詩集『刺繡』

新帯 繭

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『中性』と聞いて
真っ先に浮かぶものは
化学の『中性』
リトマス試験紙やph試験薬を
小中の理科の授業で
やったのを覚えている

中学といえば
保健体育の授業で
セクシャルマイノリティについて
道徳も交えて
学んだのを覚えている
そこで出るのは
”レズビアン”
”ゲイ”
”バイセクシャル”
”トランスジェンダー”
この4つである
何処にも『中性』は学ばない

私は自分が
『中性』だと知ったのは
25歳になってからである
それまで何もわからず
周囲に気持ち悪いといわれて
随分と悩みながら過ごしてきた
それ以上に自分が何者なのか
そこにも不安を抱いてきた
それを長い間過ごして
子供時代を棒に振ってきた

何故誰も教えないのだろう
私は疑問に思う
生きる場所というのは
誰も提供しないのだろうか
これでは受難である
”どちらか”でなければ
許されないこの世界で
私たちは今日も生きていく
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