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女の子になっちゃった!

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<魔女アリア>

心が男で体が女。心の性別がちぐはぐな女体化男子は「ガーネットプリンス」に覚醒し、我々のしもべとして大いなる力を発揮するだろう。

しかし、心の底から100%が女に染まってしまった女体化男子「コバルトプリンセス」は、我々の最大の敵となる。その存在は、我々の計画を根底から覆す恐るべき災いだ。

私はエッジホープ社のしもべとして、日夜、男の魂を女の器に移す研究に身を捧げてきた。成功を掴み取らねばならないという焦燥感に、胸が締め付けられるようだ。ガーネットプリンスを生み出すことができれば、我々は絶対の勝利を手にするだろう。

だが、もし間違ってコバルトプリンセスが生み出されることがあれば、その時はすべてが終わる。我々はその存在を、いかなる手段を用いても始末しなければならない。

魔族の出自である私はいわれなき偏見や差別と戦って生きてきた。そんな私を拾ってくれた組織に報いるのだ!





<シャープ>

エッジホープ社がこっそり性転換薬を開発してるって情報を、ついに俺は掴んじまったぜ。うひひ、これで俺も夢の女の子になって、可愛い子ちゃんと百合百合できるってわけか……ぐふふふふ。こりゃあ、絶対に逃せねぇチャンスだ。俺は、あの研究所に忍び込むことを決めた。これはもう、止められねぇぞ。俺は赤髪をたなびかせ、アジトに向かった。


<ラルゴ>

幼い頃、僕とフォルテはいつも一緒に遊んでいた。近所の女の子たちが集まる輪の中に、僕も混じっていたのだ。普通の男の子なら、彼女たちと遊ぶのを照れくさがったり、フォルテに対して特別な感情を抱いたりするかもしれない。でも僕は違った。フォルテの輝くような笑顔、リボンで飾られた青髪、彼女のふわりとしたドレスに、心の底から憧れていた。

「僕もフォルテみたいになりたい……」

そんなことを思った自分が怖かった。男の子である僕が、女の子になりたいなんて、誰にも言えない秘密だった。だから、その気持ちを押し殺して、無理にでも男の子らしく振る舞うようにした。けれど、心の奥底でその憧れは消えることなく、むしろ日に日に強くなっていった。

そして、16歳になったある日、久しぶりにフォルテから声をかけられた。

「ラルゴ、ちょっと話があるの。危険かもしれないけど、どうしても君に協力してほしいの」

彼女は真剣な顔で話し始めた。どうやら、森の奥にある古びた館に、良からぬ企みをしている魔女が住んでいるらしい。フォルテはその館に一緒に侵入して、魔女の企みを暴きたいというのだ。親に相談すれば、間違いなく反対されるだろう。危険だからやめなさいと、簡単に却下されるに違いない。でも、僕はフォルテが自分を頼ってくれたことが、心底嬉しかった。疎遠になっていた彼女が、今でも僕を友達だと思ってくれているんだ。

そして、僕たちは二人で魔女の館に入った。けれど、それが罠だった。入った瞬間、館の中は不気味な静寂に包まれ、僕たちは異様な雰囲気に飲まれてしまった。次の瞬間、魔女が姿を現し、フォルテに向かって何かを呟いたかと思うと、彼女はその場で崩れるように眠りに落ちていった。僕は慌てて彼女を抱き起こそうとしたが、体がまるで石のように動かなくなった。金縛りにかけられたのだ。

「フォルテ、目を覚ましてくれ……」

声にならない叫びが心の中でこだまするが、どうすることもできない。ただその場に立ち尽くすしかなかった。そして、魔女が何か呪文を唱えると、僕の視界がぼやけ、意識が遠のいていった。

次に目を覚ましたとき、周りの景色がぼんやりと視界に映り込んできた。僕はまだ夢を見ているのだろうか?それとも悪夢が続いているのか?しかし、目覚めた瞬間、自分の声が耳に届いたとき、全身が凍りつくような感覚に襲われた。

「そんな……」

声が高い。まるでフォルテが話しているかのように…いや、これは僕の声だ。鏡に映った自分の姿が、信じられないほどに変わっていた。フォルテの体がそこにあったのだ。

「これは夢じゃない……僕がフォルテに……」

混乱する僕に、魔女の冷たい声が響いた。

「心の80%が女だと? 本当に中身は男なのか?」

魔女の言葉が突き刺さる。僕の内面を見透かすようなその言葉に、心が揺らぐ。

「これはガーネットプリンスには育たない。コバルトプリンセスになってしまう。まずい、命を奪わないと」

言葉の意味はよく分からないが、ただ一つ、命を奪われるという事実だけははっきりと理解できた。恐怖が全身を駆け巡り、体が本能的に反応する。今はただ、逃げなければならない。

「ここから出ないと……」

そう心の中で叫ぶと、僕は一気に屋敷の入り口に向かって駆け出した。心臓がバクバクと激しく鼓動し、足元がふらつく。それでも、振り返ることなく走り続けるしかない。命がけの逃走劇が今、始まったのだ。
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