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11話 ※
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男が本気で抵抗しても無駄だなどと、普段誰が実感する機会あるだろうか。
「何で俺よりお前のが力あるんだよ……!」
「何かおかしいですか?」
「俺のが背、あるだろ。体形だってお前、華奢……」
一旦壁際まで後退したものの身動きの取れない状況で言えば、片手で高典の両手をつかんでいる周太はニコニコしたままもう片方の手で器用にネクタイを緩め、シャツのボタンをいくつか外してきた。
「ちょ、何脱ごうと……」
「俺は別に脱ぎませんよ。高典先輩のズボンとかは脱がしたいですけど」
「ふざ」
「ふざけてないんですけどね。今は高典先輩が俺を華奢だと思ってくださってるようだけど、残念ながらそう華奢でもないんですよって……」
相変わらずニコニコしつつ周太は途中とはいえ下の方までボタンを外したシャツを片手でグイッとはだけさせてきた。
「見てもらおうと思って」
そうでなくとも白い肌が露わになり、男だとわかっていても思わずドキリとしてしまう。だが高典はすぐに違うところに目がいった。
「……何か鍛えておられるんで?」
「何ですかその喋り方? というか筋トレくらい普通皆するでしょう?」
「あ、はは。そう、だな。うんそうだわ」
今日から俺もしよう。
シャツの中身も実際細身ではあったが、緩んだところなどなく肉がギュッと濃縮され詰まっているようにしか見えなかった。さすがにボディビルダーのような「同じ人間か?」と思いたくなるような筋肉ではないものの、少なくとも一瞬憧れを持ちそうな程度には引き締まっている。生クリームがたっぷりと入った菓子パンを食べている場合ではなさそうだ。
「俺はでも高典先輩の適度に硬くて適度に緩んだ体、好きですけどね」
うっかりガン見してしまって油断したせいで、壁際に逃げていたはずが元いた机に戻っており、それもあろうことか押し倒された。ハッとなりまた本気の抵抗を見せようとしたが、立っていてもかなわなかった力が押し倒されている状態でかなうはずもない。無駄に息が乱れてぐったりするだけだった。
「……クソ。お前、何する気? まさかレイプ?」
「レイプだなんて酷いです。同意の元でないセックスを俺がするとでも?」
今までの言動を思えばしそうでしか、ない。
「ちゃんとね、お互い欲しくてたまらない状況でしたいです、俺は。でも」
でも、と綺麗な顔を近づけて微笑む周太はこんな状況でも思わず見惚れてしまいそうだ。
──ハァハァ息荒げてなければな……!
「でもって、何。今のお前見てたら俺、今にも突っ込まれそうなんだけど……!」
「俺、学校で好きな人とイチャイチャするの、憧れてて」
そんな見た目していてかわいい憧れだな! とでも思えばいいのか、この状況とイチャイチャが結びつかなすぎるだろ! と言えばいいのか高典は一瞬混乱した。
「だからちょっとだけ」
「何がちょっとだけ……っんぅ」
近かった顔がさらに近づき、唇が重なった。ぐったりしていたもののまた無駄に抵抗しようとしてむしろ舌を絡められた。くぐもった、それでも変な声が自分から漏れる。
気持ち悪い、が先行しそうなものなのに多分違う意味で体がぞくぞくと震えた。その体にまわしていた片手で、キスをしながら周太は高典を少し上げてくる。おかげで無理に押し倒され中途半端に乗っていた体は一旦身を起こせたものの机の上に完全に乗るような状態となった。
「……はぁ……好き」
糸がひきそうなほど絡めてきた舌と唇をようやく離すと、周太は耳元で呟きながら高典のシャツを乱してくる。
「や、めろ」
「やめません」
「クソ、やっぱり襲う気じゃ」
「最後までしませんよ」
囁くように言い、周太は首筋から鎖骨、胸元へと開いたシャツの中に唇を這わせてきた。あまりがんじがらめにつかまれていない今なら抵抗して逃げられるはずだ。そう思うのに高典の体は動かせなかった。まるで痺れたように固まったようにその場に留まっている。
その間にも、胸先にキスをしながら周太の手は高典のズボンの前を寛げさせてくる。
「男の胸なんか何が楽しいんだよ……だいたい俺だって気持ちいいはずないだろ……っ」
「尖らせながら言われても。あとちゃんと高典先輩のここが反応してくれてて俺としては嬉しいです」
「……っ」
仕方ないだろう?
だって男なのだ。気持ちがいいことにどうしたって反応してしまう。例え男にされていようが、気持ちがよければ反応する。高典が慣れた大人だったならばまた違っていたかもしれないが、あいにく未経験の高校生真っ盛りで、自分の手以外にこんなこと、されたこともしたこともない。反応しないほうがおかしかった。
「や、め……っ」
「はぁ……高典先輩の……。あーもう堪らないです」
手でゆるゆると扱かれ、どうしたってますます硬くなっていたそれに、周太はあろうことか顔を近づけ咥えてきた。
「っひ?」
あり得ない状況や光景にドン引きのはずだというのに、悲しいかな、そこは萎えるどころかますます痛いほどに反応してしまう。
く、ち……ヤバ、い……ぬるぬるして、あったかくて……感じたことない感触伝わって、くる……。
ともすれば否定的な言葉どころか、出したくもない声が出そうになり、高典は涙目になりながら必死になって口を手で覆っていた。
「何で俺よりお前のが力あるんだよ……!」
「何かおかしいですか?」
「俺のが背、あるだろ。体形だってお前、華奢……」
一旦壁際まで後退したものの身動きの取れない状況で言えば、片手で高典の両手をつかんでいる周太はニコニコしたままもう片方の手で器用にネクタイを緩め、シャツのボタンをいくつか外してきた。
「ちょ、何脱ごうと……」
「俺は別に脱ぎませんよ。高典先輩のズボンとかは脱がしたいですけど」
「ふざ」
「ふざけてないんですけどね。今は高典先輩が俺を華奢だと思ってくださってるようだけど、残念ながらそう華奢でもないんですよって……」
相変わらずニコニコしつつ周太は途中とはいえ下の方までボタンを外したシャツを片手でグイッとはだけさせてきた。
「見てもらおうと思って」
そうでなくとも白い肌が露わになり、男だとわかっていても思わずドキリとしてしまう。だが高典はすぐに違うところに目がいった。
「……何か鍛えておられるんで?」
「何ですかその喋り方? というか筋トレくらい普通皆するでしょう?」
「あ、はは。そう、だな。うんそうだわ」
今日から俺もしよう。
シャツの中身も実際細身ではあったが、緩んだところなどなく肉がギュッと濃縮され詰まっているようにしか見えなかった。さすがにボディビルダーのような「同じ人間か?」と思いたくなるような筋肉ではないものの、少なくとも一瞬憧れを持ちそうな程度には引き締まっている。生クリームがたっぷりと入った菓子パンを食べている場合ではなさそうだ。
「俺はでも高典先輩の適度に硬くて適度に緩んだ体、好きですけどね」
うっかりガン見してしまって油断したせいで、壁際に逃げていたはずが元いた机に戻っており、それもあろうことか押し倒された。ハッとなりまた本気の抵抗を見せようとしたが、立っていてもかなわなかった力が押し倒されている状態でかなうはずもない。無駄に息が乱れてぐったりするだけだった。
「……クソ。お前、何する気? まさかレイプ?」
「レイプだなんて酷いです。同意の元でないセックスを俺がするとでも?」
今までの言動を思えばしそうでしか、ない。
「ちゃんとね、お互い欲しくてたまらない状況でしたいです、俺は。でも」
でも、と綺麗な顔を近づけて微笑む周太はこんな状況でも思わず見惚れてしまいそうだ。
──ハァハァ息荒げてなければな……!
「でもって、何。今のお前見てたら俺、今にも突っ込まれそうなんだけど……!」
「俺、学校で好きな人とイチャイチャするの、憧れてて」
そんな見た目していてかわいい憧れだな! とでも思えばいいのか、この状況とイチャイチャが結びつかなすぎるだろ! と言えばいいのか高典は一瞬混乱した。
「だからちょっとだけ」
「何がちょっとだけ……っんぅ」
近かった顔がさらに近づき、唇が重なった。ぐったりしていたもののまた無駄に抵抗しようとしてむしろ舌を絡められた。くぐもった、それでも変な声が自分から漏れる。
気持ち悪い、が先行しそうなものなのに多分違う意味で体がぞくぞくと震えた。その体にまわしていた片手で、キスをしながら周太は高典を少し上げてくる。おかげで無理に押し倒され中途半端に乗っていた体は一旦身を起こせたものの机の上に完全に乗るような状態となった。
「……はぁ……好き」
糸がひきそうなほど絡めてきた舌と唇をようやく離すと、周太は耳元で呟きながら高典のシャツを乱してくる。
「や、めろ」
「やめません」
「クソ、やっぱり襲う気じゃ」
「最後までしませんよ」
囁くように言い、周太は首筋から鎖骨、胸元へと開いたシャツの中に唇を這わせてきた。あまりがんじがらめにつかまれていない今なら抵抗して逃げられるはずだ。そう思うのに高典の体は動かせなかった。まるで痺れたように固まったようにその場に留まっている。
その間にも、胸先にキスをしながら周太の手は高典のズボンの前を寛げさせてくる。
「男の胸なんか何が楽しいんだよ……だいたい俺だって気持ちいいはずないだろ……っ」
「尖らせながら言われても。あとちゃんと高典先輩のここが反応してくれてて俺としては嬉しいです」
「……っ」
仕方ないだろう?
だって男なのだ。気持ちがいいことにどうしたって反応してしまう。例え男にされていようが、気持ちがよければ反応する。高典が慣れた大人だったならばまた違っていたかもしれないが、あいにく未経験の高校生真っ盛りで、自分の手以外にこんなこと、されたこともしたこともない。反応しないほうがおかしかった。
「や、め……っ」
「はぁ……高典先輩の……。あーもう堪らないです」
手でゆるゆると扱かれ、どうしたってますます硬くなっていたそれに、周太はあろうことか顔を近づけ咥えてきた。
「っひ?」
あり得ない状況や光景にドン引きのはずだというのに、悲しいかな、そこは萎えるどころかますます痛いほどに反応してしまう。
く、ち……ヤバ、い……ぬるぬるして、あったかくて……感じたことない感触伝わって、くる……。
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