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第四章
絶対、知られたくない!
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「……」
黙ったままベルを見つめる俺を、ベルもじっと見上げている。俺が今、どんな顔してるのかは蛇の小さな目じゃ映ってても分からない。
『ユキヤ….?』
そっか。契約はしていなかったけど、ソロモンと交流はあった訳だ。そして、召喚されれば対価と引き換えに応えていたんだな。俺が与えるモノなんかより、もっと別のモノを。
ソロモンと俺を重ね、彼を思い出してるベル。不意に蛇が人型のベル…ベリアルに重なってしまった。何だろう、このよく分からない気持ちは。
ベルの…顔が見たいな。
吐息のように、静かで微かな。どうしてか浮かんでしまった思いを心で呟く。
途端、ベルの双眼が大きく見開かれ、続いて『ぷつん』と何か細い糸が切れるような音が聞こえた…ような気がした。
「…? え、え…?!」
ブワッと、重厚でいて霧のような黒い魔力が突如視界を塞いだ。思わず目を瞑ったままソファーから立ち上がった俺の腕が、「何か」に力強く掴まれて全身を強張らせてしまう。
まさか、敵の襲撃?!
しまった、油断していた!え?ってかフゥ結界張ってたよな?まだ力は弱いけど、普通の人間だったら簡単に弾く位は..。
それに、例え突破されても危険を知らせる事は出来るはず。そもそもベルは…?!
「ユキヤ」
パニックになった俺の耳元で、俺の名が囁かれた。脳に直接響く声ではなく人の唇から発せられる、俺が良く知ってる男の声で。
「…!べ、ル…?」
ずっと閉じていた目を開けると、あれだけ真っ暗だった視界がクリアになっていた。それだけじゃなく、俺の目の前に立って見下ろしているのは…。
蛇じゃなく、絶世の美貌を持った悪魔だった。
「え…なんで…?」
掠れた声が漏れる。
だってベルは、師匠(予定)によって魅了の「縛り」を施されてた筈で…。
驚き過ぎて動けない俺の腕を掴みながら、ベルは皮肉気に片口端をあげた。
「ワザとかどうか知らんが、奴が俺に掛けた『縛り』は悪魔公である俺の魔力を抑えるには中途半端だった。お前も首の輪っかが細くなってたの、気づいてたろうが」
「そ、そういえば」
「忌々しい事に、『縛り』が完全に破れないギリギリ中途半端さだがな。その脆くなっていた所にお前の魅了の力が干渉した。それがこの結果だ」
「え?それって…」
ベルを見ながら、「本当の」姿が見たいって…。
も、もしかして、そんな理由で俺の魅了の力が師匠(予定)の術を破っちゃったって事なのか?!
驚くよりも居た堪れなさっていうかで、自分の顔に熱が集まってくるのが分かる。何で、どうしてって頭の中でぐるぐる疑問が回ってるんだけど、答えが見つかる訳もない。
腕掴まれてるから逃げられないし。……くそう。相変わらずガタイもいいし、息を呑むほど凶悪な美貌だな!蛇の時の可愛さゼロかよと、逆ギレ気味に心で悪態をついた。
「…で?俺を元に戻してどうしたかったんだ、ユキヤ」
そんな、狼狽えまくってる俺をしげしげと眺めていたベルだったが、至極当然な疑問を口に出され口籠ってしまう。
「ど、どうしたかった、って…」
んなもん、俺が聞きたい!動揺しまくりで目が泳ぐ俺に、ベルはニヤリと悪魔らしい悪辣な笑みを浮かべた。
「ユキヤ。お前、人肌が恋しかったか?」
「んなっ?!」
「そうだな、蛇の体じゃ抱きしめてやったり温めてやれねぇしなぁ」
「なっ、なっ、なにいって…!」
今の俺の顔は完全に真っ赤になってる。何なら首とかも。
何時もだったらセクハラ発言を「あーはいはい」であしらえるのに、無様にキョドり口籠ってしまった。
いや、当たってないし遠からずでもないんだけど、でもベルの顔を見たいって動機がこーなった訳で。そんなの絶対知られたくないし、知られてはいけないよなっ。
黙ったままベルを見つめる俺を、ベルもじっと見上げている。俺が今、どんな顔してるのかは蛇の小さな目じゃ映ってても分からない。
『ユキヤ….?』
そっか。契約はしていなかったけど、ソロモンと交流はあった訳だ。そして、召喚されれば対価と引き換えに応えていたんだな。俺が与えるモノなんかより、もっと別のモノを。
ソロモンと俺を重ね、彼を思い出してるベル。不意に蛇が人型のベル…ベリアルに重なってしまった。何だろう、このよく分からない気持ちは。
ベルの…顔が見たいな。
吐息のように、静かで微かな。どうしてか浮かんでしまった思いを心で呟く。
途端、ベルの双眼が大きく見開かれ、続いて『ぷつん』と何か細い糸が切れるような音が聞こえた…ような気がした。
「…? え、え…?!」
ブワッと、重厚でいて霧のような黒い魔力が突如視界を塞いだ。思わず目を瞑ったままソファーから立ち上がった俺の腕が、「何か」に力強く掴まれて全身を強張らせてしまう。
まさか、敵の襲撃?!
しまった、油断していた!え?ってかフゥ結界張ってたよな?まだ力は弱いけど、普通の人間だったら簡単に弾く位は..。
それに、例え突破されても危険を知らせる事は出来るはず。そもそもベルは…?!
「ユキヤ」
パニックになった俺の耳元で、俺の名が囁かれた。脳に直接響く声ではなく人の唇から発せられる、俺が良く知ってる男の声で。
「…!べ、ル…?」
ずっと閉じていた目を開けると、あれだけ真っ暗だった視界がクリアになっていた。それだけじゃなく、俺の目の前に立って見下ろしているのは…。
蛇じゃなく、絶世の美貌を持った悪魔だった。
「え…なんで…?」
掠れた声が漏れる。
だってベルは、師匠(予定)によって魅了の「縛り」を施されてた筈で…。
驚き過ぎて動けない俺の腕を掴みながら、ベルは皮肉気に片口端をあげた。
「ワザとかどうか知らんが、奴が俺に掛けた『縛り』は悪魔公である俺の魔力を抑えるには中途半端だった。お前も首の輪っかが細くなってたの、気づいてたろうが」
「そ、そういえば」
「忌々しい事に、『縛り』が完全に破れないギリギリ中途半端さだがな。その脆くなっていた所にお前の魅了の力が干渉した。それがこの結果だ」
「え?それって…」
ベルを見ながら、「本当の」姿が見たいって…。
も、もしかして、そんな理由で俺の魅了の力が師匠(予定)の術を破っちゃったって事なのか?!
驚くよりも居た堪れなさっていうかで、自分の顔に熱が集まってくるのが分かる。何で、どうしてって頭の中でぐるぐる疑問が回ってるんだけど、答えが見つかる訳もない。
腕掴まれてるから逃げられないし。……くそう。相変わらずガタイもいいし、息を呑むほど凶悪な美貌だな!蛇の時の可愛さゼロかよと、逆ギレ気味に心で悪態をついた。
「…で?俺を元に戻してどうしたかったんだ、ユキヤ」
そんな、狼狽えまくってる俺をしげしげと眺めていたベルだったが、至極当然な疑問を口に出され口籠ってしまう。
「ど、どうしたかった、って…」
んなもん、俺が聞きたい!動揺しまくりで目が泳ぐ俺に、ベルはニヤリと悪魔らしい悪辣な笑みを浮かべた。
「ユキヤ。お前、人肌が恋しかったか?」
「んなっ?!」
「そうだな、蛇の体じゃ抱きしめてやったり温めてやれねぇしなぁ」
「なっ、なっ、なにいって…!」
今の俺の顔は完全に真っ赤になってる。何なら首とかも。
何時もだったらセクハラ発言を「あーはいはい」であしらえるのに、無様にキョドり口籠ってしまった。
いや、当たってないし遠からずでもないんだけど、でもベルの顔を見たいって動機がこーなった訳で。そんなの絶対知られたくないし、知られてはいけないよなっ。
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