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第四章

将軍ザビア

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「んじゃシルフィ、まずはどこに行けばいい?」

部屋の外に出て歩く事しばし。出口に向かいながら、俺は周囲を小鳥のように飛んでいるシルフィに尋ねる。だが、彼は小首をコテンと可愛らしく傾け『ん?とね』とちょっと小難しい顔で唸った。

『ここからでて、とりあえずモリにはいってね~…そっからはよくわからない』

「え?分からない?」

おい!お前あの時、分かるかもって言っただろ!?と言うと、シルフィは困ったように眉をヘニョっと下げてしまった。

『う~ん。だってグリフォンのけはいがうすくて、せいかくにたどれないんだよー』

「薄い?でも気配が感じられるってことは、まだこの国にいるって事だよな?」

『それはどうかな?腐っても四元素の精霊が気配を辿れないと言う事は、グリフォンの残り香である可能性が高い』

ベルがすかさず口を挟む。それに対し、『くさってないもん!』と、シルフィがベルに対してピーピー文句を言っている。

えー!という事は、グリフォンもシェンナ姫も、もうこの国にはいないかもしれないと言う事か。そういや、あのふたりが消えたのは半月も前と聞いているし。

あーでもヤバいな…。もしそうだとしたら、探すのだけで何日かかるか分からない。というか、見付からないかもしれない。勢い込んで王様の所から出てきちまったけど、これからどうしよう。

『マスター、だいじょうぶ!マスターがボクにナマエをつけてくれれば、ボクのちから、もっとますから』

「え?そうなのか?」

『うん!なまえをつけてもらうと、マスターのしんのけんぞくになれるから、ちからもふえるんだ!』

へえ~!そうなんだ。名前つけるだけでレベルアップするんだ。修行要らずじゃないか。マジで羨ましい。

『…おい、クソチビ。てめえ名付け欲しさに嘘ついてやがんじゃねえだろうな?もしそうなら、後でぶっ殺すぞ?』

『う、ウソじゃないもん!』

あれ?ベルの脅しにシルフィがビビってる。
ついさっきまで強気一辺倒だったのに、一体どうしたんだろ?

「黒の魅了師殿」

突然声をかけられ、ちょっと驚きつつ振り向いた。すると、回廊の柱の影から気配を殺していただろう一人の兵士が出てきた。

浅黒い肌と黒髪黒目をした男らしい顔をした美丈夫だ。

他の兵士達より大柄で屈強な身体をしていて、身に付けている装具も所々金で装飾されている。一見して普通の兵士逹よりも明らかに豪華で、相当身分が上である事を示唆している。

けどこの人、どことなく王様に雰囲気が似ている気がするな。まあ、同じ民族だから外見似ているのは当然だけど。

「何かご用ですか?」

俺に対して緊張しているのか、僅かに目付きが険しい。それに殺気とまではいかないものの、何となく不穏な空気を感じる。ベルやシルフィが反応していないから大丈夫だとは思うけど、警戒はしておいた方がいいかな。

「御多忙の最中、足を止めさせてしまい申し訳ない。私はこの国の将軍職を拝命している者で、名をザビアと申します。以後お見知りおきを」

そう言って、深々と頭を下げるザビア将軍に、俺も日本人的感覚でペコリと頭を下げた。成程、将軍だったのか。

それで?軍部のトップが俺に何の用なんだろう。

「我が国の聖獣様と巫女姫の所在につきまして…。黒の魅了師殿にお耳に入れたき事がございます」

「えっ!?」

何だって!?
ひょっとしてこのザビア将軍、聖獣とお姫様の居場所についての何かを知っているのか?
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