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出会い
13話
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リリーが目を覚ましたのは見慣れた部屋だった。ぼんやりとしながらドアの向こうから聞こえて来る話し声を聞いていると段々と意識がはっきりとしてきた。そうだ自分は魔物に襲われて…なにか最後に声が聞こえたような…森での出来事を思い出していると部屋のドアが開いた。
「目が覚めたのか!」
部屋に入ってきた見知らぬ男性は目を覚ましているリリーを見て嬉しそうに近寄ってきた。
「あのとき森でトレントに取り込まれそうになっている君を見て生きた心地がしなかった。無事に目が覚めてくれてよかった…。どこか痛いところはないか?腕の怪我は治療しておいたが」
「あの、心配してくださってありがとうございます。それで…どちら様でしょうか。」
リリーはいきなり部屋に入ってきた男に警戒しながらも自分を助けてくれた人ではと会話から読み取り、まずは名前を聞こうとすると
「そのお方はこの国の獣人騎士団長アシュレイ様じゃ。」
部屋に村長と両親、フローラが入ってきた。
村長の話だとこのお方がフローラの会いたがっていた騎士団長様らしい。それなのに後ろの方で大人しくしているフローラを不思議に思いながらもリリーは自己紹介をすることにした。
「リリーと言います。この度は魔物から救って下さりありがとうございました。」
リリーがアシュレイに頭を下げるとアシュレイはリリーを見つめたあと村長と両親たちに二人にしてくれないかと頼むことにした。
「なぁ、すまないが二人きりにしてくれないか。」
「しかし、年頃の娘と男を二人きりにするなど!」
リリーの父親は抵抗するがアシュレイはさらにたたみかける。
「心配なら部屋のドアを開けていればいい。なにもやましいことなどしない。」
「そうじゃな。一応部屋のドアはあけておいた方が良いの。」
村長がそういうと、ベンとアンナは何か話したそうにしていたが口を閉じ無事でよかった、あとでゆっくり話そう。そう言いながら部屋を後にしようとした。
「私はこの部屋に残るわ。」
ずっと黙っていたフローラだったが部屋から出て行こうとする村長達にそう言い、部屋に留まろうとした。
「知らない男性と2人きりなんてリリーも緊張すると思うわ。起きたばかりで戸惑っていると思うし一緒に居てあげたいの。」
リリーのためだと言わんばかりに訴えるがアシュレイはフローラに冷たく言い放つ。
「俺は2人でと言っている。ドアは閉めないと言っているだろう。そんなに心配なら部屋の外で待っていればいい。俺と花嫁の邪魔をするのは許さない。」
いつも男性からはやしくされたことしかないフローラは怒気を孕んだアシュレイの声に震え上がり何も言わず部屋から出て行った。
「それではアシュレイ様。私たちは下におりますでの。何かあったらお呼び下され。」
村長はアシュレイにそう言い、ベンとアンナを連れて下に降りて行った。
「目が覚めたのか!」
部屋に入ってきた見知らぬ男性は目を覚ましているリリーを見て嬉しそうに近寄ってきた。
「あのとき森でトレントに取り込まれそうになっている君を見て生きた心地がしなかった。無事に目が覚めてくれてよかった…。どこか痛いところはないか?腕の怪我は治療しておいたが」
「あの、心配してくださってありがとうございます。それで…どちら様でしょうか。」
リリーはいきなり部屋に入ってきた男に警戒しながらも自分を助けてくれた人ではと会話から読み取り、まずは名前を聞こうとすると
「そのお方はこの国の獣人騎士団長アシュレイ様じゃ。」
部屋に村長と両親、フローラが入ってきた。
村長の話だとこのお方がフローラの会いたがっていた騎士団長様らしい。それなのに後ろの方で大人しくしているフローラを不思議に思いながらもリリーは自己紹介をすることにした。
「リリーと言います。この度は魔物から救って下さりありがとうございました。」
リリーがアシュレイに頭を下げるとアシュレイはリリーを見つめたあと村長と両親たちに二人にしてくれないかと頼むことにした。
「なぁ、すまないが二人きりにしてくれないか。」
「しかし、年頃の娘と男を二人きりにするなど!」
リリーの父親は抵抗するがアシュレイはさらにたたみかける。
「心配なら部屋のドアを開けていればいい。なにもやましいことなどしない。」
「そうじゃな。一応部屋のドアはあけておいた方が良いの。」
村長がそういうと、ベンとアンナは何か話したそうにしていたが口を閉じ無事でよかった、あとでゆっくり話そう。そう言いながら部屋を後にしようとした。
「私はこの部屋に残るわ。」
ずっと黙っていたフローラだったが部屋から出て行こうとする村長達にそう言い、部屋に留まろうとした。
「知らない男性と2人きりなんてリリーも緊張すると思うわ。起きたばかりで戸惑っていると思うし一緒に居てあげたいの。」
リリーのためだと言わんばかりに訴えるがアシュレイはフローラに冷たく言い放つ。
「俺は2人でと言っている。ドアは閉めないと言っているだろう。そんなに心配なら部屋の外で待っていればいい。俺と花嫁の邪魔をするのは許さない。」
いつも男性からはやしくされたことしかないフローラは怒気を孕んだアシュレイの声に震え上がり何も言わず部屋から出て行った。
「それではアシュレイ様。私たちは下におりますでの。何かあったらお呼び下され。」
村長はアシュレイにそう言い、ベンとアンナを連れて下に降りて行った。
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