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暗雲たちこめる王国と公国

反撃の下準備

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「黙れ、小僧っ!!」

頭に血が登ったゴンザレスが
ダガーでヘンリーを斬り殺そうした瞬間だった。

「………!?……う、動かん?」

ゴンザレスの身体が、何故か拘縮した様に全身が動かなくなってしまった。

「………………ふぃ~。死んだ振りもしんどいな。っと、俺は死んでるんだっけか?」

ベッドから上半身だけ起こしたクォーロストが其処にいた。

「あ?動くんじゃねーぞ?ゴンザレス。お前には、割って貰わねばならない口があるんだからよ?」

ゴンザレスの腕を抜け出し、ヘンリーはネーネリアの元へ駆け出して行った。
シンは、ため息を付きながら、

「だからチェックメイト・・・・・・・だ、と言ったんだがな?売国奴。」

と罵った。




ゴンザレスは、将軍達の指示により、兵士達に拘束され、牢獄へと連れて行かれた。

「それにしても、見事な連携ね、兄上達とシンは。他の皆には情報を開示しなかったし。」

すると、シンが

「そりゃ、そうだ。どこからゴンザレスに漏洩する可能性もあったし、リアリティーあったろ?サイの死に方。」

「うむ。俺が一肌脱いだのだ、死にマネは造作でもない。」

同意しながらも、胸を反らし威張るクォーロスト。

「それも、余がクォーロストの死に真似から注意がそれたからこそ、クォーロストの不意打ちが活かされたとは思うがな?」

一瞬、何とも言えない沈黙が流れるも、3人誰ともなく、一斉に吹き出し、大笑いした。

「……して、どうするんですか?ゴンザレスの処遇は。」

サラが質問をすると、サイは答える。

「うむ。最初は尋問だな。必要に応じて拷問になるとは思うがな?何せ、公国が関わっているとなれば、我が国にとっても、進軍する良い機会となろう。帝国も良い口実になろうしな。ジュラルド将軍にも、この情報は良い手土産となろう。」

なるほど。と、サラは得心した。

「して、シンを初め対策室に命を下す。冒険者として、公国に入り込み、情報を集めるなり、混乱に陥れるなり、あわよくば、公王を討ち取るもよし。人選、采配は任す。我が国が侵攻するに辺り、有利になる条件を作れ。よいか?」

すると、シンとサラは「御意」と一礼する。

「それと、クォーロスト。いや、兄上は余の影武者となってはくれまいか?」

すると、クォーロストは暫く考え込み、まとまると頷いた。

「よかろう。俺を貶めた奴は捕まった。が、この原因を作った公国には、深い怨みがある。奴らを根絶やしせねば、気か収まらん。ましてや、この書状にある通り、ゴンザレスが俺の遺体を公国側から亡国へ引渡し、死皇帝は、俺を復活させ、偽の情報を刷り込み、この地を侵攻する為、俺の境遇を利用したのだ、奴らを裏切っても文句は言えまい。」

一同は、その残酷な笑みで、ゾッとした。
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