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初めての旅 〜アンティティラ〜

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 件の店・ハラペコで麦粥を頼み待ってる間に、イオリはお湯にミントを入れてギルマスとデュークの2人に差し出した。

「何だこれ?」

「スースーしますね。」

「二日酔いに良いですよ。気分がスッキリします。」

 訝しげに口にすると、ウンウンと頷きながら飲んでいた。

「はいはい。お待たせ!
 しょっぱいのが2つと甘いのが4つ、従魔の2つだよ。」

 テーブルにドン!と皿を置くと女将さんはギルマスの背中をバシバシ叩き笑った。

「いつまでたってもギルマスは甘いのなんだよね。子供かい。」

「ちっ違うわい!ガキの頃からコレだったんだから、しょうがないだろ!」

「はいはいはい。ゆっくり食べるんですよー。」

 さっさと他のテーブルに行く女将さんをギルマスは顔を真っ赤にして剥れるとクスクスと笑う子供達を睨みつけた。

「違うってんだよ!」

「「はいはい。」」

 双子は女将さんの真似をしてギルマスをからかっていた。

「この街の女性はパワフルですね。」

 イオリが言うとデュークは苦笑した。

「まぁ、女性の職人もいるし商人もいます。冒険者だっているんです。
 この街の男性も荒々しいんで、強くならざる得なかったんでしょう。
 私もここに来たばかりの時は驚きました。」

「デュークさんはこちらの生まれではないんですか?」

「ええ、私は王都の生まれです。
 騎士の家系でしてね。今も父は勿論、兄と姉は騎士をしています。
 私と弟が冒険者の道を選びまして、弟は現役ですよ。
 王都を拠点に活動してましてランクはAです。
 イオリさんは王都に行かれたことは?」

「いいえ。ポーレットから出たのも今回が初めてです。」

 驚いたデュークが食べるのをやめた。

「本当に冒険者歴が短くSランクまで駆け上がったんですねー。」

「いやいや運が良かったんです。
 デュークさんもお若く見えるのにサブマスなんて凄いです。」

 2人の会話を聞くギルマスは呆れるように口を挟んだ。

「お前らなー。知らぬは己のみとは言ったもんだ。
 まずは、イオリ!
 馬鹿みたいに早くSランクになったんだから化け物だよ。お前は。
 それでデュークだがな。
 馬鹿みたいにニコニコしてるが、こいつの戦い方は尋常じゃないんだ。
 騎士の家系だから剣を振り回すと思ったら大間違いだぞ。
 俺みたいな腕っこっきりの男がマスターならコイツみたいに頭が回るやつも必要なんだよ。」

「「馬鹿みたいって・・・。」」

 デュークとイオリが頬を膨らませるが子供達はキャッキャと笑う。

「そうだ!お前ら一緒に依頼してこい。
 どうせ、暇だろ?」

 そう言うと無理やりギルドへ戻され依頼ボードの前に立たされた。

「イオリさんは、遠距離がお得意なんですよね?私は近距離が好きですね。」

「そうなんですか?そうですね・・・。これなんてどうです?」

 イオリが指差すのをデュークはニヤリとして頷いた。

 依頼受付を済ませ、子供達と従魔を連れて出ていく2人を見届けるとヨルマが受付に顔を出した。

「アイツら何を受けるって?」

 受付が心配そうに差し出す紙を見てヨルマもニヤリと笑った。

 


 そこには“グリフォン”の文字があった。



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