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暗雲たちこめる王国と公国

潜入(サラside)

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国王が崩御と、偽の情報に踊らされて、公国が王国に対して侵攻を本格的に開始するも、伏兵した王国軍と帝国軍の反撃に合い、公国の侵攻軍は壊滅した。

その合間を縫って、シン達は公国へ侵入。
冒険者として潜伏していた。

上手くいったのは、マスガンの工作によるものだ。

マスガンは、一応冒険者ギルドマスターと言う、表向き・・・の肩書きではいるものの、裏では、シン配下の(対策室役員)である。

先の国王暗殺未遂事件も、マスガン達、冒険者ギルド精鋭の情報を元に、王都侵入も突き止める事が出来た。

シン達にとっても、マスガンの役員入りは、とてつもないバックアップであった。

また、その事により広く人材を捜す、より良い場ともなった。


公国首都グレーダー。
この国の北東に位置する場所に首都が存在する。

治安は悪い様に思われがちだが、犯罪者は重い軽いに拘わらず、奴隷にすると言う罰則が在る為、以外と良好である。

無論、犯罪奴隷以外、亜人差別による奴隷もあり、健全とは言い難い部分も多数あった。

この国における冒険者の役割の大半は、薬草探しや、亜人狩り等が主ではあるが、良識ある冒険者は、亜人狩りは敬遠するミッションな為、モンスター狩りの方を選ぶのが、ポピュラーと言えた。

サラ達も到着してから、暫くは薬草探しとモンスター狩りをし、地域に違和感が持たれない様に溶け込む事から、任務は開始された。

お蔭で、今や周囲からは違和感も無く、気さくに声が掛かる位まで、入り込む事が出来る様になった。

サラはリーチェ、ロベルタ達はチームを組み、内情の探りを入れていた。
尚、シンは王都で、他の対策室業務に追われている。

「……なるほどね。つまり、公王は亡国に同盟、いえ、属国に成り下がりつつあるのね?


サラはロベルタの報告に、少し考えてから命令する。

「ねぇ、ロベルタ。……この国はどうやって、亡国と手を組んだのかしら?亡国は、どことも組まないと言う事で有名な筈よ?」

「現在、その辺はリーチェが調査中です。勿論、深入りは危険過ぎますので、ほどほどにとは伝えてますが。」

「わかったわ。私達も北の辺境にギルド依頼があるから、リーチェが戻り次第、調査を兼ねて、ギルドの仕事に入るわよ?いい?」

「わかりました。では、リーチェが戻り次第、準備に懸かります。」

「うん。よろしくね。」

サラは再び書類に眼を通し、現状の把握の為に、整理をつける作業に戻った。
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