詩集『刺繡』

新帯 繭

文字の大きさ
上 下
40 / 92

しおりを挟む
命とは何だろう
永遠の課題で
答えのない疑問だ
ある意味では禅問答
一問一答で言ったもん勝ち
そういうものなのだろうか

命の重さを聞いたことがある
約21gらしい
それを重いと受け止めるのか
軽いと見做すのかは
受け手の価値観次第だ

私はそんな重量は
どうだっていいと思う
命の重さは物理の話ではない
そんなのは所詮
数字遊びに過ぎない

生きているという意味
それは生き物として
その自然での役割を全うする事
全うするまで本能として
それを遂行し続けるのだ
本当にそれが答えだろうか
私は違和感がある

全ての生命には
感情と心がある
これは科学でも証明された
ダンゴムシは仲間を思いやり
ハチは恐怖から自己犠牲心を持つ
鳥に至っては
ヒトで言うと5歳児と同じらしい

生きることは充足感を得ることだ
苦しむこともあるが
『人生楽あれば苦あり』とは
よく言ったものだと思う
ヒトが自然で果たす役割とは
一体何なのだろうか

それはきっと
『命の意味』を知ることだと思う
それを元手に
自己満足と独りよがりで
生きるものを
同族も異種も慈しむこと
それが私たちに課せられた
食物連鎖の頂点以外の役目だろう

生きているのならば
傷付けることや
生きている時間を奪うことの
そういう身勝手な権利は持ちえない
ただ生きるために食べることはある
そういう時は感謝をして
その分生きる責任がある
病気や事故で生きる時間を失っても
他にバトンを渡すことができるように
私たちは大事な命のバトンを
何本を握ってリレーを紡いでいる
しおりを挟む

処理中です...