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序章 再会は突然に
009 不穏なヤツら
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「八条学園?」
亮平は、その名前に聞き覚えがあった。
八条学園。それは、不良の溜まり場になっていると噂の私立中学校だ。今までに八条学園周辺の複数の小中学校を制圧したという噂もある。
だが八条学園とここ東成中までは八キロぐらい距離がある。
(まさか、その噂通りに制圧してるっていうことはないよな?)
「ま、まずいよ亮平! あの人たち、手に棍棒みたいなもの持ってるよ!」
未帆に言われて亮平は目線を八条学園のやつらの手元に落とす。先端にとげが付いている棍棒みたいな物をもっていた。
「せ、先生呼んでこないと! ……って、亮平?」
亮平は、気が付くと勝手に八条学園の集団に向かって走っていた。亮平の本能が亮平の体を動かさせたのだろう。
「亮平!」
未帆が言葉で止めてこようとするが、亮平の耳には入らない。そのまま、八条学園の集団の前まで走った。
「ん?なんだ、てめえは。もしかして、わざわざ殴られに来たのかな?」
八条学園の集団のうちの一人がこう言い放った。他の八条学園のやつらも、ニヤニヤ笑っている。
(っつ、こいつら……)
亮平の怒りはすでに頂点に達していた。だが、まだ亮平の理性は働いていた。亮平は一応今日のパトロール番だ。なので、対話を試みる。相手が相手なので、たぶん拒否されるだろう。
「は、八条学園ですか?いまはまだ学校終わってないので、遊びに来るなら学校が終わった後に……」
「ハア? てめえ、殴られたいのか?」
亮平の言った言葉に逆上した一人が、手に持っていたとげ付き棍棒を比較的近くにいた生徒に向かって振り回した。棍棒が当たった生徒がその場に倒れる。
亮平の中にわずかに残っていた理性が吹っ飛ぶ。
(こいつら全員、無関係な生徒に手を出して帰れるとでも思ってんのか?)
「てことで、俺らの返事はこうだ。お前はどうするんだ?おとなしくへこへこするか、それとも……」
八条学園の一人がその言葉を言い終わらないうちに、亮平は動いた。
まず一人目に右で頭を殴る動作をする。相手は棍棒を頭に移動させる。先端にとげが付いているため、防御にも使えるのだ。
だが、亮平はハナから頭を攻撃しようとは思っていなかった。スキができた腹部のみぞおちを狙って拳を当てる。左で。
「うぐっ……」
その一人はたちまち悶絶して、その場に崩れ落ちた。
その様子を見ていた他の八条学園のやつらは、驚いた表情を見せた。いくらクリーンヒット立ったとはいえ、普通に考えて左利きでもない限り左ではあまり強いパンチは打てるはずがない、と。
亮平は右利き。本来なら左は弱くなる。だが、亮平は左でも強くパンチを打つことができる。あの修羅場の中で磨かれた技術の賜物なのである。
仲間が崩れ落ちてしばらく沈黙していたものの、その崩れ落ちた八条学園の中学生と一番親しみが深かったであろう人が亮平に襲い掛かる。手には、当然のようにとげ付き棍棒を持って。
「お前の敵は討って!?」
亮平の右パンチをフェイントとみて、防御せずに攻撃しようとしてきたのだ。
だが、当然ながら亮平はパンチをこめかみにしっかりと打ち込む。相手がうめき声をあげて倒れこむ。
「ちょ、こいつただもんじゃないぞ!」
「この八条学園に手を出したらどうなるか覚えとけよ!」
恐れをなしたのか、捨て台詞を吐いて逃げていく。逃げ足が速く、亮平は一度追いかけようと思ったがやめた。
(くそったれが、こうなったら今すぐにでもあいつら全員に殴りこみを……)
亮平がそんなことも考えていた時、ある声がその亮平の思考を止めた。
「ストーップ! 亮平、これ以上暴走しないで!」
亮平は、その名前に聞き覚えがあった。
八条学園。それは、不良の溜まり場になっていると噂の私立中学校だ。今までに八条学園周辺の複数の小中学校を制圧したという噂もある。
だが八条学園とここ東成中までは八キロぐらい距離がある。
(まさか、その噂通りに制圧してるっていうことはないよな?)
「ま、まずいよ亮平! あの人たち、手に棍棒みたいなもの持ってるよ!」
未帆に言われて亮平は目線を八条学園のやつらの手元に落とす。先端にとげが付いている棍棒みたいな物をもっていた。
「せ、先生呼んでこないと! ……って、亮平?」
亮平は、気が付くと勝手に八条学園の集団に向かって走っていた。亮平の本能が亮平の体を動かさせたのだろう。
「亮平!」
未帆が言葉で止めてこようとするが、亮平の耳には入らない。そのまま、八条学園の集団の前まで走った。
「ん?なんだ、てめえは。もしかして、わざわざ殴られに来たのかな?」
八条学園の集団のうちの一人がこう言い放った。他の八条学園のやつらも、ニヤニヤ笑っている。
(っつ、こいつら……)
亮平の怒りはすでに頂点に達していた。だが、まだ亮平の理性は働いていた。亮平は一応今日のパトロール番だ。なので、対話を試みる。相手が相手なので、たぶん拒否されるだろう。
「は、八条学園ですか?いまはまだ学校終わってないので、遊びに来るなら学校が終わった後に……」
「ハア? てめえ、殴られたいのか?」
亮平の言った言葉に逆上した一人が、手に持っていたとげ付き棍棒を比較的近くにいた生徒に向かって振り回した。棍棒が当たった生徒がその場に倒れる。
亮平の中にわずかに残っていた理性が吹っ飛ぶ。
(こいつら全員、無関係な生徒に手を出して帰れるとでも思ってんのか?)
「てことで、俺らの返事はこうだ。お前はどうするんだ?おとなしくへこへこするか、それとも……」
八条学園の一人がその言葉を言い終わらないうちに、亮平は動いた。
まず一人目に右で頭を殴る動作をする。相手は棍棒を頭に移動させる。先端にとげが付いているため、防御にも使えるのだ。
だが、亮平はハナから頭を攻撃しようとは思っていなかった。スキができた腹部のみぞおちを狙って拳を当てる。左で。
「うぐっ……」
その一人はたちまち悶絶して、その場に崩れ落ちた。
その様子を見ていた他の八条学園のやつらは、驚いた表情を見せた。いくらクリーンヒット立ったとはいえ、普通に考えて左利きでもない限り左ではあまり強いパンチは打てるはずがない、と。
亮平は右利き。本来なら左は弱くなる。だが、亮平は左でも強くパンチを打つことができる。あの修羅場の中で磨かれた技術の賜物なのである。
仲間が崩れ落ちてしばらく沈黙していたものの、その崩れ落ちた八条学園の中学生と一番親しみが深かったであろう人が亮平に襲い掛かる。手には、当然のようにとげ付き棍棒を持って。
「お前の敵は討って!?」
亮平の右パンチをフェイントとみて、防御せずに攻撃しようとしてきたのだ。
だが、当然ながら亮平はパンチをこめかみにしっかりと打ち込む。相手がうめき声をあげて倒れこむ。
「ちょ、こいつただもんじゃないぞ!」
「この八条学園に手を出したらどうなるか覚えとけよ!」
恐れをなしたのか、捨て台詞を吐いて逃げていく。逃げ足が速く、亮平は一度追いかけようと思ったがやめた。
(くそったれが、こうなったら今すぐにでもあいつら全員に殴りこみを……)
亮平がそんなことも考えていた時、ある声がその亮平の思考を止めた。
「ストーップ! 亮平、これ以上暴走しないで!」
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