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6異世界でネコになりましたが、ネコ化の秘密がバレました。
6-6異世界でネコになりましたが、反射は仕方ないと思うのです。
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「……」
「……」
「あのーそろそろ、現実に戻ってきていただいてもよろしいでしょうか?」
未だに唸りながらカナのことを凝視しているルーシュに対し、カナは思わずそう声をかけていた。
だというのに、ルーシュはよほど深く思考に潜り込んでいるのか顔をあげようともしない。
(……猫パンチでもしてやろうかしらー?)
そんな邪な考えがちらりと頭の片隅に浮かぶが、先ほど前足を上げただけで咎められたことを思いだして何とか踏みとどまった。
のだけれどー
「……分からない、な。いったいどんな呪詛がー」
ぶつぶつとそんなことを呟きながら、急にルーシュがカナの身体をひょいと抱き上げたのだ。
パァンッ!!
もはや、条件反射と言ってもいい。
急に持ち上げられたことに驚いたカナは、間髪いれずにルーシュへネコパンチを放っていた。
「……」
「……」
お互いに、多分驚いたのだろう。
ルーシュはカナを見て瞬きを一つするだけで、怒ろうともしない。
カナはカナで放ってしまった前足を引っ込めるタイミングを逃し、ルーシュの顔面に前足を「たしっ」とのせたまま固まっていた。
我慢できなかったのは悪いと思えど、いきなり人のことを無遠慮に持ち上げるのもいかがなものか。
と、心の中でこれは正当防衛にあたるから悪いのは自分だけじゃないと解釈しつつ、前足をゆっくりとルーシュから離す。
ルーシュが割りと色白だったせいもあって、頬の一部分が赤くなっているのがすぐ分かった。
(……まぁ、顔色が良くなったと思えば、うん)
どこをどう見ても、ルーシュの頬に残る赤みは自然なものではない。
が、一方的にカナが悪いわけでもないのでまぁ良しとしよう。
「……急に持ち上げられたらびっくりするので、止めてください」
至極真っ当な意見を口にし、ルーシュも悪いんだぞと暗に含ませてやる。
「それは……すみません。
でも、だからといって人様の頬にパンチを入れるのはどうなんですか?」
「反射でつい……すみませんでしたー」
まぁ、お互いが今回においては悪いのだろう。うん。
それがたとえ、ルーシュが術式に夢中になっていたせいであったとしても。
反射とはいえネコパンチを放ってしまったことを、カナは一応反省しておいた。
「……」
「あのーそろそろ、現実に戻ってきていただいてもよろしいでしょうか?」
未だに唸りながらカナのことを凝視しているルーシュに対し、カナは思わずそう声をかけていた。
だというのに、ルーシュはよほど深く思考に潜り込んでいるのか顔をあげようともしない。
(……猫パンチでもしてやろうかしらー?)
そんな邪な考えがちらりと頭の片隅に浮かぶが、先ほど前足を上げただけで咎められたことを思いだして何とか踏みとどまった。
のだけれどー
「……分からない、な。いったいどんな呪詛がー」
ぶつぶつとそんなことを呟きながら、急にルーシュがカナの身体をひょいと抱き上げたのだ。
パァンッ!!
もはや、条件反射と言ってもいい。
急に持ち上げられたことに驚いたカナは、間髪いれずにルーシュへネコパンチを放っていた。
「……」
「……」
お互いに、多分驚いたのだろう。
ルーシュはカナを見て瞬きを一つするだけで、怒ろうともしない。
カナはカナで放ってしまった前足を引っ込めるタイミングを逃し、ルーシュの顔面に前足を「たしっ」とのせたまま固まっていた。
我慢できなかったのは悪いと思えど、いきなり人のことを無遠慮に持ち上げるのもいかがなものか。
と、心の中でこれは正当防衛にあたるから悪いのは自分だけじゃないと解釈しつつ、前足をゆっくりとルーシュから離す。
ルーシュが割りと色白だったせいもあって、頬の一部分が赤くなっているのがすぐ分かった。
(……まぁ、顔色が良くなったと思えば、うん)
どこをどう見ても、ルーシュの頬に残る赤みは自然なものではない。
が、一方的にカナが悪いわけでもないのでまぁ良しとしよう。
「……急に持ち上げられたらびっくりするので、止めてください」
至極真っ当な意見を口にし、ルーシュも悪いんだぞと暗に含ませてやる。
「それは……すみません。
でも、だからといって人様の頬にパンチを入れるのはどうなんですか?」
「反射でつい……すみませんでしたー」
まぁ、お互いが今回においては悪いのだろう。うん。
それがたとえ、ルーシュが術式に夢中になっていたせいであったとしても。
反射とはいえネコパンチを放ってしまったことを、カナは一応反省しておいた。
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