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大乱と統一
HEROは遅れてやって来る。
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その頃、アヒム大公がフォルクハルト達の前に引っ立てられて来た。
「父よ。嫌、暴君アヒム。これまでの悪逆無道について、何か弁明は無いか?」
アルフォンスは、アヒム大公の眼をジッと、冷たい視線を向けて言い放った。
「………………………。」
アヒム大公は沈黙する。
その態度は傲岸不遜だ。
そんな態度でも、フォルクハルトは話し掛ける。
「父上、何故ですか!?何故、悪政を行ったのですか!?私には理解出来ない!あの優しく正義感溢れた、昔の父上とは真逆だ!一体どうして!?」
「……………………………。」
アヒム大公は答え無い。
まるで、心、ここに在らず。だ。
そんな静寂な中、不気味な声が街中に響き渡る。
「ふん。作戦は失敗しましたか。しかし、これで少しは混乱させる事に成功しましたな。」
ブンっと何かをアヒム大公に投げつけ、ソレが背中に突き刺さる。
「人形は人形らしく、最期まで使ってあげましょう。」
すると次の瞬間、アヒム大公は苦しみ悶え始めた。
「冥土の土産に教えてあげましょう。あなた方の母上を病に見せ掛け殺したのは私です。そして、その妻の死に悲嘆し、その心の隙を突き、魂を打壊し、脱け殻に死皇帝陛下を騙し、世界を統べると言う出来ない野望を植え付け悪政をさせて、この国を衰退せたのも、この私だ。この人形は良く踊ってくれましたよ。ですから、今のは私からの餞別と言う名のボーナスです。では、生き残れたなら、再会を楽しみにしてますよ。」
そう言うと、黒フードの男は消え去った。
「おのれぇ!」
フォルクハルトは激昂した。だが、もうその相手は去ってしまった。
やり場の無い怒りだけが、全身を駆け巡っていた。
それは、アルフォンスも同じであった。
そんな中、アヒム大公の苦しみの声は次第に増し、野太い大声と共に、身体が巨大化していった。
「ち、父上っ?」
体長が約5メートルの巨人になったアヒムは、腕や脚を振り回し、蹴り回して、兵士達を薙ぎ倒す。
「ウガーーっ!」
そんな中、黒フードを追って来たサラ達も合流。
巨人の出現に驚きつつも、弓矢や爆裂玉で応戦。
傷は付く。
だが、それを上回る再生能力が致命傷にさせない。
味方が、どんどん殺られて行く。
アヒムの拳がフォルクハルトを捉え、吹き飛ぶか、磨り潰されるか、と誰もが思った刹那。
…………ブロロロ………
ウォーーン!!
何かが飛び出し、それがアヒムの顔面に激しいクリティカルヒットを叩き出した。
ドガーーーン!
ドン!キキーーッ!!
ソレを顔面にぶつけた後、見事にソレと着地する。
「天が呼び、悪を討つ!降臨!鬼装闘神メタルバトラー!!」
ブォン!
バイザーに赤い光が宿る。
ゲールランナーを降り、ソレは消える。
メタルバトラーは、フォルクハルト達に告げる。
「ここは俺に任せて、住人達の避難を頼む。」
「し、しかし、父上が……」
「大公の事は気の毒とは思う。だが父を思うならば、国を、国民を護れ!」
メタルバトラーの、その言葉に何かを感じたのか、フォルクハルトは頷き、
「わかった。頼む。……皆の者、怪我人を担ぎ、移動と、住人の避難を!」
と、指示を出した。
アヒムは、メタルバトラーを無視し、攻撃を兵士達に浴びせようとした時、
「グラビティーキーック!」
と、メタルバトラーは、アヒムの背中に飛び蹴りを繰り出した。
すると、巨体は激しくぶっ飛ぶ。
「お前の相手は、この俺だ。大公。」
ファイティングポーズを取り対峙する。
そのメタルバトラーに向きと狙いを変え、今にも襲い懸かる様子のアヒム。
互いに一寸も動かず、相手の出方や隙を伺う。
その時間は永劫に続く様に思われた。
しかし沈黙を破り、先制したのはメタルバトラーだった。
「トウッ!」
ジャンプをして、パンチを放つ!
「ブラストナックル!」
防御をせずに、モロにヒットして、更にぶっ飛ぶ。
だが、アヒムはダメージを受けていない様子で土煙の中、ユラリと不気味に立ち上がった。
バイザーの表示にノーダメージと表れる。
「不死か?いや、絶対に何かある筈だ。」
ホルスターから、マグナムブラスターを抜き、標準をアヒムの頭部に合わせ射つ!
頭部は見事に無くなるも、すぐに復活し、新しい頭が生えて来る。
しかし生えた頭は、どこか異形だった。
生えてる位置も微妙にズレがある。
つまり完全な復元では無い、と言う事か?
そう分析していると、今度は此方がモロにパンチを貰った。
「チッ!しまった!!……ぐはぁっ!!」
メタルバトラーは、まるで投げられた人形の様に、建物の壁を次々と突き抜けながら、吹っ飛ばされた。
「……くぅうぅ……キッツ。」
パラパラっと建物が崩れる中、ヨロヨロと立ち上がる。
アーマーの耐久メーターが3分の1が減少した。
「……ヤバいな。ジリ貧だな。このままでは。」
さて、どうする?
博打の必殺技を当てるか?
だが分が悪い。
ここで敗北すれば、世界が終わってしまう可能性が高い。
どうする?
どうする?
迷いが頭の中で、堂々巡りを繰り返す。
しかし、それは無駄ではなかった。
「そうか、そうだったのか!」
メタルバトラーは、試しも兼ねて、一つの戦い方を実践してみようと決断をした。
「父よ。嫌、暴君アヒム。これまでの悪逆無道について、何か弁明は無いか?」
アルフォンスは、アヒム大公の眼をジッと、冷たい視線を向けて言い放った。
「………………………。」
アヒム大公は沈黙する。
その態度は傲岸不遜だ。
そんな態度でも、フォルクハルトは話し掛ける。
「父上、何故ですか!?何故、悪政を行ったのですか!?私には理解出来ない!あの優しく正義感溢れた、昔の父上とは真逆だ!一体どうして!?」
「……………………………。」
アヒム大公は答え無い。
まるで、心、ここに在らず。だ。
そんな静寂な中、不気味な声が街中に響き渡る。
「ふん。作戦は失敗しましたか。しかし、これで少しは混乱させる事に成功しましたな。」
ブンっと何かをアヒム大公に投げつけ、ソレが背中に突き刺さる。
「人形は人形らしく、最期まで使ってあげましょう。」
すると次の瞬間、アヒム大公は苦しみ悶え始めた。
「冥土の土産に教えてあげましょう。あなた方の母上を病に見せ掛け殺したのは私です。そして、その妻の死に悲嘆し、その心の隙を突き、魂を打壊し、脱け殻に死皇帝陛下を騙し、世界を統べると言う出来ない野望を植え付け悪政をさせて、この国を衰退せたのも、この私だ。この人形は良く踊ってくれましたよ。ですから、今のは私からの餞別と言う名のボーナスです。では、生き残れたなら、再会を楽しみにしてますよ。」
そう言うと、黒フードの男は消え去った。
「おのれぇ!」
フォルクハルトは激昂した。だが、もうその相手は去ってしまった。
やり場の無い怒りだけが、全身を駆け巡っていた。
それは、アルフォンスも同じであった。
そんな中、アヒム大公の苦しみの声は次第に増し、野太い大声と共に、身体が巨大化していった。
「ち、父上っ?」
体長が約5メートルの巨人になったアヒムは、腕や脚を振り回し、蹴り回して、兵士達を薙ぎ倒す。
「ウガーーっ!」
そんな中、黒フードを追って来たサラ達も合流。
巨人の出現に驚きつつも、弓矢や爆裂玉で応戦。
傷は付く。
だが、それを上回る再生能力が致命傷にさせない。
味方が、どんどん殺られて行く。
アヒムの拳がフォルクハルトを捉え、吹き飛ぶか、磨り潰されるか、と誰もが思った刹那。
…………ブロロロ………
ウォーーン!!
何かが飛び出し、それがアヒムの顔面に激しいクリティカルヒットを叩き出した。
ドガーーーン!
ドン!キキーーッ!!
ソレを顔面にぶつけた後、見事にソレと着地する。
「天が呼び、悪を討つ!降臨!鬼装闘神メタルバトラー!!」
ブォン!
バイザーに赤い光が宿る。
ゲールランナーを降り、ソレは消える。
メタルバトラーは、フォルクハルト達に告げる。
「ここは俺に任せて、住人達の避難を頼む。」
「し、しかし、父上が……」
「大公の事は気の毒とは思う。だが父を思うならば、国を、国民を護れ!」
メタルバトラーの、その言葉に何かを感じたのか、フォルクハルトは頷き、
「わかった。頼む。……皆の者、怪我人を担ぎ、移動と、住人の避難を!」
と、指示を出した。
アヒムは、メタルバトラーを無視し、攻撃を兵士達に浴びせようとした時、
「グラビティーキーック!」
と、メタルバトラーは、アヒムの背中に飛び蹴りを繰り出した。
すると、巨体は激しくぶっ飛ぶ。
「お前の相手は、この俺だ。大公。」
ファイティングポーズを取り対峙する。
そのメタルバトラーに向きと狙いを変え、今にも襲い懸かる様子のアヒム。
互いに一寸も動かず、相手の出方や隙を伺う。
その時間は永劫に続く様に思われた。
しかし沈黙を破り、先制したのはメタルバトラーだった。
「トウッ!」
ジャンプをして、パンチを放つ!
「ブラストナックル!」
防御をせずに、モロにヒットして、更にぶっ飛ぶ。
だが、アヒムはダメージを受けていない様子で土煙の中、ユラリと不気味に立ち上がった。
バイザーの表示にノーダメージと表れる。
「不死か?いや、絶対に何かある筈だ。」
ホルスターから、マグナムブラスターを抜き、標準をアヒムの頭部に合わせ射つ!
頭部は見事に無くなるも、すぐに復活し、新しい頭が生えて来る。
しかし生えた頭は、どこか異形だった。
生えてる位置も微妙にズレがある。
つまり完全な復元では無い、と言う事か?
そう分析していると、今度は此方がモロにパンチを貰った。
「チッ!しまった!!……ぐはぁっ!!」
メタルバトラーは、まるで投げられた人形の様に、建物の壁を次々と突き抜けながら、吹っ飛ばされた。
「……くぅうぅ……キッツ。」
パラパラっと建物が崩れる中、ヨロヨロと立ち上がる。
アーマーの耐久メーターが3分の1が減少した。
「……ヤバいな。ジリ貧だな。このままでは。」
さて、どうする?
博打の必殺技を当てるか?
だが分が悪い。
ここで敗北すれば、世界が終わってしまう可能性が高い。
どうする?
どうする?
迷いが頭の中で、堂々巡りを繰り返す。
しかし、それは無駄ではなかった。
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