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HERO異世界へ
鬼装闘神降臨。
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転移し信が降り立った場所は、問題の村から少し離れた場所だった。
信は、試しに変身ポーズを決め、コマンドワードを力強く言う。
「変神、着装!」
すると黒い光に一瞬飲み込まれ、光が消えると信の身体にミッドナイトブルーの機械鎧が装着されていた。
変身は出来た。
なら次に試すなら。
「ゲールランナー!」
信が言うと、何処からともなくバイクが自走し信のもとへやって来る。
ゲールランナーも召喚出来た。後はやる事は一つ!
「とう!」の一声でゲールランナーへ飛び乗り、村へ目掛けアクセル全開で爆走を始めた。
盗賊団は村人達を一ヵ所に集め、ジリジリと嬲っていた。
「へっへっへっ!野郎ども!金目のもんは全部かっさらえ!女は犯せ!ガキは奴隷になる、連れてけ!」
「ぎゃはははは!」
「ぐへへへへ!」
盗賊団が強欲の下品な嗤い声が響く中、そこに下っ端らしい盗賊が慌てた様子でやって来て叫ぶ。
「頭!向こうから変な光と音をたてて、こっちに向かってきやす!」
「ぬわにぃ~?」
盗賊の頭領は訝しげに下っ端に言う。
盗賊団が聞き耳を立てていると
ブォン!ヒュイーーーン!
と聞き慣れない音が高速に近付いてきている。
何処だ?と一団が迷って周りをグルグルと見回していると、
「ゲールランナー、マクシマムパワー!」
と雄叫びが聞こえ火を掛けられた家を
ドゴーーン!!
と轟音を発てて突き破り、盗賊数人を撥ね飛ばして、その姿を現し、盗賊団へ前輪を向けて停車した。
奇妙な乗り物に奇妙な装備の騎士。
しかも、その騎士の眼は、漆黒のバイザー越しに赤々と光輝きを放ち悪党共を睨んでいた。
その姿は、まるで
「………まるで、地獄の騎士……だ。」
盗賊の一人がそう呟くと、数人の盗賊は「わぁあぁー」と言って頭領の制止も訊かず蜘蛛の子を散らすように何人かは去った。
頭領らしき男は
「おい!コラッ、お前ら待て!」
と慌てて頭領が叫ぶも、下っ端達は止まらなかった。
そこに
ブォン!ブォン!
マフラーから威嚇する様な音が天に轟き、排煙は天を衝ながら盗賊団の意欲を削いでいく。
無言で轟音を発てる、その姿は不気味である。
ギャギャギャギャ!
後輪が激しく唸りを上げ、ゲールランナーは急発進。
一人、また一人と撥ね飛ばしていく。
撥ね飛ばされた盗賊達の身体の一部は曲がっちゃいけない方向に曲がって、そこら辺に転がって、ピクリとも動かなくなっていた。
そこにゲールランナーに乗ったままの奴に、無謀にも刃物で立ち向かった盗賊も
「ブラストナックル!!」
の叫びと共に、すれ違い様、盗賊は土手腹にパンチを喰らい、天高く飛ばされ星となった。
「な、何もんなんだよ、アイツ。」
恐怖を覚える盗賊の小さな声も奴は聞き逃さなかったのか答える。
「天が呼び、悪を討つ!降臨!鬼装闘神メタルバトラー!!」
メタルバトラーは決めポーズを取り名乗りを上げる。
村人達は、その異形の騎士に、何か信仰に似た眼差しを向けていた。
メタルバトラーは頭領に人差し指を向け続けて言葉を放つ。
「天に代わりて、不義を討つ!貴様らの悪逆無道はこれまでだ。」
ゲールランナーを降りると、それは自動的に消えた。
魔法か?どんな奴なんだ?と思いつつも盗賊団は勇ましく、メタルバトラーに一斉に襲いかかる。
多勢に無勢で鎧で動きが遅いだろうと思っていた。
村人達も、
『嬲り殺しにされちゃう。…もうダメだぁ。』
と思っていた。
しかし、
「ブラストナックル!!」
ドゴン!
「グラビティーキック!!」
ドガガガ!
「フレイムフィンガー!!」
ブワーーーッ!
盗賊団は塵を払われる様にあしらわれる。
ある者は天の星に。
ある者は大地にめり込まれ。
ある者は地の果てまで飛ばされ。
ある者は身体を灼熱の炎で消炭にされた。
彼等とって正に地獄だった。
その光景を目の当たりにした頭領が、セオリー通りに人質を取ろうと村人達のもとへ走ったその時、
……ヒュン!
と風を切る音と共に、頭領の眼前にメタルバトラーが瞬時に現れた。
まさかこんなに早く動けるのか?
頭領は油汗を吹き出しながら、是非もない事を脳裏に浮かんだ。
メタルバトラーは、おもむろに頭領の頭を鷲掴みにして持ち上げ、瞳は更に赤々と輝きを増す。
「いだだだ…た、たすけ…」
「……無駄だ。」
ポイ、と空高く頭領を投げ飛ばすと、メタルバトラーは
「トウッ!!」
と掛け声掛けて頭領より高い位置までジャンプして一回前転すると、頭領に目掛けて必殺の翔び蹴りを繰り出す!
「ライトニングバトラーキーック!!!」
脚に蒼白い炎を纏ったキックは頭領を捉えた。
「ぐげぇ!」
と一瞬、カエルが潰された様な声が聞こえたが、そのまま流星か稲妻の如きの蹴りの一撃は、空を裂き勢いを増しながら大地を的とし天下る。
そして着地すると派手な音と共に大爆発を起こし、そこにはクレーターが出来上がった。
それは悪の組織の怪人共を幾人も屠った必殺技が炸裂した跡であった。
クレーターには盗賊頭領の影も形も無く、メタルバトラーが静かに佇み残党を睨む。
「ヒィ~!バ、バケモンだぁあぁあぁ~っ!!」
それを見て残っていた盗賊も腰を抜かしたり、失禁しながら逃げていった。
何事も無い様に、背後に炎の明かりを受けながら村人達の所へ歩いてやって来て
「…成敗!」
と、メタルバトラーは村人達に向けて勝ちポーズしながら高らかに宣言をして魅せた。
とたんに村人達は歓声を上げて、メタルバトラーを称え迎えたのだった。
ーーーーーーーーーーーーー
あとがき。
今回は、一挙に3話、連続記載します。
主人公、メタルバトラーこと、信くんは、果たしてどこへと向かうのでしょうか?
シリアス路線まっしぐらか。
はたまた、
ギャグ路線変更か。
キャラの暴走が無いよう、願いつつ。エイメン。
信は、試しに変身ポーズを決め、コマンドワードを力強く言う。
「変神、着装!」
すると黒い光に一瞬飲み込まれ、光が消えると信の身体にミッドナイトブルーの機械鎧が装着されていた。
変身は出来た。
なら次に試すなら。
「ゲールランナー!」
信が言うと、何処からともなくバイクが自走し信のもとへやって来る。
ゲールランナーも召喚出来た。後はやる事は一つ!
「とう!」の一声でゲールランナーへ飛び乗り、村へ目掛けアクセル全開で爆走を始めた。
盗賊団は村人達を一ヵ所に集め、ジリジリと嬲っていた。
「へっへっへっ!野郎ども!金目のもんは全部かっさらえ!女は犯せ!ガキは奴隷になる、連れてけ!」
「ぎゃはははは!」
「ぐへへへへ!」
盗賊団が強欲の下品な嗤い声が響く中、そこに下っ端らしい盗賊が慌てた様子でやって来て叫ぶ。
「頭!向こうから変な光と音をたてて、こっちに向かってきやす!」
「ぬわにぃ~?」
盗賊の頭領は訝しげに下っ端に言う。
盗賊団が聞き耳を立てていると
ブォン!ヒュイーーーン!
と聞き慣れない音が高速に近付いてきている。
何処だ?と一団が迷って周りをグルグルと見回していると、
「ゲールランナー、マクシマムパワー!」
と雄叫びが聞こえ火を掛けられた家を
ドゴーーン!!
と轟音を発てて突き破り、盗賊数人を撥ね飛ばして、その姿を現し、盗賊団へ前輪を向けて停車した。
奇妙な乗り物に奇妙な装備の騎士。
しかも、その騎士の眼は、漆黒のバイザー越しに赤々と光輝きを放ち悪党共を睨んでいた。
その姿は、まるで
「………まるで、地獄の騎士……だ。」
盗賊の一人がそう呟くと、数人の盗賊は「わぁあぁー」と言って頭領の制止も訊かず蜘蛛の子を散らすように何人かは去った。
頭領らしき男は
「おい!コラッ、お前ら待て!」
と慌てて頭領が叫ぶも、下っ端達は止まらなかった。
そこに
ブォン!ブォン!
マフラーから威嚇する様な音が天に轟き、排煙は天を衝ながら盗賊団の意欲を削いでいく。
無言で轟音を発てる、その姿は不気味である。
ギャギャギャギャ!
後輪が激しく唸りを上げ、ゲールランナーは急発進。
一人、また一人と撥ね飛ばしていく。
撥ね飛ばされた盗賊達の身体の一部は曲がっちゃいけない方向に曲がって、そこら辺に転がって、ピクリとも動かなくなっていた。
そこにゲールランナーに乗ったままの奴に、無謀にも刃物で立ち向かった盗賊も
「ブラストナックル!!」
の叫びと共に、すれ違い様、盗賊は土手腹にパンチを喰らい、天高く飛ばされ星となった。
「な、何もんなんだよ、アイツ。」
恐怖を覚える盗賊の小さな声も奴は聞き逃さなかったのか答える。
「天が呼び、悪を討つ!降臨!鬼装闘神メタルバトラー!!」
メタルバトラーは決めポーズを取り名乗りを上げる。
村人達は、その異形の騎士に、何か信仰に似た眼差しを向けていた。
メタルバトラーは頭領に人差し指を向け続けて言葉を放つ。
「天に代わりて、不義を討つ!貴様らの悪逆無道はこれまでだ。」
ゲールランナーを降りると、それは自動的に消えた。
魔法か?どんな奴なんだ?と思いつつも盗賊団は勇ましく、メタルバトラーに一斉に襲いかかる。
多勢に無勢で鎧で動きが遅いだろうと思っていた。
村人達も、
『嬲り殺しにされちゃう。…もうダメだぁ。』
と思っていた。
しかし、
「ブラストナックル!!」
ドゴン!
「グラビティーキック!!」
ドガガガ!
「フレイムフィンガー!!」
ブワーーーッ!
盗賊団は塵を払われる様にあしらわれる。
ある者は天の星に。
ある者は大地にめり込まれ。
ある者は地の果てまで飛ばされ。
ある者は身体を灼熱の炎で消炭にされた。
彼等とって正に地獄だった。
その光景を目の当たりにした頭領が、セオリー通りに人質を取ろうと村人達のもとへ走ったその時、
……ヒュン!
と風を切る音と共に、頭領の眼前にメタルバトラーが瞬時に現れた。
まさかこんなに早く動けるのか?
頭領は油汗を吹き出しながら、是非もない事を脳裏に浮かんだ。
メタルバトラーは、おもむろに頭領の頭を鷲掴みにして持ち上げ、瞳は更に赤々と輝きを増す。
「いだだだ…た、たすけ…」
「……無駄だ。」
ポイ、と空高く頭領を投げ飛ばすと、メタルバトラーは
「トウッ!!」
と掛け声掛けて頭領より高い位置までジャンプして一回前転すると、頭領に目掛けて必殺の翔び蹴りを繰り出す!
「ライトニングバトラーキーック!!!」
脚に蒼白い炎を纏ったキックは頭領を捉えた。
「ぐげぇ!」
と一瞬、カエルが潰された様な声が聞こえたが、そのまま流星か稲妻の如きの蹴りの一撃は、空を裂き勢いを増しながら大地を的とし天下る。
そして着地すると派手な音と共に大爆発を起こし、そこにはクレーターが出来上がった。
それは悪の組織の怪人共を幾人も屠った必殺技が炸裂した跡であった。
クレーターには盗賊頭領の影も形も無く、メタルバトラーが静かに佇み残党を睨む。
「ヒィ~!バ、バケモンだぁあぁあぁ~っ!!」
それを見て残っていた盗賊も腰を抜かしたり、失禁しながら逃げていった。
何事も無い様に、背後に炎の明かりを受けながら村人達の所へ歩いてやって来て
「…成敗!」
と、メタルバトラーは村人達に向けて勝ちポーズしながら高らかに宣言をして魅せた。
とたんに村人達は歓声を上げて、メタルバトラーを称え迎えたのだった。
ーーーーーーーーーーーーー
あとがき。
今回は、一挙に3話、連続記載します。
主人公、メタルバトラーこと、信くんは、果たしてどこへと向かうのでしょうか?
シリアス路線まっしぐらか。
はたまた、
ギャグ路線変更か。
キャラの暴走が無いよう、願いつつ。エイメン。
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