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出会い
23話
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「リリー起きろ。おい、リリー!」
リリーは体を揺すられ目を覚ます。
家族に薬を盛られ眠らされたリリーは荷台に乗せられ隣町まで連れてこられていた。起き上がり周りを見渡すとそこには大きな立派な建物があった。
「リリー、ここがお前を雇ってくれる商会だ。」
「ちょっと待ってよ!!私その話は断ったはずよ!私村に戻るっ。」
そう言い引き返そうとするがアンナとフローラが行く手に立ち塞がる。どうにか逃げようとするが3人に取り囲まれどうすることもできずリリーは建物の中に連れていかれた。
***
受付に商会長に話があると言うと部屋に通してもらえた。ソファに4人で座っているとしばらく経ってから商会長がやってきた。にベンは立ち上がって謝る。
「いきなり来てしまいすみません。」
「いやいや、気にしないでくれたまえ。おや、そこに居るのは先日話していたお嬢さんかな?」
リリーを見て商会長は問う。
「はい。娘のリリーと言います。商会で雇っていただけることにとても感謝してまして…もし商会長様が宜しければすぐにでも働かせて貰えないかと思いまして。」
アンナはペラペラと嘘を吐く。働かせてしまえば後はどうにかなると思っているのだろう。けれどこのままここに置いていかれる訳にはいかないとリリーが口を開こうとすると太ももに痛みが走る。そっと太ももを見ると隣に座っていたフローラがつねっている。こうまでして3人は自分をここに置いていきたいのかと思うとリリーは泣きそうになった。
「お嬢さんもこちらで働くことに同意しているのですか?」
商会長はリリーに確認をとる。
「ええ、とても喜んでいるんですよ。」
「村からあまり出たことないので楽しみにしているようで。」
ベンとアンナはリリーに話させないよう必死になっている。リリーはそんな2人を見ながらもうここまでかな…とひとつ息を吐くと商会長に向き合った。
「いいえ、私は同意していません。」
ハッキリとリリーは答える。横で3人は焦っているがリリーは気にせずに商会長を見つめている。
「これはどう言うことでしょうか?お嬢さんは町での生活に憧れていたのでは?」
ベンとアンナに鋭い眼差しで問いかける。
「「いえっ、それは…その……。」」
2人が答えられないでいると商会長はため息をつきドアに向かって声をかけた。
「入ってきて下さい。」
そう言うと扉が開き警備隊の服を着た2人とその後ろにアシュレイが続いて入ってきた。これは一体どう言うことだろうのリリー以外の3人が疑問に思っていると、アシュレイはサッとリリーに駆け寄り抱き上げた。
「リリーは返してもらう。」
そう言うとソファから離れ3人と反対側に立つ。
まだ一体何が起こっているのかわかっておらず呆然としている3人にアシュレイはキッと睨みつける。リリーはアシュレイの服をギュと掴むとアシュレイの胸に顔を埋めた。心配そうに見つめながらリリーの頭を撫でるとアシュレイは3人に問うた。
「これは一体どういうことだ?」
商会長からだけではなく騎士団長であるアシュレイからも問い詰められ3人はソファーに座って顔を青くしていた。
リリーは体を揺すられ目を覚ます。
家族に薬を盛られ眠らされたリリーは荷台に乗せられ隣町まで連れてこられていた。起き上がり周りを見渡すとそこには大きな立派な建物があった。
「リリー、ここがお前を雇ってくれる商会だ。」
「ちょっと待ってよ!!私その話は断ったはずよ!私村に戻るっ。」
そう言い引き返そうとするがアンナとフローラが行く手に立ち塞がる。どうにか逃げようとするが3人に取り囲まれどうすることもできずリリーは建物の中に連れていかれた。
***
受付に商会長に話があると言うと部屋に通してもらえた。ソファに4人で座っているとしばらく経ってから商会長がやってきた。にベンは立ち上がって謝る。
「いきなり来てしまいすみません。」
「いやいや、気にしないでくれたまえ。おや、そこに居るのは先日話していたお嬢さんかな?」
リリーを見て商会長は問う。
「はい。娘のリリーと言います。商会で雇っていただけることにとても感謝してまして…もし商会長様が宜しければすぐにでも働かせて貰えないかと思いまして。」
アンナはペラペラと嘘を吐く。働かせてしまえば後はどうにかなると思っているのだろう。けれどこのままここに置いていかれる訳にはいかないとリリーが口を開こうとすると太ももに痛みが走る。そっと太ももを見ると隣に座っていたフローラがつねっている。こうまでして3人は自分をここに置いていきたいのかと思うとリリーは泣きそうになった。
「お嬢さんもこちらで働くことに同意しているのですか?」
商会長はリリーに確認をとる。
「ええ、とても喜んでいるんですよ。」
「村からあまり出たことないので楽しみにしているようで。」
ベンとアンナはリリーに話させないよう必死になっている。リリーはそんな2人を見ながらもうここまでかな…とひとつ息を吐くと商会長に向き合った。
「いいえ、私は同意していません。」
ハッキリとリリーは答える。横で3人は焦っているがリリーは気にせずに商会長を見つめている。
「これはどう言うことでしょうか?お嬢さんは町での生活に憧れていたのでは?」
ベンとアンナに鋭い眼差しで問いかける。
「「いえっ、それは…その……。」」
2人が答えられないでいると商会長はため息をつきドアに向かって声をかけた。
「入ってきて下さい。」
そう言うと扉が開き警備隊の服を着た2人とその後ろにアシュレイが続いて入ってきた。これは一体どう言うことだろうのリリー以外の3人が疑問に思っていると、アシュレイはサッとリリーに駆け寄り抱き上げた。
「リリーは返してもらう。」
そう言うとソファから離れ3人と反対側に立つ。
まだ一体何が起こっているのかわかっておらず呆然としている3人にアシュレイはキッと睨みつける。リリーはアシュレイの服をギュと掴むとアシュレイの胸に顔を埋めた。心配そうに見つめながらリリーの頭を撫でるとアシュレイは3人に問うた。
「これは一体どういうことだ?」
商会長からだけではなく騎士団長であるアシュレイからも問い詰められ3人はソファーに座って顔を青くしていた。
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