90 / 100
新聞社へ急げ!護衛戦
古城に浮かぶ女
しおりを挟む
<エリーゼ視点>
「そういうわけだ」
「助けに来てあげたわよ」
背後から2人が現れる。
「ショパン!ブーレ!」
「2人では、ちょっと心もとないかもしれない。だけど6人いれば」
「行けるかもしれない」
だんだん、心強くなってきた。
そんなこんなで、満月の晩はやってきた。
風が吹いていて、木々がざわめき、水面とスカートは揺れる。
湖に船を浮かべ、私は魔法を唱えた。
「エリ ダリア ホル ナノカ!」
詠唱を終え、高らかにあげた両腕を下げる。
10秒が過ぎたが、反応がない。
ダメか。
そう思ったそのときだった。
地震が起きた。
小波が往来し、思わずしゃがんでしまう。
しばらくすると、目の前に石壁の建物が、湖の中から浮上するのが見えた。
古城だ。
狙った通りのものが目の前に現れたとはいえ、にわかに信じられないでいた。
石橋が八方向に湖の端から端までまで伸びる。
アキラが慌てて船を橋に寄せると、残りの4人が集まってきた。
「行くぞ。アマデウスの手のものに先を越されてはならない」
湖から浮き上がった古城の門から、古代の衣装を着た一人の清楚なローブを着た女性が歩いているのを見つける。
かまいたちの呪文で急いで近づく。
「クライスさんですね?」
「ええ」
「我々が何者かを説明する時間はありません。アマデウス議員の手のものがあなたの命を狙っているので。信用できないのは重々承知ですが、我々についてきていただけませんか。ミラヴェニアの新聞社にあなたが知っていることを話していただきたい」
彼女は私たち6人の顔を見回し、最後にアキラの瞳をじっと見つめた。
「わかりました。協力できることはなんでもやりましょう。私も隠遁生活に疲れていたのです」
その言葉を合図に6人で彼女を囲い込み、橋を渡り、魔法馬車に無事たどり着いた。
どうやら、アマデウスの手の者はまだ来ていないようだ。
ショパンは手綱を握り、手早く魔法を唱える。
馬車は町の入り口に向かって駆けだした。
計算ではペースだと6時間後には新聞社にたどり着く。
新聞社では、女性記者が夜番で泊まり込みをすると約束してくれた。
魔法で連絡を取ると、約束は守られているようだ。
新聞社は厳重な警備がなされているとはいえ、襲撃されないことを祈るばかりだ。
村の門をくぐり抜け、広大な平野に馬車は躍り出た。
ミラヴェニア公路と呼ばれる土嚢で舗装された道を行く。
このあたりは見晴らしが良いため、山賊の襲撃は難しい。
とはいえ、全く賊が襲う隙のない道が常時続くわけではない。
橋、山道、森。
要所要所で警戒を張らなくてはならなかった。
「そういうわけだ」
「助けに来てあげたわよ」
背後から2人が現れる。
「ショパン!ブーレ!」
「2人では、ちょっと心もとないかもしれない。だけど6人いれば」
「行けるかもしれない」
だんだん、心強くなってきた。
そんなこんなで、満月の晩はやってきた。
風が吹いていて、木々がざわめき、水面とスカートは揺れる。
湖に船を浮かべ、私は魔法を唱えた。
「エリ ダリア ホル ナノカ!」
詠唱を終え、高らかにあげた両腕を下げる。
10秒が過ぎたが、反応がない。
ダメか。
そう思ったそのときだった。
地震が起きた。
小波が往来し、思わずしゃがんでしまう。
しばらくすると、目の前に石壁の建物が、湖の中から浮上するのが見えた。
古城だ。
狙った通りのものが目の前に現れたとはいえ、にわかに信じられないでいた。
石橋が八方向に湖の端から端までまで伸びる。
アキラが慌てて船を橋に寄せると、残りの4人が集まってきた。
「行くぞ。アマデウスの手のものに先を越されてはならない」
湖から浮き上がった古城の門から、古代の衣装を着た一人の清楚なローブを着た女性が歩いているのを見つける。
かまいたちの呪文で急いで近づく。
「クライスさんですね?」
「ええ」
「我々が何者かを説明する時間はありません。アマデウス議員の手のものがあなたの命を狙っているので。信用できないのは重々承知ですが、我々についてきていただけませんか。ミラヴェニアの新聞社にあなたが知っていることを話していただきたい」
彼女は私たち6人の顔を見回し、最後にアキラの瞳をじっと見つめた。
「わかりました。協力できることはなんでもやりましょう。私も隠遁生活に疲れていたのです」
その言葉を合図に6人で彼女を囲い込み、橋を渡り、魔法馬車に無事たどり着いた。
どうやら、アマデウスの手の者はまだ来ていないようだ。
ショパンは手綱を握り、手早く魔法を唱える。
馬車は町の入り口に向かって駆けだした。
計算ではペースだと6時間後には新聞社にたどり着く。
新聞社では、女性記者が夜番で泊まり込みをすると約束してくれた。
魔法で連絡を取ると、約束は守られているようだ。
新聞社は厳重な警備がなされているとはいえ、襲撃されないことを祈るばかりだ。
村の門をくぐり抜け、広大な平野に馬車は躍り出た。
ミラヴェニア公路と呼ばれる土嚢で舗装された道を行く。
このあたりは見晴らしが良いため、山賊の襲撃は難しい。
とはいえ、全く賊が襲う隙のない道が常時続くわけではない。
橋、山道、森。
要所要所で警戒を張らなくてはならなかった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃった件
楠富 つかさ
恋愛
久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃうし、なんなら恋人にもなるし、果てには彼女のために職場まで変える。まぁ、愛の力って偉大だよね。
※この物語はフィクションであり実在の地名は登場しますが、人物・団体とは関係ありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる