上 下
84 / 111
大乱と統一

戦後処理

しおりを挟む
同時に他の反抗貴族の勢力は、王国と帝国が雪崩の如きの進軍を開始。それにより、次々と領土や軍自体の壊滅が決定的になった。
統率者無き公国は、これにて瓦解するのであった。

問題の戦後処理だが、フォルクハルトがエルネスティーネに交渉材料として伝えるべき事を話し、それをサイと帝国総指揮官ジュラルドに提示した。

内容は公国は解体し、領土・国民は全て王国に返上する。
協力した帝国に関しては、希望する金額を賠償とし、分割でも支払う。
ヴィルヘルム大公家の一族の戦争責任の判決はサイに委ねる。
王国側に協力した貴族は、変わらぬ温情ある処遇を望む。

との事であった。
サイは、シン達にも意見を求めると、シンを筆頭で異口同音に

「今回の戦功の第一人者はフォルクハルトを始めとするヴィルヘルム一族にあり、戦犯としては扱わない様にし、麾下に加えるべし。」

と言う事だった。

ジュラルド将軍も賠償金の方針で、帝国本土に金額を相談し、おって連絡すると言う話で一区切り着いた。

残る問題は、公国が研究していたレビウスゾンビの研究…………Z計画についての事であった。

公国は間違い無く亡国と手を組み、王国の元宰相ゴンザレスと何らかの密約か何があった筈である。

ゴンザレスは一言もその件については沈黙を守り、クォーロストは、亡国側から帰順した時に、その部分の記憶が抹消される様に術を掛けられていた様なので、未だに謎である。

このZ計画に関する情報は、トップシークレット扱いとし、新たに設けた部署、『情報部』を設立。リックとアンジュが部署担当の責任者となり、継続して調べる事となった。

破壊され応急措置で不安定な封印でギリギリ保っていた『門』は、老司祭のヒュースが再封印に成功。
亡者の侵攻を食い止める事が出来た。

国に関しては、王国と公国の合併により、法律を改正。奴隷制度撤廃と亜人達に対する対等人権の確立を徹底した。
また、グラード王国の国名も改名する事となった。

家臣達からも幾つかの国名の候補をサイは集って聴いていたが、サイはイマイチと言う感じで、シンにまで新たな国名をどうするかを相談してきた。

「……で、シンから何か提案はないか?」

ジッと俺の目を見つめてくるサイ。
思わず目をそらしてしまう。
うん。俺はノーマルだ。
断じて、ソッチの気は無い。断言する。

「俺の故国は『日本』と呼ばれてた。英語では、ジパング。語源の発音だとジーペンだったと思います。」

その言葉を聴き、サイは思案顔になる。

「……いいなソレ。ジーペンか。なら国名は」

『ジーペン皇国』

と、なった。
王都は、皇都と変名。
王は皇王となった。

何とも目まぐるしい戦後処理であり、統一となった。

少しは平穏を満喫したいと、願うは贅沢であろうか。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜

トンコツマンビックボディ
ファンタジー
馬場香澄49歳 専業主婦 ある日、香澄は買い物をしようと町まで出向いたんだが 突然現れた暴走トラック(高齢者ドライバー)から子供を助けようとして 子供の身代わりに車にはねられてしまう

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

転生調理令嬢は諦めることを知らない

eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。 それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。 子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。 最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。 八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。 それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。 また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。 オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。 同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。 それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。 弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。  主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。  追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。  2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

処理中です...