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序章「邂逅」
百合の蕾は突然に
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身支度を終え、今日は例の同僚に、丁重な御断りを入れようと、気が重くなりながら部屋を出た。
すると、いつも出た瞬間に遭遇する女子大生に、また会った。
「……。」
「……おはようございます。」
「あ…おはようございます。」
「……。」
いつも、向こうから挨拶でもしない限りは、無言でいることにしている。
変に声を掛けたところで、奇妙な印象を与えたくはないからだ。
「あの……。」
「……はい?」
「いつも、会いますよね?」
しかし、今日は、それ以上に妙だ。
相手は、何故か少し顔を赤らめている。
熱でもあるのだろうか?
もっと奇妙なのは、向こうから話しかけてきているのだ。
「ええ……そうですね。」
「迷惑じゃないですか?」
「何がですか?」
「いや……何となく、気まずそうにしているから。」
気まずいのは、迷惑だからじゃなくて、明らかに自分より若い女の子……しかも服装も、びっくりするぐらい原宿系のガーリーな服装で、若干フローラル系の香水をつけているような女子の塊みたいな子と、同じように離れていても並んでる瞬間は、自分の方が明らかに不自然である。
そういった意味で、自分のことで気まずいのだ。
何故、そんなこと気にするのだろう?
「別に、気まずいのは、私の方が年上だからですよ?」
「そんな~……同じ女子同士、折角の縁なんだから、仲良くしましょうよ!」
そう言うや否や、彼女が急に、私の腕に抱きついてきた。
どうすればいいのだろう?
これは非常に、本当にまずい。
私は、歩きながら、腕を緊張させた。
「あの……こういった御時世ですし、くっ付くのだけは……少し遠慮しましょう?」
「あ……ごめんなさい!」
「いやいや……私の方こそ、ちゃんと距離を取れなくて、ごめんなさい。」
「いいえ…本当に……。」
何だろう。
余計に、顔が赤らんで見える
何が何だか、本当に分からないのだが、もし間違いがなければ……まさか?
いや、止そう……変な想像が、昨日のことの所為で、浮かび易くなってるんだ。
「あの……良ければ、今晩…時間は空いてますか?」
「はい?」
「いや……こうして、お話ができて、私も沢山お話がしてみたくなって……駄目ですか?」
「あー……ほぼ初対面だけど、一体…何?」
「実は……。」
女子大生は、急に足を止めて、私の袖を摘まんだまま、上目遣いをしてきた。
もう、簡単に察してしまった。
あ……これ、また悩みが増えるぞ。
「実は私、引っ越してきてから、貴方を見かけて、ずっと一目惚れしてきました!」
「は⁉」
「ですから……お友達からでも良いので、親しくなってくれませんか?」
「あ~……。」
やっぱりな……と思った。
そして、私の悩みは予想通りに増えてしまった。
昨晩から今朝に掛けて、ありがた迷惑なことに、次々と私に余計な処理事件が増えていく。
すると、いつも出た瞬間に遭遇する女子大生に、また会った。
「……。」
「……おはようございます。」
「あ…おはようございます。」
「……。」
いつも、向こうから挨拶でもしない限りは、無言でいることにしている。
変に声を掛けたところで、奇妙な印象を与えたくはないからだ。
「あの……。」
「……はい?」
「いつも、会いますよね?」
しかし、今日は、それ以上に妙だ。
相手は、何故か少し顔を赤らめている。
熱でもあるのだろうか?
もっと奇妙なのは、向こうから話しかけてきているのだ。
「ええ……そうですね。」
「迷惑じゃないですか?」
「何がですか?」
「いや……何となく、気まずそうにしているから。」
気まずいのは、迷惑だからじゃなくて、明らかに自分より若い女の子……しかも服装も、びっくりするぐらい原宿系のガーリーな服装で、若干フローラル系の香水をつけているような女子の塊みたいな子と、同じように離れていても並んでる瞬間は、自分の方が明らかに不自然である。
そういった意味で、自分のことで気まずいのだ。
何故、そんなこと気にするのだろう?
「別に、気まずいのは、私の方が年上だからですよ?」
「そんな~……同じ女子同士、折角の縁なんだから、仲良くしましょうよ!」
そう言うや否や、彼女が急に、私の腕に抱きついてきた。
どうすればいいのだろう?
これは非常に、本当にまずい。
私は、歩きながら、腕を緊張させた。
「あの……こういった御時世ですし、くっ付くのだけは……少し遠慮しましょう?」
「あ……ごめんなさい!」
「いやいや……私の方こそ、ちゃんと距離を取れなくて、ごめんなさい。」
「いいえ…本当に……。」
何だろう。
余計に、顔が赤らんで見える
何が何だか、本当に分からないのだが、もし間違いがなければ……まさか?
いや、止そう……変な想像が、昨日のことの所為で、浮かび易くなってるんだ。
「あの……良ければ、今晩…時間は空いてますか?」
「はい?」
「いや……こうして、お話ができて、私も沢山お話がしてみたくなって……駄目ですか?」
「あー……ほぼ初対面だけど、一体…何?」
「実は……。」
女子大生は、急に足を止めて、私の袖を摘まんだまま、上目遣いをしてきた。
もう、簡単に察してしまった。
あ……これ、また悩みが増えるぞ。
「実は私、引っ越してきてから、貴方を見かけて、ずっと一目惚れしてきました!」
「は⁉」
「ですから……お友達からでも良いので、親しくなってくれませんか?」
「あ~……。」
やっぱりな……と思った。
そして、私の悩みは予想通りに増えてしまった。
昨晩から今朝に掛けて、ありがた迷惑なことに、次々と私に余計な処理事件が増えていく。
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