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ぷろろ~ぐ
魔界の絶対強者魔王(後編)”友達を作りたいから異世界転生を試みた話”
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友達を作りたい。
しかし、友達を作れる環境ではない。
何せ、彼のいる場所は
”魔界”なのだから
ましてや魔王と呼ばれる彼に
友達が出来るはずもなく
口を動かせば禁術を唱えてしまい
叫べば空が切り裂かれ
手をかざすと海が割け
生きとし生ける生物は恐れる
魔界に生まれた生き物はわかりやすい
力が全てであり、力あるモノが絶対強者である
協力なんて言葉は強者には不要
むしろ、弱者の戯れの様な協力とか友情とか
そんなチープなものは彼には一切不要
の筈だった。
彼は最強の肉体と知能を持って生まれた
最強の”魔王”なのである
だが彼は
魔王という誰しもが欲しがる称号と
魔界における絶対的評価の力を持ち合わせているが
彼自身が一番欲するモノが手に入らなかった
それは
”友達”
(友達が欲しい友達が欲しい友達が欲しい)
そう願いながら、
彼を殺そうとする者、彼を取り込もうとする者
様々な魔物に会いに行った。
”出会いこそ全て”
出会わなければ友達にはなれない。
だからこそ、魔界を駆け巡った
いざ会ってみると
相手はあの手この手で魔王を殺そうとしてくる
しかしそんなものは戯れに過ぎない
殺し合いすら楽しかった。
そして、相手の手の内を知り、相手の体力が尽きる頃
魔王は勇気を出して、相手に伝える。
”我と友達に・・・・”
その瞬間、禁術が発動する。
目の前の魔物は逃げる事もあれば、黒焦げになる事もある
大波にさらわれる事もあれば、異世界に飛ばされる事もある
言葉自体が悪いのかと思い
セリフを何度も変えてみた
”我が魔界の半分を与えて・・・”
(私と魔界で遊びませんか?)
”我が友達になりたそうにそっと見ている”
(押して駄目なら引いてみよう)
”友達募集始めました”
(自分から言うのではなく募集っぽく)
他にもいろいろ試してみたが、
ことごとく逃げられた。
ましてや、魔王が照れながら小さく言うモノだから
魔界ではその行動自体が噂になってしまっていた。
”魔王が最後に呟く時は止めを刺しにきている”
と。
誰も想像もしえなかった。
”魔王は友達になりたかっただけと言う事実を”
魔王も想像をしえなかった。
”友達を募集していただけだが、止めの言葉を言っていると勘違いされている事を”
何人かの魔物は今度こそはと捨て台詞をはいていたが
結局その後出会う事は無かった。
魔王は考えた。
どうすれば友達が出来るのかを。
ずっと考えた。
魔界を飛びまわり考えた。
そんな折、ある一つの噂を聞く事になる。
魔王が友達になろうと囁いた時
大波や、暴風雨や、火山噴火や、異世界に飛ばしてしまう等
様々な事が起きるわけだが
”異世界に飛ばされたが、無事に帰ってきた”
と豪語する魔物が現れたのだ。
「魔王なんて大した事はない」
「魔王に異世界に飛ばされたが、奇妙な世界に少しの間飛ばされただけ」
「全能力は一時的になくなったが、無事魔界に戻って全回復した」
と
その噂を聞いた魔王は即、その魔物を特定し
会いに行く事にした。
会いに行くと、その魔物は何も言わず命を狙ってきた。
話を聞きたい魔王は三日三晩殺し合いに付き合い
最後にそっと聞こうとしたが
どうしても友達が欲しいのでもう一度だけ
言ってみる事にした
”我と友達にならないか?”
そっとその言葉をささやいた途端
案の定
天は割け、その魔物に雷が落ちた。
そして、その魔物は跡形もなくなっていた。
死んだのか、それとも異世界に転生してしまったのか
魔王は、また友達を作る機会を失った。
しかしそこである一つの解に辿り着く
自分に呪文を唱えれば、もしかすると異世界に飛べるのではないか?
そして、異世界だと友達が出来るのではないかと。
魔王は雷が鳴り響く誰もいない大平原に
どの様な力でも壊す事が出来ないと言われる大型の鏡を持っていき
何度も何度も呟いた。
”友達にならないか?”
大波が押し寄せ、嵐が舞う
何が来てもめげずに何度も何度もつぶやいた。
鏡に映る自分を見ながら。
友達に・・・
我と友達として・・・
我が友達なってや・・・
噂を聞いた魔物達はまたあらぬ噂をしだす事になる
「魔王が、大平原を根城にしようとしている」
「新たな禁術を生み出そうとしている」
「永遠の命を手に入れようとしている」
「遂に魔界の生き物全てが殺される日が来た」
様々な憶測が飛び交う中、
ある日それは突然起きた。
”魔王が雷に打たれ、行方をくらます”
魔界中を駆け巡ったその噂は
魔界の次の時代を決める為の
今迄にない、大戦争が始まるきっかけになってしまった
”圧倒的強者、魔王は死んだ。次代の魔王は私だと”
名乗りを上げる魔物達が続出した。
そう。魔界の大狂乱時代の幕開けである。
しかし、本作はそんな魔界の戦争が題材の話ではない。
いや、むしろどーでもいい。
この小説は、ハートフルコメディなのだから。
さて、
そして魔王は一体どこへ行ったのか・・・・。
はたまた死んでしまったのか?
謎が謎を呼ぶ。
しかし、友達を作れる環境ではない。
何せ、彼のいる場所は
”魔界”なのだから
ましてや魔王と呼ばれる彼に
友達が出来るはずもなく
口を動かせば禁術を唱えてしまい
叫べば空が切り裂かれ
手をかざすと海が割け
生きとし生ける生物は恐れる
魔界に生まれた生き物はわかりやすい
力が全てであり、力あるモノが絶対強者である
協力なんて言葉は強者には不要
むしろ、弱者の戯れの様な協力とか友情とか
そんなチープなものは彼には一切不要
の筈だった。
彼は最強の肉体と知能を持って生まれた
最強の”魔王”なのである
だが彼は
魔王という誰しもが欲しがる称号と
魔界における絶対的評価の力を持ち合わせているが
彼自身が一番欲するモノが手に入らなかった
それは
”友達”
(友達が欲しい友達が欲しい友達が欲しい)
そう願いながら、
彼を殺そうとする者、彼を取り込もうとする者
様々な魔物に会いに行った。
”出会いこそ全て”
出会わなければ友達にはなれない。
だからこそ、魔界を駆け巡った
いざ会ってみると
相手はあの手この手で魔王を殺そうとしてくる
しかしそんなものは戯れに過ぎない
殺し合いすら楽しかった。
そして、相手の手の内を知り、相手の体力が尽きる頃
魔王は勇気を出して、相手に伝える。
”我と友達に・・・・”
その瞬間、禁術が発動する。
目の前の魔物は逃げる事もあれば、黒焦げになる事もある
大波にさらわれる事もあれば、異世界に飛ばされる事もある
言葉自体が悪いのかと思い
セリフを何度も変えてみた
”我が魔界の半分を与えて・・・”
(私と魔界で遊びませんか?)
”我が友達になりたそうにそっと見ている”
(押して駄目なら引いてみよう)
”友達募集始めました”
(自分から言うのではなく募集っぽく)
他にもいろいろ試してみたが、
ことごとく逃げられた。
ましてや、魔王が照れながら小さく言うモノだから
魔界ではその行動自体が噂になってしまっていた。
”魔王が最後に呟く時は止めを刺しにきている”
と。
誰も想像もしえなかった。
”魔王は友達になりたかっただけと言う事実を”
魔王も想像をしえなかった。
”友達を募集していただけだが、止めの言葉を言っていると勘違いされている事を”
何人かの魔物は今度こそはと捨て台詞をはいていたが
結局その後出会う事は無かった。
魔王は考えた。
どうすれば友達が出来るのかを。
ずっと考えた。
魔界を飛びまわり考えた。
そんな折、ある一つの噂を聞く事になる。
魔王が友達になろうと囁いた時
大波や、暴風雨や、火山噴火や、異世界に飛ばしてしまう等
様々な事が起きるわけだが
”異世界に飛ばされたが、無事に帰ってきた”
と豪語する魔物が現れたのだ。
「魔王なんて大した事はない」
「魔王に異世界に飛ばされたが、奇妙な世界に少しの間飛ばされただけ」
「全能力は一時的になくなったが、無事魔界に戻って全回復した」
と
その噂を聞いた魔王は即、その魔物を特定し
会いに行く事にした。
会いに行くと、その魔物は何も言わず命を狙ってきた。
話を聞きたい魔王は三日三晩殺し合いに付き合い
最後にそっと聞こうとしたが
どうしても友達が欲しいのでもう一度だけ
言ってみる事にした
”我と友達にならないか?”
そっとその言葉をささやいた途端
案の定
天は割け、その魔物に雷が落ちた。
そして、その魔物は跡形もなくなっていた。
死んだのか、それとも異世界に転生してしまったのか
魔王は、また友達を作る機会を失った。
しかしそこである一つの解に辿り着く
自分に呪文を唱えれば、もしかすると異世界に飛べるのではないか?
そして、異世界だと友達が出来るのではないかと。
魔王は雷が鳴り響く誰もいない大平原に
どの様な力でも壊す事が出来ないと言われる大型の鏡を持っていき
何度も何度も呟いた。
”友達にならないか?”
大波が押し寄せ、嵐が舞う
何が来てもめげずに何度も何度もつぶやいた。
鏡に映る自分を見ながら。
友達に・・・
我と友達として・・・
我が友達なってや・・・
噂を聞いた魔物達はまたあらぬ噂をしだす事になる
「魔王が、大平原を根城にしようとしている」
「新たな禁術を生み出そうとしている」
「永遠の命を手に入れようとしている」
「遂に魔界の生き物全てが殺される日が来た」
様々な憶測が飛び交う中、
ある日それは突然起きた。
”魔王が雷に打たれ、行方をくらます”
魔界中を駆け巡ったその噂は
魔界の次の時代を決める為の
今迄にない、大戦争が始まるきっかけになってしまった
”圧倒的強者、魔王は死んだ。次代の魔王は私だと”
名乗りを上げる魔物達が続出した。
そう。魔界の大狂乱時代の幕開けである。
しかし、本作はそんな魔界の戦争が題材の話ではない。
いや、むしろどーでもいい。
この小説は、ハートフルコメディなのだから。
さて、
そして魔王は一体どこへ行ったのか・・・・。
はたまた死んでしまったのか?
謎が謎を呼ぶ。
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