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暗雲たちこめる王国と公国

新たな制度政策。

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『大移動』と称された、勅命が発令され、早、二ヶ月が経とうとしていた。

その間、シンは近隣諸国の状態等の情報収集にいそしみ、分析と予測、対応に精を出していた。

最初は、国は軽い混乱が起きたが、事態は終息し、今は安定している。

その間、グレイが何か仕掛けて来ると思ってはいたが、今のところ、目立つ動きが無い。

シンは間違いなく、こちらが油断する時期を見計らって、虎視眈々と時を待っていると、読んでいた。

無論、その事は国王をはじめ、重鎮・貴族達にも、『御一同努々ゆめゆめご油断無き様』にと、念をおして忠告をした。

周辺地域は過疎化したが、王都はじめ全盛期並みの活気に満ちていた。

貴族は、自分の領地が無くなり、不満を漏らしてはいたが、王家存亡となると、黙るようになった。

また、そう言う貴族の為に、新しく、剣鎧けんがい制度を採用し、良く励んだ者に対し、王家から価値ある剣や鎧を褒美として贈る事になった。

また、貴族の女性に対しても、ドレスを贈るという、褒美制度をもうけたのである。

また、民間人に対しても新制度を発足した。

学生制度である。
初等教育課程6年を経て、
農業
林業
畜産業
鉄工業
商業
飲食業
聖職業
術法業
冒険者業
軍閥業

等の専門職の学校に行く事が『義務』となった。

また、転職の制度と、労働に関する法律の導入も開始、農業等の兼業も許可と言う形にする事を確定した。

広く人財を発掘する為に必要不可欠である事から、大いに受け入れられたが、一部の貴族からは、自分達の地位の危うさから反対。

しかし、サイは。

「その様に胡座をかいて驕るならば、いつかは喉元を掻き切られる。地位の安寧を心配するならば、自己研鑽を行い、常に民衆のリーダーとしての資質を磨け。」

と、一蹴した。

後にサイは語る。

この制度を導入した事で、国は強くなった。と。
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