上 下
57 / 111
ハンサーラ公国と亡国の思惑

サラside

しおりを挟む
一方、サラ達はと言うと、かなりの距離を調査しながら進んでいた。

「……ここまでは、異常無し……ね。」

ふうっ、と息を吐きながら、サラは呟いた。

「……提案だが、シルヴェスタンが封印門近郊の町まで行った、と言う事は、公国側からいずれかの門を解放した……と判断したのでしょう。ならば、我々も封印門のある場所まで進むべきかと。時間にも限りはあります。」

アーノルドンは、変わらず無表情と抑揚の無い声で、サラに提案した。

「アーノルドンの言う通りッス。ギルドの依頼に時間が掛かり過ぎは、門番に怪しまれるッスよ。」

リーチェもアーノルドンに賛成する。

確かに、情報は正確である事に越した事は無い。

だが、時間を掛け過ぎて、内情を探っているのが、バレたら三流以下である。

ある程度の情報を集め、そこに接する事が出来れば儲け。
出来なければ、次に続きを探る。

それで良いと、サラも判断した。

「わかったわ。取り敢えず、一週間以内で進めましょう。ブラヴォーチームにも一報いれるわ。」

そう言うと、サラはロベルタに命令を通達した。

「……さて、問題はここからね。私達が向かっているのは、西側。つまり、こちら側の封印門が開いていた場合……」

「……最悪のケースだな。」

「……そーッスね。」

つまり帝国だけで無く、王国まで近い状況での開門。

亡国が、その門だけの聖壁の力を弱める事が出来れば、上位種なアンデッドだけで無く、下位種のアンデッドまで、難なく雪崩込んで来る可能性が非常に高くなる。

開門した公国はもとより、国境近郊の帝国・王国にも、亡国の軍勢が襲い掛かって来るのが想像出来る。

そうなると、公国相手だけで無く、アンデッドを含めた大混戦になるだろう。

そうなると、例え強力な帝国が味方として存在しても、同盟国たる王国が脆弱ならば、足を引っ張ってしまうのは間違いない。

ならば、開門の原因と公国の研究を一刻も早く突き止め、収束させねばならない。

気持ちが先走りするサラを見て、何かを感じたのか

「副長、焦るな。結果は必ず出る。今は任務の隠密性に集中するんだ。」

アーノルドンは、サラにそう語り掛けると、サラはハッとし、「うん」と言って、冷静さを取り戻す。

「そうね。急いで的確に。任務継続するわよ!」

『了解!』


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜

トンコツマンビックボディ
ファンタジー
馬場香澄49歳 専業主婦 ある日、香澄は買い物をしようと町まで出向いたんだが 突然現れた暴走トラック(高齢者ドライバー)から子供を助けようとして 子供の身代わりに車にはねられてしまう

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

転生調理令嬢は諦めることを知らない

eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。 それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。 子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。 最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。 八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。 それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。 また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。 オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。 同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。 それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。 弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。  主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。  追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。  2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

処理中です...