魔王の飼い方説明書

ぷろろ~ぐ

魔界の絶対強者魔王（前編）

毎日多くの魔物が生まれ、そして死んでいく。

魑魅魍魎が入り乱れ、力こそが全ての魔界。

その魔界で圧倒的力を駆使し、魔界を統一した絶対的強者がいる。

叫ぶと空が切り裂かれ、手をかざすと海が割ける。

呪いから禁術までありとあらゆる呪術を使いこなし

暴力、力と言う点において、彼の右に出るモノはいない。

表情を変えず、言葉すら発せず他を圧倒していくその姿は

ノーフェイスと呼ばれ

孤独を愛し、誰も近寄らせないそのオーラは

魔界のカリスマとも呼ばれていた

そして、その圧倒的な力と容姿を持つ彼の事を

いつからか魔物達はこう呼び出す様になるという

”魔王”

と

彼の存在こそが、魔界の戦争を抑制し、魔界の秩序が保たれていた

しかし、そんな圧倒的力を持っている彼にも悩みがあった。

彼は友達が欲しかった。

しかし人見知りが激しく、人前では笑顔を見せられない。

いや、生まれてこの方、たたかいしかしてきていない魔王は

笑顔の作り方がわからないのだ。

常に殺し合いが続く魔界において、他者に心を開くなど持ってのほかである。

と思いつつ、

本音は友達が欲しかった。

むちゃくちゃ欲しかった。

実は過去に一度たたかった相手に友達にならないかと言った事がある。

極力優しく、丁寧に

”我と友達にならないか？”

照れながら凄く小さな声で相手に伝えようとした言葉は

最悪の結末が訪れた。

目の前に激しい炎が立ち上り、台風の様な風が巻き起こり

即座に相手は逃げてしまったのだ。

数千近い呪術や禁術を操れる能力を持っているが反面

たった少しの言葉ですら呪法となり、全てを無に帰してしまう。

そんな彼が念願の友達が出来るのは

また少し先のお話