまでに子供達がアクセルに質問責めをした。

「王都へは行った事ある?」

「あるよ。この街とは全く違う街並みで驚いたよ。」

「この街に本屋さんはある?」

「あるよ。外国の商船も来るから変わった本があるから、今度案内するよ。」

「アクセルの兄弟はどうしてるの?」

「今日は家にいるね。上の妹は刺繍やちょっとした髪飾りを作るのが好きでね。
 下の妹は体を動かすのが好きなんだ。将来、冒険者になるって両親を心配させてる。
 一番したの弟は出てくる時、犬と靴下の取り合いをしていたよ。」

「アクセルの家は何色?」

「僕の家は黄色。中は白いけどね。」

 なんだかんだ、話しているうちに港の外れまで歩いてきていた。
 そこは大通りよりも少し寂しい様相だが、おそらく住人があえてやっているのだとイオリは思った。

「ここです。エナばあちゃーん!グラトニーのアクセルです。いますかー?」

 しばらくすると、扉が開き背の小さな老婆が出てきた。

「なんだい。今日は坊だけかい?大将は??」

「父は店にいます。今日は客人が探し物があって、エナばあちゃんなら知ってるんじゃないかと思ってお連れしたんです。」

「そうかい。そっちの人達だね。グラトニーが言うんじゃ変な輩じゃないんだろう。入っといで。」

 そうして、イオリ達は摩訶不思議なエナという老婆に迎え入れられたのであった。
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