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第四章

使い魔(?)同士の戦い

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「なあ、ひょっとして俺の眷属になったから、見た目変わったのか?」

俺の疑問に、シルフィはコックリと頷いた。

『そうだよー!あとはマスターがぼくになまえをつけてくれたら、かんぺきなけんぞくになれるんだー』

ほうほう、成る程。ベルに名前をつけた時と同じで、魂の繋がりみたいなもんが出来る…ってやつかな?因みに「ぼく」って事は性別は男の子か。

しかし名前かぁ…。俺、あんまそういうセンスないんだよな。ベルだって真名を短縮させたものだったし…う~ん。

『ユキヤ、悩むことなどないぞ。たかが下位精霊一匹。『羽虫』か『クソチビ』で十分だ』

悩んでいると、腕のベルが余計な事を口走る。
それに対し、シルフィがしっかりと売られた喧嘩を買った。

『なんだとー!たかがヘビのつかいまごときが!セイレイにたいしてえらそうにすんな!』

『はっ!俺はヘビでも使い魔でもねえ!てめぇと一緒にすんな羽虫!おいユキヤ、そんな使い捨て要員、後腐れがねえように、いっそ名無しにしとけ!』

「おいベル!黙って聞いてればお前、羽虫だの使い捨てだの、なに酷い事言ってんだ!しかもお前のせいで落下しそうになったのを、シルフィが助けてくれたんだぞ?お前も感謝すべきだろうが!」

『へへーんだ!おこられてやんの!ば~か!』

『んだと…!?この俺に向かって馬鹿とは…。クソ虫の分際が!!』

人型だったら絶対青筋立ててただろうベルは、言うが早いか電光石火の勢いでシルフィをパクリと咥えた。

『ギャー!やめてたすけて!マスター!!くわれる!!』

「こ、こらベル!!止めろ!ペッしなさい!!」

そのまま飲み込もうとするベルの口を必死にこじ開けようとするが、片腕ではそれも上手くいかない。
そうこうしているうち、ジタバタもがいて泣き喚くシルフィの身体がどんどんベルの口の中に消えていき、見えなくなった。…と思ったら、ペッと吐き出される。

『マズい』

ベルが一言、そう言い放つ。

吐き出され、呆然とした風にふよふよ浮いていたシルフィだったが、我に返ると同時に怒りの暴風を周囲に吹き荒らした。

『くっそー!このはちゅうるい!!おまえなんて、このままじめんにたたきつけてやる!』

シルフィがそう叫んだ直後、俺を守る様に覆っていた風の膜が無くなり、再び身体は重力に逆らう事無く落下していく。

「ち、ちょっと待てシルフィ…うっわああああああー!!」

狙いはベルなんだろうけど、腕に巻きついて離れなければ、俺も当然とばっちりを喰らう訳で……!
そんな事に考えが及ばない位に激怒したシルフィが、更に風の力を叩き付けてきた。

「ぎゃーーっ!!!」

『あっ!マスター!』

きりもみ状態で悲鳴を上げながら落下していく俺を見て、我に返ったのだろう。降下していた身体が地上に叩き付けられる寸前、突如として巻き上がった風に抱かれるように、俺たちは再び浮遊した。

フワリ…と、足の裏に固い地面の感触が伝わる。どうやら無事(?)地上に降り立ったらしい。俺はそのまま両膝崩れ落ち、ガックリと地面へ四つん這いとなって深いため息を吐いた。

「た….たすかっ….た….!」

うう…そ、それにしてもこれは堪える。

前世で経験した事のある、ギネスに乗ったスーパーアトラクションよりも過激な空中飛行…いや、落下体験に、もう頭の中は真っ白だ。

『ったく…。仮にも眷属が主を危険に晒すなど有り得ねぇ。流石は低能な羽虫。失格なんてもんじゃねぇな』

『うっさいハチュウルイ!おまえなんてナニもできないじゃないか!おまえこそマスターのソバにいるしかくなんてない!!』

…うるさい黙れ。お前らふたり仲良く失格だ。

ぎゃーぎゃー五月蝿い2匹に突っ込む気力もなく、心で突っ込むしかなかったが。

ああもう!許されるのなら、このまま地面にへたり込んで気絶してしまいたい。ここ数日波瀾万丈すぎて、既にキャパオーバー気味なんですけどオレ。

「貴様!なに奴だ!?」

だが、それは許されない…みたいだな。

着地した時の風圧が結果状態になっていたのか。それが収まり開けた視界に飛び込んで来たのは、槍や剣をこちらに構えている大勢の兵士達の姿だった。
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