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一時の平和な日常

ヤーシュレイ

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そんな時であった。

「……だから貴女は、いつまでも大切な人を無意識に遠ざけ、身勝手に孤独を選ぶのですわ。」

森の闇の中から、澄んだ声が聞こえてきた。

「その声は、ヤーシュレイ?」

反応したのは、アーシュリーだった。

「へぇ?互いに『神』になっても、私の声は判るのね?」

スゥッと闇の中から、その女性は現れる。

シンは、その唯ならぬ気に反射的に無言で身構える。

「その殿方が『姉様』が選んだ次の『英雄』ですか?」

ヤーシュレイと呼ばれた女性は、まるで品定めをするかの様に、シンを爪先から頭のてっぺんまで、ジロジロと見回していた。

「……ふぅん?あんまり大した事なさそうね?むしろ私が呼んだ英雄の方が強くてよ?」

なんだ?初対面で随分と失礼な奴だな。とシンは思いながらヤーシュレイを軽く睨む。

「……ふん。言いたい事はそれだけか?ヤーシュレイ。」

「……うふふっ、自分が恋一つせず、自己犠牲で世界を救ったと思い上がった姉様に一つ忠告と、私の子孫・・・・の顔を見にと、そちらの英雄さんへご挨拶に来たのよ?一応は歓迎して下さっても罰は当たらないのではないかしら?」

不敵な笑みを浮かべつつ、チラリとサラを見やる。

どういう事だ?
ヤーシュレイが祖先と言わんばかりの言葉が聞こえたが。

シンは解せないと言う表情をした。

それを見たヤーシュレイは

「姉様はね。その昔、この世界が壊滅する戦いの為に身を投じ、世界を繋ぎとめる為に、命を捧げたのよ?ただの『英霊』が『神』に成れたのを不思議に思わないかしら?英雄さん?」

冷徹な表情をしているヤーシュレイではあるが、シンは彼女の一瞬の表情を見逃さなかった。

一瞬だけだったが、悲しげな感情が表面に表れたのだった。

なんだ?
この違和感は。

「ヤーシュレイ、そんな話の為にここに来たのか?」

アーシュリーは、ヤーシュレイを睨み付けながら、言葉を続ける。

「お前が実体化したと言う事は、『お前が選んだ英雄』をこの世界・・・・に召喚したと言う事か?『別の世界の神に成った』お前が?何故にこの世界に干渉してきた?」


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