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そんなある日、啓徳は同じ卓球部の3年生の高井歩太にこっそりと声をかけられた。
「辰巳お前さ、叶絵ちゃんのこと好きなんだろ?」
啓徳は「いやどうだろうな」と濁す。歩太は「さては図星か? お前わかりやすいもんな。もしそうなら早く告っちゃえば良いのに。じゃあ俺、もう少し練習して帰るわ」と言って、練習場に向かっていった。
歩太の言う通り、確かに啓徳は叶絵に好意を抱いている。自分では隠し通しているつもりだったけれど、歩太にはお見通しだったのだ。告白するならこのタイミングだ。啓徳は叶絵とLINEを交換していたのだが、そう思った啓徳は叶絵にLINEで「明日話したいことがあるんだけど、部活終わったら一緒に帰らない?」と送る。叶絵から「OKです!」といううさぎのスタンプが送られてきて、啓徳は嬉しくなった。
部活が終わり、啓徳と叶絵以外の部員はみんな早々と帰宅する。2人きりになったタイミングで、啓徳と叶絵は一緒に帰った。周りに部員がいると瞬く間に噂が広がるので、見知った顔がないことを確認しながら。公園に寄り、啓徳は自動販売機で自分のお茶と叶絵の飲み物(水で良いとのことだった)を購入する。それからベンチで他愛もない話をした。
空が夕焼けになり、子どもたちも帰り始めた頃、啓徳と叶絵の間には良い雰囲気ができあがる。今だと思った啓徳は話を切り出した。
「好きです。付き合ってください」
話が終わり、啓徳の手は震えている。安心感と断られた時の気まずさとで入り混じっているからだ。
「はい、私で良ければよろしくお願いします」
しかし叶絵の返事はOKとのことだった。啓徳は気持ちが昂っている。まさかOKをもらえるなんて思っていなかったから。
その日以来、啓徳と叶絵は恋人同士になる。呼び方も辰巳先輩・平沢さんから、啓徳・叶絵という呼び方に変わった。冷やかされたくなかったので啓徳は叶絵と付き合っていることは誰にも言っていなかったのだが、2人が一緒に帰っているのを部員の1人に目撃され、噂はあっという間に広まってしまう。歩太にも「良かったなお前! 叶絵ちゃんと幸せになれよ?」と言われてしまい、啓徳は照れ臭くなる。
その辺のカップルに比べると、割とドライな付き合い方だと思う。叶絵に啓徳の誕生日プレゼントに何がほしいかと聞かれたこともあったけれど、啓徳は「俺の誕生日プレゼントはなしでいいよ。そんなことに叶絵の大事なお金を使わせたくないから」と断った。すると本当に誕生日プレゼントはなしだったけれど、啓徳としてはそれで良かったのだ。
「辰巳お前さ、叶絵ちゃんのこと好きなんだろ?」
啓徳は「いやどうだろうな」と濁す。歩太は「さては図星か? お前わかりやすいもんな。もしそうなら早く告っちゃえば良いのに。じゃあ俺、もう少し練習して帰るわ」と言って、練習場に向かっていった。
歩太の言う通り、確かに啓徳は叶絵に好意を抱いている。自分では隠し通しているつもりだったけれど、歩太にはお見通しだったのだ。告白するならこのタイミングだ。啓徳は叶絵とLINEを交換していたのだが、そう思った啓徳は叶絵にLINEで「明日話したいことがあるんだけど、部活終わったら一緒に帰らない?」と送る。叶絵から「OKです!」といううさぎのスタンプが送られてきて、啓徳は嬉しくなった。
部活が終わり、啓徳と叶絵以外の部員はみんな早々と帰宅する。2人きりになったタイミングで、啓徳と叶絵は一緒に帰った。周りに部員がいると瞬く間に噂が広がるので、見知った顔がないことを確認しながら。公園に寄り、啓徳は自動販売機で自分のお茶と叶絵の飲み物(水で良いとのことだった)を購入する。それからベンチで他愛もない話をした。
空が夕焼けになり、子どもたちも帰り始めた頃、啓徳と叶絵の間には良い雰囲気ができあがる。今だと思った啓徳は話を切り出した。
「好きです。付き合ってください」
話が終わり、啓徳の手は震えている。安心感と断られた時の気まずさとで入り混じっているからだ。
「はい、私で良ければよろしくお願いします」
しかし叶絵の返事はOKとのことだった。啓徳は気持ちが昂っている。まさかOKをもらえるなんて思っていなかったから。
その日以来、啓徳と叶絵は恋人同士になる。呼び方も辰巳先輩・平沢さんから、啓徳・叶絵という呼び方に変わった。冷やかされたくなかったので啓徳は叶絵と付き合っていることは誰にも言っていなかったのだが、2人が一緒に帰っているのを部員の1人に目撃され、噂はあっという間に広まってしまう。歩太にも「良かったなお前! 叶絵ちゃんと幸せになれよ?」と言われてしまい、啓徳は照れ臭くなる。
その辺のカップルに比べると、割とドライな付き合い方だと思う。叶絵に啓徳の誕生日プレゼントに何がほしいかと聞かれたこともあったけれど、啓徳は「俺の誕生日プレゼントはなしでいいよ。そんなことに叶絵の大事なお金を使わせたくないから」と断った。すると本当に誕生日プレゼントはなしだったけれど、啓徳としてはそれで良かったのだ。
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