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グラード王国王都ヴェーテル
……火事、だと?
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怒声は、昼食を済ませたカフェの方向から聞こえた。
それは、次第にエスカレートし、男達はどつきあい、喧嘩へと発展していく。
これは穏やかでないなと、信達は駆け付ける間、カフェの店主は妻に騎士を呼んでくる様に頼み、自らは仲裁に入るも殴られ、地面に叩きつけられる。
そして、喧嘩が続いた結果、殴り跳ばされた男の1人がカフェのキッチンまで吹き飛ばされ、キッチンの火は木造2階建てに燃え移ってしまう。
「!?、火の回りが早い!」
信は言葉の通りの異変に気が付いた。
キッチンに転がった男は頬を抑えながら、
「ヤバい!油がひっくり返って引火した!」
フラフラと歩きながら、逃げて来た。
殴った男も
「やべぇっ」
と言って逃げようとしたが、駆け付けた騎士達に抑えられ捕まった。
だが、問題はここからであった。
「あぁっ!?店が、家が!」
後からやって来た店主の妻が、悲鳴をあげながら火の中へと飛び込もうとする。
慌てて、信は店主の妻を羽交い締めにし制止させる。
「ダメだ。火の回りが早い。家具等も回収が出来ない。」
信がそう言いながら、サラに介抱されている店主の元へと、引き摺って連れていく。
すると、店主も慌てながら大声で信に告げる。
「違うんです!中の2階には、娘が取り残されてるんですっ!」
「な、何ぃっ!?」
ごうごうと燃え盛る店を見て、泣き叫ぶ夫婦。
サラは騎士に火消しを連れて来るように指示を出し、騎士も慌てて要請の為に走りだした。
「……ダメだ。間に合わない。」
信がポツリと呟く。
夫婦は抱き合いながら、号泣をして絶望していた。
「そんなぁ………間に合わないなんて。」
誰しも無力感に打ちひしがれている中、信だけは違った。
「違う!火消しを待っていては、救出が間に合わない!!」
決意ある眼をした信が夫婦を見下ろしながら、強い口調で言葉を吐く。
「俺が助けに行く。」
サラが、夫婦が、騎士が、その場に居る誰しもが、信を凝視する。
「それでは、あなた様まで焼け死んでしまいます!」
店主が、そう言うも夫婦の涙が信の胸を打つ。
「……っ!時間が無い!!」
信は変身ポーズを取り、コマンドワードを叫ぶ。
「変神着装!」
すると、眩い光が信の体を包むと、ミッドナイトブルーの機械鎧の姿の男が、そこに現れた。
「2階だな。いくぞ!とうっ!」
メタルバトラーになった信は、ジャンプして2階の窓を突き破って侵入した。
窓を破った瞬間、爆発音と共に炎が巻き上がる。
加熱された、火の精霊石が新鮮な酸素に触れ、軽い爆発、バックドラフトを引き起こした為であった。
メタルバトラーが突入した燃え盛る窓際を凝視しながら、人々は無事を唯々願うばかりだった。
それは、次第にエスカレートし、男達はどつきあい、喧嘩へと発展していく。
これは穏やかでないなと、信達は駆け付ける間、カフェの店主は妻に騎士を呼んでくる様に頼み、自らは仲裁に入るも殴られ、地面に叩きつけられる。
そして、喧嘩が続いた結果、殴り跳ばされた男の1人がカフェのキッチンまで吹き飛ばされ、キッチンの火は木造2階建てに燃え移ってしまう。
「!?、火の回りが早い!」
信は言葉の通りの異変に気が付いた。
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フラフラと歩きながら、逃げて来た。
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だが、問題はここからであった。
「あぁっ!?店が、家が!」
後からやって来た店主の妻が、悲鳴をあげながら火の中へと飛び込もうとする。
慌てて、信は店主の妻を羽交い締めにし制止させる。
「ダメだ。火の回りが早い。家具等も回収が出来ない。」
信がそう言いながら、サラに介抱されている店主の元へと、引き摺って連れていく。
すると、店主も慌てながら大声で信に告げる。
「違うんです!中の2階には、娘が取り残されてるんですっ!」
「な、何ぃっ!?」
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サラは騎士に火消しを連れて来るように指示を出し、騎士も慌てて要請の為に走りだした。
「……ダメだ。間に合わない。」
信がポツリと呟く。
夫婦は抱き合いながら、号泣をして絶望していた。
「そんなぁ………間に合わないなんて。」
誰しも無力感に打ちひしがれている中、信だけは違った。
「違う!火消しを待っていては、救出が間に合わない!!」
決意ある眼をした信が夫婦を見下ろしながら、強い口調で言葉を吐く。
「俺が助けに行く。」
サラが、夫婦が、騎士が、その場に居る誰しもが、信を凝視する。
「それでは、あなた様まで焼け死んでしまいます!」
店主が、そう言うも夫婦の涙が信の胸を打つ。
「……っ!時間が無い!!」
信は変身ポーズを取り、コマンドワードを叫ぶ。
「変神着装!」
すると、眩い光が信の体を包むと、ミッドナイトブルーの機械鎧の姿の男が、そこに現れた。
「2階だな。いくぞ!とうっ!」
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窓を破った瞬間、爆発音と共に炎が巻き上がる。
加熱された、火の精霊石が新鮮な酸素に触れ、軽い爆発、バックドラフトを引き起こした為であった。
メタルバトラーが突入した燃え盛る窓際を凝視しながら、人々は無事を唯々願うばかりだった。
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