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ハンサーラ公国と亡国の思惑

フォルクハルト兄弟の決断

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シン&アーシュリーが、コントしている時、フォルクハルトとアルフォンスはサロンに残り、今後の事について話し合いをしていた。
もう暫くしてから、対策室のメンバーと、フォルクハルトの主だった騎士達がやって来るだろう。

エルネスティーネはバスタイムで、席を外している。

「……兄上。私は、王国や帝国が介入前に決起すべき、と考えております。」

「……何故だ?王国と帝国が介入すれば、首都の警護どころか、己が領地がと、他の貴族が動けないだろう?フォル。」

「逆にするんです。謀叛により、諸侯が我々の行動に目が向いている間に、動いた貴族を王国と帝国に背後から襲って頂く。」

何故だ?とアルフォンスは思った。
すると、フォルクハルトは答える。

動く貴族・・・・は、大公に媚びを売る為に動く。つまり、やる気のある大公派と言う事にです。動かぬ貴族は、余程に頭がキレるか、保身の為に動けない。保身ならば、後でどうとでも料理出来ます。」

「なるほど?で、やるならいつだ?」

「王国対策室が、早急に連絡を入れると考えるならば、明日辺りが宜しいかと。」

明日と聞いて、流石のアルフォンスも驚く。

「な!?早急過ぎないか?」

「いいえ、寧ろ遅いくらいです。理由は、研究に関してですが、時間を置けば置くだけ、いつ完成するか解らないからです。詰まり、時間を掛ければ、相手に猶予を与えるだけで、リスクは高くなります。そして、もう一つ。我々騎士団が首都入りして、滞在日数を掛ければ、怪しまれます。ならば、相手も整っていないうちに、我々が動くべきかと思います。」

「……兵は神速をたっとぶ、か。」

納得した様に頷きながら、アルフォンスは呟いた。

「左様です。兄上。」

「あい、わかった!客人が来た時に、このむねを踏まえて作戦の立案をして頂こう。」


決起の時は、刻々と近づきつつある。

公国の未来を明るくする為に、兄弟は命を掛ける決断をした。

全ては国民の為に、と。
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