詩集『刺繡』

新帯 繭

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物欲

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みんなが嫌がるもの
それでいて
無くなると寂しいもの
何故嫌がるのか
私には皆目見当もつかない
何故寂しいかだけはわかる
物欲とは
生きる活力である
物欲とは
自分を満たす
唯一の簡単な方法だからである

物欲を邪険に見ることは
私は嫌いだ
大嫌いである
物欲を受け入れて
大事にすることは
私は尊敬する

物欲とは
社会と世界を
動かす源である
物欲とは
陰で持ち主を支え
表向きには邪険にされる
不遇で優秀な召使である

そんな『物欲』に
私は敬意を表する
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