112 / 472
初めての旅 〜アンティティラ〜
184
しおりを挟む
件の店・ハラペコで麦粥を頼み待ってる間に、イオリはお湯にミントを入れてギルマスとデュークの2人に差し出した。
「何だこれ?」
「スースーしますね。」
「二日酔いに良いですよ。気分がスッキリします。」
訝しげに口にすると、ウンウンと頷きながら飲んでいた。
「はいはい。お待たせ!
しょっぱいのが2つと甘いのが4つ、従魔の2つだよ。」
テーブルにドン!と皿を置くと女将さんはギルマスの背中をバシバシ叩き笑った。
「いつまでたってもギルマスは甘いのなんだよね。子供かい。」
「ちっ違うわい!ガキの頃からコレだったんだから、しょうがないだろ!」
「はいはいはい。ゆっくり食べるんですよー。」
さっさと他のテーブルに行く女将さんをギルマスは顔を真っ赤にして剥れるとクスクスと笑う子供達を睨みつけた。
「違うってんだよ!」
「「はいはい。」」
双子は女将さんの真似をしてギルマスをからかっていた。
「この街の女性はパワフルですね。」
イオリが言うとデュークは苦笑した。
「まぁ、女性の職人もいるし商人もいます。冒険者だっているんです。
この街の男性も荒々しいんで、強くならざる得なかったんでしょう。
私もここに来たばかりの時は驚きました。」
「デュークさんはこちらの生まれではないんですか?」
「ええ、私は王都の生まれです。
騎士の家系でしてね。今も父は勿論、兄と姉は騎士をしています。
私と弟が冒険者の道を選びまして、弟は現役ですよ。
王都を拠点に活動してましてランクはAです。
イオリさんは王都に行かれたことは?」
「いいえ。ポーレットから出たのも今回が初めてです。」
驚いたデュークが食べるのをやめた。
「本当に冒険者歴が短くSランクまで駆け上がったんですねー。」
「いやいや運が良かったんです。
デュークさんもお若く見えるのにサブマスなんて凄いです。」
2人の会話を聞くギルマスは呆れるように口を挟んだ。
「お前らなー。知らぬは己のみとは言ったもんだ。
まずは、イオリ!
馬鹿みたいに早くSランクになったんだから化け物だよ。お前は。
それでデュークだがな。
馬鹿みたいにニコニコしてるが、こいつの戦い方は尋常じゃないんだ。
騎士の家系だから剣を振り回すと思ったら大間違いだぞ。
俺みたいな腕っこっきりの男がマスターならコイツみたいに頭が回るやつも必要なんだよ。」
「「馬鹿みたいって・・・。」」
デュークとイオリが頬を膨らませるが子供達はキャッキャと笑う。
「そうだ!お前ら一緒に依頼してこい。
どうせ、暇だろ?」
そう言うと無理やりギルドへ戻され依頼ボードの前に立たされた。
「イオリさんは、遠距離がお得意なんですよね?私は近距離が好きですね。」
「そうなんですか?そうですね・・・。これなんてどうです?」
イオリが指差すのをデュークはニヤリとして頷いた。
依頼受付を済ませ、子供達と従魔を連れて出ていく2人を見届けるとヨルマが受付に顔を出した。
「アイツら何を受けるって?」
受付が心配そうに差し出す紙を見てヨルマもニヤリと笑った。
そこには“グリフォン”の文字があった。
「何だこれ?」
「スースーしますね。」
「二日酔いに良いですよ。気分がスッキリします。」
訝しげに口にすると、ウンウンと頷きながら飲んでいた。
「はいはい。お待たせ!
しょっぱいのが2つと甘いのが4つ、従魔の2つだよ。」
テーブルにドン!と皿を置くと女将さんはギルマスの背中をバシバシ叩き笑った。
「いつまでたってもギルマスは甘いのなんだよね。子供かい。」
「ちっ違うわい!ガキの頃からコレだったんだから、しょうがないだろ!」
「はいはいはい。ゆっくり食べるんですよー。」
さっさと他のテーブルに行く女将さんをギルマスは顔を真っ赤にして剥れるとクスクスと笑う子供達を睨みつけた。
「違うってんだよ!」
「「はいはい。」」
双子は女将さんの真似をしてギルマスをからかっていた。
「この街の女性はパワフルですね。」
イオリが言うとデュークは苦笑した。
「まぁ、女性の職人もいるし商人もいます。冒険者だっているんです。
この街の男性も荒々しいんで、強くならざる得なかったんでしょう。
私もここに来たばかりの時は驚きました。」
「デュークさんはこちらの生まれではないんですか?」
「ええ、私は王都の生まれです。
騎士の家系でしてね。今も父は勿論、兄と姉は騎士をしています。
私と弟が冒険者の道を選びまして、弟は現役ですよ。
王都を拠点に活動してましてランクはAです。
イオリさんは王都に行かれたことは?」
「いいえ。ポーレットから出たのも今回が初めてです。」
驚いたデュークが食べるのをやめた。
「本当に冒険者歴が短くSランクまで駆け上がったんですねー。」
「いやいや運が良かったんです。
デュークさんもお若く見えるのにサブマスなんて凄いです。」
2人の会話を聞くギルマスは呆れるように口を挟んだ。
「お前らなー。知らぬは己のみとは言ったもんだ。
まずは、イオリ!
馬鹿みたいに早くSランクになったんだから化け物だよ。お前は。
それでデュークだがな。
馬鹿みたいにニコニコしてるが、こいつの戦い方は尋常じゃないんだ。
騎士の家系だから剣を振り回すと思ったら大間違いだぞ。
俺みたいな腕っこっきりの男がマスターならコイツみたいに頭が回るやつも必要なんだよ。」
「「馬鹿みたいって・・・。」」
デュークとイオリが頬を膨らませるが子供達はキャッキャと笑う。
「そうだ!お前ら一緒に依頼してこい。
どうせ、暇だろ?」
そう言うと無理やりギルドへ戻され依頼ボードの前に立たされた。
「イオリさんは、遠距離がお得意なんですよね?私は近距離が好きですね。」
「そうなんですか?そうですね・・・。これなんてどうです?」
イオリが指差すのをデュークはニヤリとして頷いた。
依頼受付を済ませ、子供達と従魔を連れて出ていく2人を見届けるとヨルマが受付に顔を出した。
「アイツら何を受けるって?」
受付が心配そうに差し出す紙を見てヨルマもニヤリと笑った。
そこには“グリフォン”の文字があった。
1,136
お気に入りに追加
18,114
あなたにおすすめの小説
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
【完結】「父に毒殺され母の葬儀までタイムリープしたので、親戚の集まる前で父にやり返してやった」
まほりろ
恋愛
十八歳の私は異母妹に婚約者を奪われ、父と継母に毒殺された。
気がついたら十歳まで時間が巻き戻っていて、母の葬儀の最中だった。
私に毒を飲ませた父と継母が、虫の息の私の耳元で得意げに母を毒殺した経緯を話していたことを思い出した。
母の葬儀が終われば私は屋敷に幽閉され、外部との連絡手段を失ってしまう。
父を断罪できるチャンスは今しかない。
「お父様は悪くないの!
お父様は愛する人と一緒になりたかっただけなの!
だからお父様はお母様に毒をもったの!
お願いお父様を捕まえないで!」
私は声の限りに叫んでいた。
心の奥にほんの少し芽生えた父への殺意とともに。
※他サイトにも投稿しています。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
※「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※タイトル変更しました。
旧タイトル「父に殺されタイムリープしたので『お父様は悪くないの!お父様は愛する人と一緒になりたくてお母様の食事に毒をもっただけなの!』と叫んでみた」
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
妹に出ていけと言われたので守護霊を全員引き連れて出ていきます
兎屋亀吉
恋愛
ヨナーク伯爵家の令嬢アリシアは幼い頃に顔に大怪我を負ってから、霊を視認し使役する能力を身に着けていた。顔の傷によって政略結婚の駒としては使えなくなってしまったアリシアは当然のように冷遇されたが、アリシアを守る守護霊の力によって生活はどんどん豊かになっていった。しかしそんなある日、アリシアの父アビゲイルが亡くなる。次に伯爵家当主となったのはアリシアの妹ミーシャのところに婿入りしていたケインという男。ミーシャとケインはアリシアのことを邪魔に思っており、アリシアは着の身着のままの状態で伯爵家から放り出されてしまう。そこからヨナーク伯爵家の没落が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。