外伝、冬雨の雪華。

追憶。

春。

あれから３ヶ月が過ぎ、僕たちは三年生になった。

この頃の僕たちは、互いに下の名前で呼び合う間柄になっていた。

「ねぇ、龍護？」

「？。何？穂香」

穂香は並んで歩いていたが、おもむろに僕の手を握り手を繋ぐ。

「今年は、いっぱい思い出を作ろうね？」

満面な彼女の笑顔を見て、僕の胸が、ドキっとなった。

穂香は外国人のハーフで、銀髪碧眼。
ロングヘアを赤いリボンで結んでおり、このリボンがトレードマーク。

目も二重でパッチリ大きく、端正な顔をして美人と可愛いの良い所取りしていた。

こんな娘が僕の彼女だなんて、

『まだ夢の中にいるのではないか？』

と、思ってしまうぐらいだった。

そんな僕に対し、慎吾から言えば、

「確かにオマエには、勿体ないぐらいな良い娘だ。」

と、ジト目で僕を冷ややかに見て言いつつ、

「だけど、やっとオマエにも幸せがやって来たんだなぁ。」

と、ニカッと笑って、まるで我が事の様に喜んでくれた。

そして、僕は彼女に

「うん、思い出を沢山作ろう。これからも、その先も。」

と応え、その手を握り返した。


そんな仲睦まじい二人を、桜の木々は見守り、花弁の祝福の吹雪を降り注いでいた。