89 / 194
第四章
使い魔(?)同士の戦い
しおりを挟む
「なあ、ひょっとして俺の眷属になったから、見た目変わったのか?」
俺の疑問に、シルフィはコックリと頷いた。
『そうだよー!あとはマスターがぼくになまえをつけてくれたら、かんぺきなけんぞくになれるんだー』
ほうほう、成る程。ベルに名前をつけた時と同じで、魂の繋がりみたいなもんが出来る…ってやつかな?因みに「ぼく」って事は性別は男の子か。
しかし名前かぁ…。俺、あんまそういうセンスないんだよな。ベルだって真名を短縮させたものだったし…う~ん。
『ユキヤ、悩むことなどないぞ。たかが下位精霊一匹。『羽虫』か『クソチビ』で十分だ』
悩んでいると、腕のベルが余計な事を口走る。
それに対し、シルフィがしっかりと売られた喧嘩を買った。
『なんだとー!たかがヘビのつかいまごときが!セイレイにたいしてえらそうにすんな!』
『はっ!俺はヘビでも使い魔でもねえ!てめぇと一緒にすんな羽虫!おいユキヤ、そんな使い捨て要員、後腐れがねえように、いっそ名無しにしとけ!』
「おいベル!黙って聞いてればお前、羽虫だの使い捨てだの、なに酷い事言ってんだ!しかもお前のせいで落下しそうになったのを、シルフィが助けてくれたんだぞ?お前も感謝すべきだろうが!」
『へへーんだ!おこられてやんの!ば~か!』
『んだと…!?この俺に向かって馬鹿とは…。クソ虫の分際が!!』
人型だったら絶対青筋立ててただろうベルは、言うが早いか電光石火の勢いでシルフィをパクリと咥えた。
『ギャー!やめてたすけて!マスター!!くわれる!!』
「こ、こらベル!!止めろ!ペッしなさい!!」
そのまま飲み込もうとするベルの口を必死にこじ開けようとするが、片腕ではそれも上手くいかない。
そうこうしているうち、ジタバタもがいて泣き喚くシルフィの身体がどんどんベルの口の中に消えていき、見えなくなった。…と思ったら、ペッと吐き出される。
『マズい』
ベルが一言、そう言い放つ。
吐き出され、呆然とした風にふよふよ浮いていたシルフィだったが、我に返ると同時に怒りの暴風を周囲に吹き荒らした。
『くっそー!このはちゅうるい!!おまえなんて、このままじめんにたたきつけてやる!』
シルフィがそう叫んだ直後、俺を守る様に覆っていた風の膜が無くなり、再び身体は重力に逆らう事無く落下していく。
「ち、ちょっと待てシルフィ…うっわああああああー!!」
狙いはベルなんだろうけど、腕に巻きついて離れなければ、俺も当然とばっちりを喰らう訳で……!
そんな事に考えが及ばない位に激怒したシルフィが、更に風の力を叩き付けてきた。
「ぎゃーーっ!!!」
『あっ!マスター!』
きりもみ状態で悲鳴を上げながら落下していく俺を見て、我に返ったのだろう。降下していた身体が地上に叩き付けられる寸前、突如として巻き上がった風に抱かれるように、俺たちは再び浮遊した。
フワリ…と、足の裏に固い地面の感触が伝わる。どうやら無事(?)地上に降り立ったらしい。俺はそのまま両膝崩れ落ち、ガックリと地面へ四つん這いとなって深いため息を吐いた。
「た….たすかっ….た….!」
うう…そ、それにしてもこれは堪える。
前世で経験した事のある、ギネスに乗ったスーパーアトラクションよりも過激な空中飛行…いや、落下体験に、もう頭の中は真っ白だ。
『ったく…。仮にも眷属が主を危険に晒すなど有り得ねぇ。流石は低能な羽虫。失格なんてもんじゃねぇな』
『うっさいハチュウルイ!おまえなんてナニもできないじゃないか!おまえこそマスターのソバにいるしかくなんてない!!』
…うるさい黙れ。お前らふたり仲良く失格だ。
ぎゃーぎゃー五月蝿い2匹に突っ込む気力もなく、心で突っ込むしかなかったが。
ああもう!許されるのなら、このまま地面にへたり込んで気絶してしまいたい。ここ数日波瀾万丈すぎて、既にキャパオーバー気味なんですけどオレ。
「貴様!なに奴だ!?」
だが、それは許されない…みたいだな。
着地した時の風圧が結果状態になっていたのか。それが収まり開けた視界に飛び込んで来たのは、槍や剣をこちらに構えている大勢の兵士達の姿だった。
俺の疑問に、シルフィはコックリと頷いた。
『そうだよー!あとはマスターがぼくになまえをつけてくれたら、かんぺきなけんぞくになれるんだー』
ほうほう、成る程。ベルに名前をつけた時と同じで、魂の繋がりみたいなもんが出来る…ってやつかな?因みに「ぼく」って事は性別は男の子か。
しかし名前かぁ…。俺、あんまそういうセンスないんだよな。ベルだって真名を短縮させたものだったし…う~ん。
『ユキヤ、悩むことなどないぞ。たかが下位精霊一匹。『羽虫』か『クソチビ』で十分だ』
悩んでいると、腕のベルが余計な事を口走る。
それに対し、シルフィがしっかりと売られた喧嘩を買った。
『なんだとー!たかがヘビのつかいまごときが!セイレイにたいしてえらそうにすんな!』
『はっ!俺はヘビでも使い魔でもねえ!てめぇと一緒にすんな羽虫!おいユキヤ、そんな使い捨て要員、後腐れがねえように、いっそ名無しにしとけ!』
「おいベル!黙って聞いてればお前、羽虫だの使い捨てだの、なに酷い事言ってんだ!しかもお前のせいで落下しそうになったのを、シルフィが助けてくれたんだぞ?お前も感謝すべきだろうが!」
『へへーんだ!おこられてやんの!ば~か!』
『んだと…!?この俺に向かって馬鹿とは…。クソ虫の分際が!!』
人型だったら絶対青筋立ててただろうベルは、言うが早いか電光石火の勢いでシルフィをパクリと咥えた。
『ギャー!やめてたすけて!マスター!!くわれる!!』
「こ、こらベル!!止めろ!ペッしなさい!!」
そのまま飲み込もうとするベルの口を必死にこじ開けようとするが、片腕ではそれも上手くいかない。
そうこうしているうち、ジタバタもがいて泣き喚くシルフィの身体がどんどんベルの口の中に消えていき、見えなくなった。…と思ったら、ペッと吐き出される。
『マズい』
ベルが一言、そう言い放つ。
吐き出され、呆然とした風にふよふよ浮いていたシルフィだったが、我に返ると同時に怒りの暴風を周囲に吹き荒らした。
『くっそー!このはちゅうるい!!おまえなんて、このままじめんにたたきつけてやる!』
シルフィがそう叫んだ直後、俺を守る様に覆っていた風の膜が無くなり、再び身体は重力に逆らう事無く落下していく。
「ち、ちょっと待てシルフィ…うっわああああああー!!」
狙いはベルなんだろうけど、腕に巻きついて離れなければ、俺も当然とばっちりを喰らう訳で……!
そんな事に考えが及ばない位に激怒したシルフィが、更に風の力を叩き付けてきた。
「ぎゃーーっ!!!」
『あっ!マスター!』
きりもみ状態で悲鳴を上げながら落下していく俺を見て、我に返ったのだろう。降下していた身体が地上に叩き付けられる寸前、突如として巻き上がった風に抱かれるように、俺たちは再び浮遊した。
フワリ…と、足の裏に固い地面の感触が伝わる。どうやら無事(?)地上に降り立ったらしい。俺はそのまま両膝崩れ落ち、ガックリと地面へ四つん這いとなって深いため息を吐いた。
「た….たすかっ….た….!」
うう…そ、それにしてもこれは堪える。
前世で経験した事のある、ギネスに乗ったスーパーアトラクションよりも過激な空中飛行…いや、落下体験に、もう頭の中は真っ白だ。
『ったく…。仮にも眷属が主を危険に晒すなど有り得ねぇ。流石は低能な羽虫。失格なんてもんじゃねぇな』
『うっさいハチュウルイ!おまえなんてナニもできないじゃないか!おまえこそマスターのソバにいるしかくなんてない!!』
…うるさい黙れ。お前らふたり仲良く失格だ。
ぎゃーぎゃー五月蝿い2匹に突っ込む気力もなく、心で突っ込むしかなかったが。
ああもう!許されるのなら、このまま地面にへたり込んで気絶してしまいたい。ここ数日波瀾万丈すぎて、既にキャパオーバー気味なんですけどオレ。
「貴様!なに奴だ!?」
だが、それは許されない…みたいだな。
着地した時の風圧が結果状態になっていたのか。それが収まり開けた視界に飛び込んで来たのは、槍や剣をこちらに構えている大勢の兵士達の姿だった。
5
お気に入りに追加
940
あなたにおすすめの小説
【完結】僕の大事な魔王様
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。
「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」
魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。
俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/11……完結
2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位
2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位
2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位
2023/09/21……連載開始
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。
目覚めたそこはBLゲームの中だった。
慎
BL
ーーパッパー!!
キキーッ! …ドンッ!!
鳴り響くトラックのクラクションと闇夜を一点だけ照らすヘッドライト‥
身体が曲線を描いて宙に浮く…
全ての景色がスローモーションで… 全身を襲う痛みと共に訪れた闇は変に心地よくて、目を開けたらそこは――‥
『ぇ゙ッ・・・ ここ、どこ!?』
異世界だった。
否、
腐女子だった姉ちゃんが愛用していた『ファンタジア王国と精霊の愛し子』とかいう… なんとも最悪なことに乙女ゲームは乙女ゲームでも… BLゲームの世界だった。
【完結】『ルカ』
瀬川香夜子
BL
―――目が覚めた時、自分の中は空っぽだった。
倒れていたところを一人の老人に拾われ、目覚めた時には記憶を無くしていた。
クロと名付けられ、親切な老人―ソニーの家に置いて貰うことに。しかし、記憶は一向に戻る気配を見せない。
そんなある日、クロを知る青年が現れ……?
貴族の青年×記憶喪失の青年です。
※自サイトでも掲載しています。
2021年6月28日 本編完結
俺の婚約者は悪役令息ですか?
SEKISUI
BL
結婚まで後1年
女性が好きで何とか婚約破棄したい子爵家のウルフロ一レン
ウルフローレンをこよなく愛する婚約者
ウルフローレンを好き好ぎて24時間一緒に居たい
そんな婚約者に振り回されるウルフローレンは突っ込みが止まらない
モラトリアムは物書きライフを満喫します。
星坂 蓮夜
BL
本来のゲームでは冒頭で死亡する予定の大賢者✕元39歳コンビニアルバイトの美少年悪役令息
就職に失敗。
アルバイトしながら文字書きしていたら、気づいたら39歳だった。
自他共に認めるデブのキモオタ男の俺が目を覚ますと、鏡には美少年が映っていた。
あ、そういやトラックに跳ねられた気がする。
30年前のドット絵ゲームの固有グラなしのモブ敵、悪役貴族の息子ヴァニタス・アッシュフィールドに転生した俺。
しかし……待てよ。
悪役令息ということは、倒されるまでのモラトリアムの間は貧困とか経済的な問題とか考えずに思う存分文字書きライフを送れるのでは!?
☆
※この作品は一度中断・削除した作品ですが、再投稿して再び連載を開始します。
※この作品は小説家になろう、エブリスタ、Fujossyでも公開しています。
お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?
麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。
嫌われ公式愛妾役ですが夫だけはただの僕のガチ勢でした
ナイトウ
BL
BL小説大賞にご協力ありがとうございました!!
CP:不器用受ガチ勢伯爵夫攻め、女形役者受け
相手役は第11話から出てきます。
ロストリア帝国の首都セレンで女形の売れっ子役者をしていたルネは、皇帝エルドヴァルの為に公式愛妾を装い王宮に出仕し、王妃マリーズの代わりに貴族の反感を一手に受ける役割を引き受けた。
役目は無事終わり追放されたルネ。所属していた劇団に戻りまた役者業を再開しようとするも公式愛妾になるために偽装結婚したリリック伯爵に阻まれる。
そこで仕方なく、顔もろくに知らない夫と離婚し役者に戻るために彼の屋敷に向かうのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる