黎明の錬金技工術師《アルケミスター》と終焉の魔導機操者《アーティファクター》

かなちょろ

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第六章 西の大陸と魔導学園

第百三十ニ話 迷子の子

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 魔導学園に到着した俺達。
 メルチさんリルチさんに送ってもらい、学園に通う事になる。 しかも講師として……。

「なんで俺が講師なんだ……」
「さすがご主人様ですにゃ!」
「いいじゃない! 私なんて生徒よ!」

 学園長に俺達が決められた役割はこうだ。
 俺は講師、エイルは生徒、レアは俺の補助講師となった。
 俺が教える事はガルの経験をいかして魔生獣との戦い方。
 何故エイルは生徒なのかと言うと、そのコミュ力をいかして長の娘さんに接近するためだ。
 ただ、俺の講義なんて受ける生徒なんているのだろうか……?
 学園で泊まる事が出来るのは生徒であるエイルだけ。
 俺とレアは学園の外にある宿に泊まる事となる。

「ご主人様、あの辺りはいかがですかにゃ?」
「そうだなぁ……」

 学園の講師は宿代が安くなるらしく、そこそこの宿でも泊まれそうだ。

「あんまり学園から離れると、向かうのが大変になるからここで良いかもな」
「それでは手続きしてきますので、そこの噴水のベンチで待っててくださいにゃ」
「わかった、頼むよ」

 宿の手続きをレアに任せて近くの噴水前にあるベンチに座って待っていると、キョロキョロと挙動不審な魔導学園の生徒が歩いている。

「あの子は確か……」

 俺の道案内をしてくれた目隠れの子だ。
 何かを探しているのだろうか?
 ちょっと声をかけてみるか。

「君、誰かを探してるのかい?」
「あ……、は、はい……。 この辺りで小さい女の子を見かけませんでしたか?」
「女の子? 見てないなぁ」
「そうですか……、何処行っちゃったんだろう……」

 目隠れの子はとても困った顔をして辺りをキョロキョロとしている。

「なんなら探すの手伝おうか?」
「いいんですか!? お願いします!」
「ああわかった。 レアもいるから一緒に探そう」

 レアが宿の手配で戻って来る間に探している女の子の特徴を聞く。

「わかった、大きな赤いリボンを頭に着けてる六歳位の子だね」
「はい、よろしくお願いします」

 その子は探しに行ってしまった。
 レアが戻って来たので事情を説明し女の子を探す。

「しかしこの広い城下町の中で見つかるでしょうかにゃ?」
「そろそろ日も暮れる。 早く探してやらないと」
「そうですにゃ」

 城下町を必死に探したが、なかなか見つからない。
 もしかして町の外に出てしまったのかも知れない。

「外も見に行ってくる。 レアはもう少し中を頼む」
「わかりましたにゃ」

 町の中はレアに任せ、近くの森まで行ってみた。
 辺りは薄暗くなり始めている。
 流石に外にはいないか……。

「キャーー!!」

 女の子の叫び声だ!
 俺は急いで声のする方へ走る。

「いた!」

 赤いリボンの女の子が植物の魔生獣に襲われている!
 魔生獣は根を足のように動かし、蔓を女の子に巻きつかせ花弁にある口を大きく開いて今にも食べようとしていた。
 俺は右手の魔導法術機ガルファーを発動させ、植物の魔生獣をよ~く狙って火の玉を指先から発射する。
 火の玉は花弁の一部を吹き飛ばすと、植物の魔生獣は女の子を落とし俺に向かって来る。
 俺は女の子に当たらないように魔生獣を誘導して、魔導法術機ガルファーから火を放ち、植物の魔生獣を消し炭へと変えた。

「大丈夫だったかい?」

 女の子に声をかけると、突然瞳に涙を貯めて大泣きしてしまった。

「大丈夫、大丈夫、怖い魔生獣はやっつけたから、ね」

 どうにかなだめようとしても泣き止まず……。
 とは言えここにいては危ない。
 抱えて連れて行こうとしたら、レアがやって来た。

「ご主人様、女の子いたんですにゃ?」
「そうなんだけどね……」

 泣き止まない女の子をレアはそっと抱きしめて頭を撫でている。
 すると不思議と女の子は泣き止み、レアは女の子と話していた。
 泣き止んだ女の子と手を繋ぎ、俺の元へやってくると、女の子はレアの後ろに隠れてしまう。

「ご主人様、女の子を怖がらせちゃダメですにゃ」

 レアは腰に手を当て、俺の額に指を当ててメッ! と怒るようにポーズをとって来た。

「ご、ごめん……」

 怖がらせたつもりは無いんだけどな……。

「ほら、私が叱っておきましたからもう怖くは無いにゃ?」

 女の子はコクンと頷くと、レアと手を繋いだまま町に戻って行った。
 俺ってそんなに怖いか?

 町に戻ると丁度、目隠れの子を見つけたので女の子を引き渡すが、女の子はレアから離れようとしないので、俺達も一緒についていく事になった。
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