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グラード王国王都ヴェーテル

冒険者としての初陣。

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ギルドタグをマスガンから受け取ると、シン達は案内掲示板の場所まで案内された。

「………へぇ。いろんな依頼があるもんだな。薬草取りから魔物退治まで。なるほどな。」

「で?初心者らしく、薬草取りから始めるッスか?」

「……だな。貰いは確か少ないが、この仕事で助かる農家の方もいるだろうし。」

そんな時に慌てて、少年がギルドに飛び込んで来た。

「た、助けて下さい!む、村がゴブリンの群れに襲われるんだ!」

ギルド職員が対応の為、少年に駆け寄り話をする。

「ねぇ、僕?ギルドはただでは働かないのよ?今、幾らで彼らを雇うの?」

ギルド職員の表情から、苦渋の色が見受けられる。
今この場にいるマスガンも同じだ。

「今、これしかないんだ。でも!僕が大きくなったら、必ず働いて払います。お願いします、お願いします!」

お金は共通銅貨10枚きりだった。
多分、この少年が貯めていたお金だろう。

「誰が、それっぽちの金額で命を掛けるんだ?出直せ、ぼーや。」

他の冒険者達からも、そうだそうだ、等と言う声がちらほら聞こえる。

「そ、そんなぁ。…お願い…します…みんな、死んじゃう、死んじゃうよぉ」

周囲の冒険者の冷たい声にうちひしがれる少年。

シンはサラとリーチェに目配せすると、2人は頷いた。
なら、シンのやる事は一つだ。

「……坊主。名前は?」

少年はくるっと振り向いた。
その顔は泣き崩れて、痛々しい。

「名前は?」

シンは目線を合わせる様に腰を落とし、優しい声でもう一度尋ねた。

「ボ………僕はジュード…です」

「ジュード、普通なら引き受けない金額なのはわかるな?」

「う、うん」

シンはギルド職員とマスガンに尋ねた。

「……ワリィ。俺、この子の依頼受けるわ。かまわないよな?」

するとマスガンは問いかける。

「それは構わないですが、よろしいんで?割に合いませんよ?」

わざとマスガンは言ってると、シンは感じたので、更に返す。

「構わない。こんな子供が泣いて頼んでるんだ。大の大人が聞かないのは、ガキのする事だ。…ただ、俺達の生活もある。次は、きちんと依頼料を持って来るんだぞ?ジュード。で、早く依頼手続きしてくれ。」

周囲の反応は

「おっ、おい……マジかよ?」

「無鉄砲過ぎるだろ?」

「赤字じゃん!」

等と散々である。
手続きを済ませ、ジュードはしゅんとした雰囲気でシンに向かって

「…………ごめんなさい。」

と、一言。
シンはジュードの頭を撫でる。

「気にするな。これは俺の性分だ。少ない分は出世払いで頼むぜ?ジュード」

と、笑ってジュードに話かける。
シン達も依頼受諾のサインと、タグ認証の為、水晶にタグをかざす。

「じゃあ、行くか。」

外に出ようとしたら、冒険者達の話声が聞こえる。

「あ、あいつは昨日の、火事で活躍した、」

「あの方は姫様では?」

等とあったが、気にせず出ていく。

そしてシンはサイドカー付きのゲールランナーを召喚。

リーチェとジュードは初めて見る、バイクに驚いていた。

「リーチェは横に付いてる座席に。ジュードはその膝の上に。サラは俺の後ろに乗って、しがみついて。行くぜ!」

全員が乗ると、シンはゲールランナーを発進させた。
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