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4真っ赤なドラゴンの秘密 生き物博士
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「ピンポーン」
大きな研究所のインターホンを押すと、まるでオオカミの遠ぼえのように奥へ奥へとピンポンの音がつながっていった。
広い建物だからどこにいても聞こえるようにたくさんのスピーカーがおいてある、と前に訪ねた時に博士から教えてもらっていたが、知らなければ何事かと思うだろう。
ピンポンの遠吠えがだいぶ小さくなった後、ようやくインターホンから博士の声が聞こえてきた。
「どちらさまかな」
「いつもお世話になってます、インタビュアーの者ですが」
「あぁ、君か。ちょっと待っててくれるかな」
「はい」
しばらくすると目の前の大きな門がゆっくりと内側に開きだした。
最初にこの研究所を訪ねた時にはちょっとびっくりしたが、今はもう2ヶ月に1回はお世話になっている身だ。
もうびっくりすることはないと思っていたのだが、私はちょっと甘かったらしい。
「いらっしゃいませ」
門が開いたその先にいた犬(博士が番犬代わりにおいているという犬の置物だ)からそんな音声が発せられた。
「っうわぁ!!!!」
いつもならそこに座っているだけなのに、今目の前にいる子は見事なおじぎをしつつ、ぱちくりとまばたきをしてみせてくれた。
「こ、これはご丁寧にどうもありがとうございます」
ついつい置物相手におじぎを返してしまう。
いや、もはやこれは置物と呼ぶにはあまりにも動きすぎるから、ロボットと呼ぶべきだろうか。
「どうだね、新しく改良した番犬あらため、お迎え犬は」
「博士、また目新しい子を取り入れましたね。びっくりしましたよ」
いつの間に来ていたのか、博士が得意げな顔ですぐそばに立っていた。
「今までの置物ではどうもちょっと寂しい気がして、話すことができる子にしてみたんだ、かわいいだろう?」
「かわいいです。でもちょっとびっくりしてしまいました」
「ほほほ、新しいモノに出会うときはいつでもドキドキとワクワクとちょっとした驚きがつきものじゃからな。
ささ、立ち話もなんだ、お茶でも飲みながら用件を聞かせてもらおうか」
「よろしくお願いします」
博士の後ろ姿を追いかけつつ、私はお迎え犬をもう一度見ようと振り返った。
門が完全に閉まりきるまで、お迎え犬は見事なおじぎをしていた。
なんと礼儀正しい子だ。
大きな研究所のインターホンを押すと、まるでオオカミの遠ぼえのように奥へ奥へとピンポンの音がつながっていった。
広い建物だからどこにいても聞こえるようにたくさんのスピーカーがおいてある、と前に訪ねた時に博士から教えてもらっていたが、知らなければ何事かと思うだろう。
ピンポンの遠吠えがだいぶ小さくなった後、ようやくインターホンから博士の声が聞こえてきた。
「どちらさまかな」
「いつもお世話になってます、インタビュアーの者ですが」
「あぁ、君か。ちょっと待っててくれるかな」
「はい」
しばらくすると目の前の大きな門がゆっくりと内側に開きだした。
最初にこの研究所を訪ねた時にはちょっとびっくりしたが、今はもう2ヶ月に1回はお世話になっている身だ。
もうびっくりすることはないと思っていたのだが、私はちょっと甘かったらしい。
「いらっしゃいませ」
門が開いたその先にいた犬(博士が番犬代わりにおいているという犬の置物だ)からそんな音声が発せられた。
「っうわぁ!!!!」
いつもならそこに座っているだけなのに、今目の前にいる子は見事なおじぎをしつつ、ぱちくりとまばたきをしてみせてくれた。
「こ、これはご丁寧にどうもありがとうございます」
ついつい置物相手におじぎを返してしまう。
いや、もはやこれは置物と呼ぶにはあまりにも動きすぎるから、ロボットと呼ぶべきだろうか。
「どうだね、新しく改良した番犬あらため、お迎え犬は」
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いつの間に来ていたのか、博士が得意げな顔ですぐそばに立っていた。
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「かわいいです。でもちょっとびっくりしてしまいました」
「ほほほ、新しいモノに出会うときはいつでもドキドキとワクワクとちょっとした驚きがつきものじゃからな。
ささ、立ち話もなんだ、お茶でも飲みながら用件を聞かせてもらおうか」
「よろしくお願いします」
博士の後ろ姿を追いかけつつ、私はお迎え犬をもう一度見ようと振り返った。
門が完全に閉まりきるまで、お迎え犬は見事なおじぎをしていた。
なんと礼儀正しい子だ。
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