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第六章 西の大陸と魔導学園
第百四十五話 【学園祭最終日】
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学園祭も最終日。
今日は学園最大のイベント、生徒達による障害物競争だ。
スタートからゴールまでの道のりには罠もあるし、生徒同士での邪魔もある。 ただしこのレースはグループレースとなるため、一人だけがゴールしても今は無い。 どれだけ協力し合えるかも見所だ。 このレースに勝てば学園内外から大注目される。 成績にも影響されるし、卒業後の進路も有利になるらしい。
だからなのか参加者は皆んな張り切っている。
俺は早朝から街の中や学園を巡回し、レアはレースのコースに向かった。
「この辺は異常無しだな。 次はレアの向かったコースへ行ってみるか」
太陽も登り始め森を朝日で染める。
今日は絶好のレース日和となりそうだ。
レース開始時間までまだ結構あるが、見物客がゾロゾロと来始めた。
この中にヴァルスケルハイトがいたら探すのが大変だぞ。
一度会場へ戻り、スタート地点を確認する。
選手も集まり始め、皆んなアップを始めている。
ディラン達も集まりアップを始めている。
マシューが俺に気がついたようで手を振って来た。
他の皆んなもガッツポーズやお辞儀をして挨拶してくる。
どうやら皆んな調子良さそうだ。
「いいか皆んな。 先生も見てるんだ、絶対優勝するぞ!」
「「もちろん!」」
ディラン達は気合を入れてお互いに装備を確認している。
準備万全だな。 これなら俺がいなくても大丈夫だろう。
時間間近となり学長が参加者に激励を飛ばす。
そして、スタートの合図が鳴ると同時に参加者が一斉に走り出した。
「俺も向かうか」
最初の関門は街の街道。 荷台や屋台で道が入り組んでいる。
中間チェックを通過すればルートは自由に行けるので、グループによっては家の屋根の上を通過したり、独自の近道をとったりしているようだ。
ここでは特に何もなさそうだな。
街を出ると森の中。
罠が沢山仕掛けられていて、木の影から相手チームの邪魔もしやすいので、毎年ここで結構脱落するチームがいるらしい。
木の影で見ていると早速グループ同士で邪魔が始まった。
元々ある罠を利用したりする頭脳派なグループだったり、他のチームには勝っても罠で脱落したりと様々だ。
意外と戦いの勉強にもなる。
ディランのチームはと……、お、順調そうだな。
森の中はお手のものなのか、メメルが活躍している。 罠の発見も早い。 さすが耳長族だ。
しかし……、ヴァルスケルハイトは出てこないな……。
先に進んでおくか。
森を進むと草原が続き、山岳地帯へと入る。
この辺りは魔生獣が出やすくなっているから慎重に進まないと。
草原を進むと霧が出始めた。 これは……、もしかして前の霧の魔生獣か?
眠らないよう気をつけてさっさと倒しておくか。
元凶の魔生獣を探すと、白い大きな花弁を持つ花から白い霧を出していた。
「あいつか。 前の借りも返させてもらうぜ!」
俺は獅堂剣を取り出して一気に花弁を切り落とす。
「これで良いか……な! これは……」
その植物の魔生獣は塵となり消えて行く。
こいつ魔導獣だったのか?
パチパチと霧の奥から拍手する音が聞こえて来る。
「誰だ!」
「いやーお見事です。 お久しぶりで御座います。 ケンジ殿」
「お、お前は!」
現れたのはハイブラ。 足元には……ミーファさんとコリンさんが倒れている。
「ミーファさん! コリンさん! ハイブラ! 二人をどうした!?」
「この二人にはワルキューレを誘い出すためのエサになってもらおうと思いましてね。 せっかくのエサですから死んではいませんよ」
「こいつ!」
ハイブラに向かって走り出した俺の獅堂剣の一撃はハイブラの腕を切り落としていた。
「ほう……、随分と腕を上げましたね。 これは私も本気で相手をしなければいけないようです」
ハイブラは口から赤い霧を吐きだすと辺りは霧に包まれて行く。
そしてハイブラが二体、三体と現れる。
「また幻術か!」
「そうですね、私の得意技ですから。 それに今回は先ほどの魔導獣もあと三体この辺りにおりますよ。 学生で対処できますかねぇ……」
「くっ……、ならお前をさっさと倒して魔導獣も倒すまでだ!」
「そうですか、それではお急ぎ下さい」
見えているハイブラは恐らく幻術。 見えてない所から攻撃してくるはずだ。
背後に気をつけていると、ハイブラが現れた。
いまだ!
俺は背後に剣を振るうが幻術だった。 そして幻術かと思っていたハイブラが本物で、背後から爪をたてられた。
「ぐわっ!」
「ふふふ……、おしかったですね。 次は当てられますかな?」
また霧の中へと消えて行く。
くそっ! 木でも岩でもいいから背中をカバー出来る物が何か無いか?
周りを探したいが、霧で何も見えない。
やりにくい相手だ。
「おい! コクヨクはどうした!?」
「彼は少々急用が出来てしまいましてね。 私と変わったのですよ」
声で位置を把握しようと思ったが、霧の中全体から聞こえてきて場所の特定が出来ない。
しかしコクヨクに急用だと?
「そろそろ本気で行きますよ」
ハイブラの攻撃速度が早くなり、俺はギリギリ防いでいるが僅かに切り刻まれていく。
赤い霧が更に赤く色づく。
一人で相手するのがこんなにキツイなんて……。
前は仲間がいたからなんとかなったが今はいない。
どうにかしないと……。
その時、一陣の風が舞い、赤い霧の一部が吹き飛ばされ穴が開く。
「おや、現れましたね。 裏切り者のワルキューレ!」
黄金色の髪をなびかせ、白い翼で空から舞い降りたのは鎧に身を包んだディアさん。
穴の空いた霧から光りが差し込むと、まるで天使のようだ。
「私の友を返して貰いにきた」
今日は学園最大のイベント、生徒達による障害物競争だ。
スタートからゴールまでの道のりには罠もあるし、生徒同士での邪魔もある。 ただしこのレースはグループレースとなるため、一人だけがゴールしても今は無い。 どれだけ協力し合えるかも見所だ。 このレースに勝てば学園内外から大注目される。 成績にも影響されるし、卒業後の進路も有利になるらしい。
だからなのか参加者は皆んな張り切っている。
俺は早朝から街の中や学園を巡回し、レアはレースのコースに向かった。
「この辺は異常無しだな。 次はレアの向かったコースへ行ってみるか」
太陽も登り始め森を朝日で染める。
今日は絶好のレース日和となりそうだ。
レース開始時間までまだ結構あるが、見物客がゾロゾロと来始めた。
この中にヴァルスケルハイトがいたら探すのが大変だぞ。
一度会場へ戻り、スタート地点を確認する。
選手も集まり始め、皆んなアップを始めている。
ディラン達も集まりアップを始めている。
マシューが俺に気がついたようで手を振って来た。
他の皆んなもガッツポーズやお辞儀をして挨拶してくる。
どうやら皆んな調子良さそうだ。
「いいか皆んな。 先生も見てるんだ、絶対優勝するぞ!」
「「もちろん!」」
ディラン達は気合を入れてお互いに装備を確認している。
準備万全だな。 これなら俺がいなくても大丈夫だろう。
時間間近となり学長が参加者に激励を飛ばす。
そして、スタートの合図が鳴ると同時に参加者が一斉に走り出した。
「俺も向かうか」
最初の関門は街の街道。 荷台や屋台で道が入り組んでいる。
中間チェックを通過すればルートは自由に行けるので、グループによっては家の屋根の上を通過したり、独自の近道をとったりしているようだ。
ここでは特に何もなさそうだな。
街を出ると森の中。
罠が沢山仕掛けられていて、木の影から相手チームの邪魔もしやすいので、毎年ここで結構脱落するチームがいるらしい。
木の影で見ていると早速グループ同士で邪魔が始まった。
元々ある罠を利用したりする頭脳派なグループだったり、他のチームには勝っても罠で脱落したりと様々だ。
意外と戦いの勉強にもなる。
ディランのチームはと……、お、順調そうだな。
森の中はお手のものなのか、メメルが活躍している。 罠の発見も早い。 さすが耳長族だ。
しかし……、ヴァルスケルハイトは出てこないな……。
先に進んでおくか。
森を進むと草原が続き、山岳地帯へと入る。
この辺りは魔生獣が出やすくなっているから慎重に進まないと。
草原を進むと霧が出始めた。 これは……、もしかして前の霧の魔生獣か?
眠らないよう気をつけてさっさと倒しておくか。
元凶の魔生獣を探すと、白い大きな花弁を持つ花から白い霧を出していた。
「あいつか。 前の借りも返させてもらうぜ!」
俺は獅堂剣を取り出して一気に花弁を切り落とす。
「これで良いか……な! これは……」
その植物の魔生獣は塵となり消えて行く。
こいつ魔導獣だったのか?
パチパチと霧の奥から拍手する音が聞こえて来る。
「誰だ!」
「いやーお見事です。 お久しぶりで御座います。 ケンジ殿」
「お、お前は!」
現れたのはハイブラ。 足元には……ミーファさんとコリンさんが倒れている。
「ミーファさん! コリンさん! ハイブラ! 二人をどうした!?」
「この二人にはワルキューレを誘い出すためのエサになってもらおうと思いましてね。 せっかくのエサですから死んではいませんよ」
「こいつ!」
ハイブラに向かって走り出した俺の獅堂剣の一撃はハイブラの腕を切り落としていた。
「ほう……、随分と腕を上げましたね。 これは私も本気で相手をしなければいけないようです」
ハイブラは口から赤い霧を吐きだすと辺りは霧に包まれて行く。
そしてハイブラが二体、三体と現れる。
「また幻術か!」
「そうですね、私の得意技ですから。 それに今回は先ほどの魔導獣もあと三体この辺りにおりますよ。 学生で対処できますかねぇ……」
「くっ……、ならお前をさっさと倒して魔導獣も倒すまでだ!」
「そうですか、それではお急ぎ下さい」
見えているハイブラは恐らく幻術。 見えてない所から攻撃してくるはずだ。
背後に気をつけていると、ハイブラが現れた。
いまだ!
俺は背後に剣を振るうが幻術だった。 そして幻術かと思っていたハイブラが本物で、背後から爪をたてられた。
「ぐわっ!」
「ふふふ……、おしかったですね。 次は当てられますかな?」
また霧の中へと消えて行く。
くそっ! 木でも岩でもいいから背中をカバー出来る物が何か無いか?
周りを探したいが、霧で何も見えない。
やりにくい相手だ。
「おい! コクヨクはどうした!?」
「彼は少々急用が出来てしまいましてね。 私と変わったのですよ」
声で位置を把握しようと思ったが、霧の中全体から聞こえてきて場所の特定が出来ない。
しかしコクヨクに急用だと?
「そろそろ本気で行きますよ」
ハイブラの攻撃速度が早くなり、俺はギリギリ防いでいるが僅かに切り刻まれていく。
赤い霧が更に赤く色づく。
一人で相手するのがこんなにキツイなんて……。
前は仲間がいたからなんとかなったが今はいない。
どうにかしないと……。
その時、一陣の風が舞い、赤い霧の一部が吹き飛ばされ穴が開く。
「おや、現れましたね。 裏切り者のワルキューレ!」
黄金色の髪をなびかせ、白い翼で空から舞い降りたのは鎧に身を包んだディアさん。
穴の空いた霧から光りが差し込むと、まるで天使のようだ。
「私の友を返して貰いにきた」
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