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暗雲たちこめる王国と公国

出陣、そして………

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翌日、ギルバルトを総大将とした王国軍、約15000が第一陣として出陣。

続いて、ジュラルド麾下の帝国軍、約50000とブレイブ近衛騎士団が第二陣として出陣。

その後ろ姿を、城の高所からシンとサイは見送りながら、

「……いよいよだな。」

「ここから、相手がどう出るか。……俺の予測が当たれば、必ず。」

2人は呟く様に会話をしていた。

……奴は、必ず観ている。

息を潜め、この時が来たと。

待ってろ。
必ず、サイ達王室と、この国を守ってみせる!

「……時に、シンよ。こんな時に何だが。」

「?」

「妹と結婚し、余の義弟になるつもりは無いか?」

「まさか!?……お戯れを。」

「……戯れ言では無い。アレはシンにぞっこんだ。今まで、どれだけ見合いや婚約を全部ひっくり返し、異性に見向きもしかなかったアレが、お前だけには、異性と意識しているみたいだ。………どうだ?」

まさか、ここに来て180度も違う話題にシンは奇襲を受けた気持ちになった。

「アレだけが不服ならば、リーチェも側室として許そう。リーチェも満更でなさそうでな、ふははは。」

「……サイ、不意打ちだな。その話題。」

「あぁ!不意打ちさ。今の気分も変えたかったしな。それに、……もし余が討たれる様な事があれば、この国を任す人間は居ない。余の子も、まだまだ幼い。余の子が継がずとも、お前が居れば、必ず国は……」

サイがそこまで言うと、シンは会話にストップをかけた。

「……サイ、いいか?万が一を考えるのは悪くない。だが、それは俺の敗北を意味している。俺は負けるつもりは無いし、お前を失う様な事は、有り得ない。」

「……不意打ちか?」

「……あぁ、お返しだ。」

「……余にその気は無いぞ?」

「……安心しろ、俺もその気は無いぞ?断じて。」

すると、どちらが先か後かも無く、互いに破顔し笑った。

「まぁ、結婚は暫く考えておくよ。そこまで俺を買ってくれたのは、初めてだ。」

「余も、これは冗談のつもりは無い。お前だからこそ、大切な妹を任せられる。この戦いの後まで考えてくれ。……王命なんぞ、不粋な真似はしたくないのでな。」

「…………………………脅迫か?」

「…………………………半分は。」

「…………………………本気か?」

「…………………………極めて。」

この王には、どうにも勝てない気がしてきたシンであった。
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