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暗雲たちこめる王国と公国
HERO、御前会議に出席す。
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一行は王都の城、ヴェーラング城に戻り、サイにゴンザレス、ブレイブ等他の重鎮達との話し合いの場を設けて頂いた。
シンは、一礼し先の事件の内容を話始める。
サーハン村でのゴブリンの軍団の襲来。
避難民に対し、謎の男(グレイ)によるオーク召喚による被害。
普通の国の貴族なら、民が被害者になろうが、どうでも良く、舞踏会等の為の話題程度で済ませるだろう。
しかし、小国なればこそ、一枚岩にならねばならない。
ましてや他国による侵略が無いとは言え、状況とは常に変動するものだ。
絶対に侵略が無いと言う保障はどこにも無い。
故に、グラード王国は稀に見る団結のある国と言える。
「それで、通称グレイと言う不逞な輩、魔物を召喚したと言うが、何が目的だ?」
立派な髭を生やした将軍。
ギルバルト将軍がシンに尋ねた。
ギルバルト将軍は生粋の武人であり、ブレイブ近衛騎士団長とは友人である。
以前、「あの団長と互角に渡り合える」腕の持ち主とは、この将軍の事であった。
「相手の目的は未だ不明点が多いのですが、侵略か何かの可能性が高いように思えます。」
ザワザワっと周囲がざわめき出した。
「静粛に!で、根拠は?」
ゴンザレス宰相が場を収め、シンに尋ねる。
「まずは、やり方です。力ずくの様に見せてはいますが、人間の軍ではない点。そして、召喚した『魔物』と言う手法を取った意味です。以前、前国王陛下が魔物討伐の戦場にて討ち死にと聴きましたが、不審な点は御座いませんでしたか?」
すると、黒人の将軍であるヤースキー将軍が答える。
「?……不審点か。確か、あの時……
敵が居なかったのにもかかわらず、馬上にて前陛下は、いきなり苦しみだし、落馬なされた……が?」
シンは言葉を吟味し、推測を脳内でまとめ、可能性を打ち出す。
「……なるほど。相手は魔族で、前陛下は名誉の為に討ち死にとなってはいるが、その実は不審死。では何故、前陛下を戦場へと出陣させる必要があったのでしょうか?そして、そのパターンは、今回の件と非常に酷似した状況ではありませんでしたか?」
「!!!」
その場の臣下一同は、氷ついた。
何故なら、シンが指摘した通り、酷似していたからだ。
魔物の大軍が村を襲い、国が軍を動かし、更に大軍の魔物が現れ、応戦する中、前国王が不審死をした。
その後、魔物は速やかに撤退したのである。
シンは皆の反応を確認した後、言葉を続けた。
「つまり今回も、現陛下、サイクォーダー国王陛下を戦場に引きずり出すのが、敵の目的だったのだと思います。」
ギルバルト将軍とヤースキー将軍は「まさか!」と言って驚いた。
「えぇ、間違いないと思います。そして、本来陛下が来る場所に俺が現れ、撃退してしまった。故にグレイは計画の軌道修正をしなくてはならなくなった。村人達を虐殺と陵辱により、魔物が出る場所だと印象をつける。しかし、これもグレイのブラフであったとするならば?」
サイは、シンにその言葉を確かめる様に尋ねる。
「……シン、それは真か?」
「可能性としては濃厚かと。そして、それをブラフとするならば、グレイの目的は?ヒントとしては、それはブレていない。」
しかし、そのシンの言葉で、サラは気が付いた。
「兄上様の命を奪う事、或いは王家の断絶。」
シンはサラの言葉に、大きく頷く。
「そう。狙いはブレていない。奴は、きっと陛下の命や断絶と言う目標の為に、今回の事件をブラフとして、陛下や御一同の眼を惹き付ける事にした。眼がそれた警備等手薄な時を狙い暗殺、そして侵略を再開するのが、グレイの策略と俺は観ています。」
シンの言葉ゴクリと唾を飲み込む音が誰かとは解らないが聞こえた。
「それは、あり得るのか?シン」
ブレイブ近衛騎士団長は尋ねる。
「極めて。しかし、前国王陛下をこの城から出さねばならなければ、暗殺が不可能だったのも、間違いないと思います。つまり、転移術等があるとするならば、それが使えない何かが、ヴェーラング城にあると思います。とするならば相手の次の一手は、かなり絞られますし、グレイからして見れば打つ手が限られた。と言う事です。」
シンは、一礼し先の事件の内容を話始める。
サーハン村でのゴブリンの軍団の襲来。
避難民に対し、謎の男(グレイ)によるオーク召喚による被害。
普通の国の貴族なら、民が被害者になろうが、どうでも良く、舞踏会等の為の話題程度で済ませるだろう。
しかし、小国なればこそ、一枚岩にならねばならない。
ましてや他国による侵略が無いとは言え、状況とは常に変動するものだ。
絶対に侵略が無いと言う保障はどこにも無い。
故に、グラード王国は稀に見る団結のある国と言える。
「それで、通称グレイと言う不逞な輩、魔物を召喚したと言うが、何が目的だ?」
立派な髭を生やした将軍。
ギルバルト将軍がシンに尋ねた。
ギルバルト将軍は生粋の武人であり、ブレイブ近衛騎士団長とは友人である。
以前、「あの団長と互角に渡り合える」腕の持ち主とは、この将軍の事であった。
「相手の目的は未だ不明点が多いのですが、侵略か何かの可能性が高いように思えます。」
ザワザワっと周囲がざわめき出した。
「静粛に!で、根拠は?」
ゴンザレス宰相が場を収め、シンに尋ねる。
「まずは、やり方です。力ずくの様に見せてはいますが、人間の軍ではない点。そして、召喚した『魔物』と言う手法を取った意味です。以前、前国王陛下が魔物討伐の戦場にて討ち死にと聴きましたが、不審な点は御座いませんでしたか?」
すると、黒人の将軍であるヤースキー将軍が答える。
「?……不審点か。確か、あの時……
敵が居なかったのにもかかわらず、馬上にて前陛下は、いきなり苦しみだし、落馬なされた……が?」
シンは言葉を吟味し、推測を脳内でまとめ、可能性を打ち出す。
「……なるほど。相手は魔族で、前陛下は名誉の為に討ち死にとなってはいるが、その実は不審死。では何故、前陛下を戦場へと出陣させる必要があったのでしょうか?そして、そのパターンは、今回の件と非常に酷似した状況ではありませんでしたか?」
「!!!」
その場の臣下一同は、氷ついた。
何故なら、シンが指摘した通り、酷似していたからだ。
魔物の大軍が村を襲い、国が軍を動かし、更に大軍の魔物が現れ、応戦する中、前国王が不審死をした。
その後、魔物は速やかに撤退したのである。
シンは皆の反応を確認した後、言葉を続けた。
「つまり今回も、現陛下、サイクォーダー国王陛下を戦場に引きずり出すのが、敵の目的だったのだと思います。」
ギルバルト将軍とヤースキー将軍は「まさか!」と言って驚いた。
「えぇ、間違いないと思います。そして、本来陛下が来る場所に俺が現れ、撃退してしまった。故にグレイは計画の軌道修正をしなくてはならなくなった。村人達を虐殺と陵辱により、魔物が出る場所だと印象をつける。しかし、これもグレイのブラフであったとするならば?」
サイは、シンにその言葉を確かめる様に尋ねる。
「……シン、それは真か?」
「可能性としては濃厚かと。そして、それをブラフとするならば、グレイの目的は?ヒントとしては、それはブレていない。」
しかし、そのシンの言葉で、サラは気が付いた。
「兄上様の命を奪う事、或いは王家の断絶。」
シンはサラの言葉に、大きく頷く。
「そう。狙いはブレていない。奴は、きっと陛下の命や断絶と言う目標の為に、今回の事件をブラフとして、陛下や御一同の眼を惹き付ける事にした。眼がそれた警備等手薄な時を狙い暗殺、そして侵略を再開するのが、グレイの策略と俺は観ています。」
シンの言葉ゴクリと唾を飲み込む音が誰かとは解らないが聞こえた。
「それは、あり得るのか?シン」
ブレイブ近衛騎士団長は尋ねる。
「極めて。しかし、前国王陛下をこの城から出さねばならなければ、暗殺が不可能だったのも、間違いないと思います。つまり、転移術等があるとするならば、それが使えない何かが、ヴェーラング城にあると思います。とするならば相手の次の一手は、かなり絞られますし、グレイからして見れば打つ手が限られた。と言う事です。」
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