8 / 27
8.絆創膏
しおりを挟む
「あー、クソ。あっちい」
今日は急遽、資料室で過去の書類整理をする仕事を任されていた。
普段あまり人の出入りがないこの部屋はどこもかしこも埃っぽく、エアコンも大昔のものを使っているせいで全く効かない。
おまけにいくつか蛍光灯が切れているせいで電気を点けていても室内は薄暗く、陰鬱な雰囲気に包まれていた。
こんな場所で1人で作業をしていたらきっと数分でため息が溢れていたことだろう。
だが、隣には同僚であり意中の相手である桜庭がいる。
しかも、2人きり。
こんな状況、この上なく幸せな時間だ。
「あー、暑い」
「桜庭~お前、さっきからそればっか」
「しかたねーじゃん事実なんだから」
この部屋で作業を始めてから2時間。
桜庭はクリアファイルでパタパタと顔を扇ぎながらぶつぶつと文句を垂れていた。
風に乗ってシャンプーのようないい香りが運ばれてくる。
汗をかいているのに、こんなに爽やかで清潔感のある匂いを漂わせているなんて、どれだけ好感度を上げれば気が済むのだ。
そんな桜庭につられて、自分も首筋にじんわりと滲んだ汗を手の甲で拭う。
まだ6月に入ったばかりだといのに、今日はやけに蒸し暑く、空調の整備されていない部屋で作業をするのは正直キツい。
上司が俺たちを指名した理由がなんとなくわかった気がした。
書類ファイルがぎっしりと詰められた段ボールをスチールラックから下ろし、中身を年度別に分類して収納ボックスへと移し替えていくという地味な作業は予想以上に体力を消耗する。
「誰だよこんなめちゃくちゃに突っ込んだやつは」とぼやく桜庭の気持ちもよくわかる。
「んー、これで半分ってとこか」
桜庭はスチールラックの前にしゃがみ込み、1番下の段に置かれていたダンボールを引っ張り出そうとしていた。
「桜庭~、なんか飲み物でも買ってこようか」
少し休憩しようと立ち上がり、桜庭の側へ移動しようとしたその時だった。
1番上段に乱雑に積まれていたダンボールがバランスを失い桜庭の頭上に落ちてきた。
「桜庭!」
俺は咄嵯に駆け寄り、桜庭を庇うようにして覆い被さる。
強い衝撃に備えて身を固くしたが、やってきたのは頭に何かが当たったような小さな痛みとだけだった。
恐る恐る目を開けてみると、そこには驚いたように目を見開く桜庭の顔があった。
「……あれ?」
「悪い、山吹。大丈夫か?」
「俺はなんとも……あ、なーんだ。空き箱だったのか」
落下してきたダンボールに視線を移すと、それはただの空き箱だった。
もしあの中にファイルがぎっしり詰まっていたらそれなりの重さになっていたはずだ。
そんなものが頭に直撃していたらと想像するとゾッとする。
「桜庭に怪我なくて良かっ……」
言いかけたところで、桜庭の手が俺の頭に伸びてきて、そのまま髪を撫でるように優しく触れられる。
「え、なに」
「埃ついてたから」
そう言って俺の髪からぱらぱらと落ちた白い粉を見て桜庭は申し訳なさそうに笑った。
落下してきたダンボールに積もっていた埃をそのまま浴びてしまったのかもしれない。
しかし、そんなことはどうでもいい。
俺の頭の中は桜庭に頭を触られているという事実でいっぱいだった。
「あ、ありがとう」
「礼を言うのはこっちだよ。ほんとにどこも痛く無いか?」
「うん、俺はぜんぜん……」
「あ、肩にもついてる」
頭の次はパタパタと俺の肩を払う桜庭を見てハッとする。
床にしゃがみ込んで小さくなっている桜庭に俺が覆いかぶさっているこの状況。
しかも、桜庭は俺の事をじっと見つめながら俺の髪や肩に触れている。
密着してこそいないが、とんでもなく近い距離にお互いが存在している。
どうしよう。今の俺、絶対汗臭いぞ。
俺は緊張で心臓が破裂しそうになるのを必死に抑えつつ、なるべく平静を装って口を開いた。
「さ、さんきゅ!もう平気だから」
彼の上から退こうと、自分の肩をポンポン叩きながら立ち上がろうとした瞬間。
桜庭に腕を強く掴まれ、再び床へと引き戻された。
「え、」
突然の出来事に頭が真っ白になる。
動揺して何も言えないでいる俺とは対照的に、桜庭は真剣な眼差しを俺に向けていた。
「……桜庭?ど、どうしたの」
鏡を見なくても顔が熱っているのがわかる。
この部屋が薄暗かったことはまだ救いか。
「その顔の傷、どうしたんだ」
「顔?」
俺は桜庭にそう言われて反射的に自分の頬に手を当てた。
そこには絆創膏が貼られている。
昨夜、髭剃り中にカミソリで切ってしまった時にできた傷だ。
「あー、これ?髭剃ってたらうっかり」
それがどうかしたのか、と目で訴えかけると桜庭は俺の顔の傷をじっと見つめたまま何も喋らなくなってしまった。
「あの、桜庭?」
沈黙に耐えられず俺が声をかけると、桜庭はハッとしたように「ごめん」とだけ呟いて立ち上がった。
俺もつられて立ち上がろうとするが、桜庭はこちらに背を向けたまま動かない。
「……出られない部屋」
ぽつり、と呟かれた言葉に思わず体が固まった。
桜庭が何を言っているのか一瞬わからなかったが、その言葉の意味を理解すると同時に俺は自分の顔から血の気が引いていくのを感じた。
「今の言葉に聞き覚えがないか?」
桜庭の問いかけに俺は言葉を詰まらせる。
「……なん、でそれ」
「やっぱりな」
桜庭はこちらに背を向けたまま、静かにそう答えた。
「山吹も昨日見たんだな。いや、多分昨日だけじゃ無いよな」
ばくばくと心臓の音が大きくなる。
どうして桜庭が例の夢を知っているんだ?
『山吹も』って言い方から察するに、桜庭もあの奇妙な夢を見たという事か?
「じゃあ、もしかして桜庭もあの夢……」
俺が言い終わる前に、桜庭はこちらを振り返った。
その表情は険しく、怒りとも悲しみともつかないような感情が渦巻いているように見えた。
「ああ。夢の中のお前も今と同じ場所に絆創膏貼ってたろ。だから、まさか……って」
俺がカミソリで頬を切ったのは昨日の帰宅後。
つまり、昨夜の時点では「俺が怪我をした」という事実を桜庭が知る術はなかったという事だ。
にも関わらず夢に出てきた俺は頬に絆創膏を貼り付けていた。
そして、今日出勤した俺の顔にも同じ位置に絆創膏が貼られていた。
それを確認して桜庭は全てを察したというわけだ。
“桜庭と俺は同じ夢を共有している”?
その仮説が正しければ、今まで例の夢に現れた桜庭は全て本物ということになる。
『山吹がいつも話しかけてくれて嬉しい』というあの言葉も、脱出条件を満たすために行ったスキンシップの数々も、全て。
それが分かったところで、このおかしな状況をどう説明すればいいのかはわからないのだが。
桜庭も同じように考えたのだろう。
しばらく悩んだ末、口を開いたのは桜庭の方だった。
「正直、俺もまだ信じらんねーよ。こんなオカルトじみた話。しかもあんなふざけた夢……」
桜庭は眉間にシワを寄せてため息をつく。
「山吹はこの夢の原因とか知ってんの?」
「まさか!知ってたらもっと早くに相談してるよ」
正直にそう言うと、桜庭は少し間を空けた後「だよな」とだけ呟いた。
桜庭は長い長いため息をつくと、なにかを覚悟したように右手を差し出した。
「だから、これからよろしく頼むわ」
「おー……って、えっ!?」
「あの夢、脱出条件をクリアしないと目が覚めないっぽいじゃん。だから、協力してくれないか」
クリアしないと目が覚めない。
言われてみれば思い当たる節がいくつかある。
1番目の「手を繋がないと出られない部屋」は脱出条件を無視し続けたら結局遅刻ギリギリに目が覚めた。
確かこの日は桜庭も同じく遅刻しかけていたはずだ。
3度目の「相手を寝かしつけないと出られない部屋」では電車の中で爆睡してしまって終点まで運ばれた。
つまり、脱出に手間取った場合、仕事や用事に遅刻したり最悪無断欠勤するハメになる。
それを回避するためにも協力体制をとるのは賛成だ。
もしかしたら俺が考えているよりも遥かに厄介な状況に陥っているのかもしれない。
「……分かった。これからよろしくな」
俺は差し出された桜庭の右手をぎゅっと握り返す。
こうして俺と桜庭の奇妙な協力関係が始まったのだった。
今日は急遽、資料室で過去の書類整理をする仕事を任されていた。
普段あまり人の出入りがないこの部屋はどこもかしこも埃っぽく、エアコンも大昔のものを使っているせいで全く効かない。
おまけにいくつか蛍光灯が切れているせいで電気を点けていても室内は薄暗く、陰鬱な雰囲気に包まれていた。
こんな場所で1人で作業をしていたらきっと数分でため息が溢れていたことだろう。
だが、隣には同僚であり意中の相手である桜庭がいる。
しかも、2人きり。
こんな状況、この上なく幸せな時間だ。
「あー、暑い」
「桜庭~お前、さっきからそればっか」
「しかたねーじゃん事実なんだから」
この部屋で作業を始めてから2時間。
桜庭はクリアファイルでパタパタと顔を扇ぎながらぶつぶつと文句を垂れていた。
風に乗ってシャンプーのようないい香りが運ばれてくる。
汗をかいているのに、こんなに爽やかで清潔感のある匂いを漂わせているなんて、どれだけ好感度を上げれば気が済むのだ。
そんな桜庭につられて、自分も首筋にじんわりと滲んだ汗を手の甲で拭う。
まだ6月に入ったばかりだといのに、今日はやけに蒸し暑く、空調の整備されていない部屋で作業をするのは正直キツい。
上司が俺たちを指名した理由がなんとなくわかった気がした。
書類ファイルがぎっしりと詰められた段ボールをスチールラックから下ろし、中身を年度別に分類して収納ボックスへと移し替えていくという地味な作業は予想以上に体力を消耗する。
「誰だよこんなめちゃくちゃに突っ込んだやつは」とぼやく桜庭の気持ちもよくわかる。
「んー、これで半分ってとこか」
桜庭はスチールラックの前にしゃがみ込み、1番下の段に置かれていたダンボールを引っ張り出そうとしていた。
「桜庭~、なんか飲み物でも買ってこようか」
少し休憩しようと立ち上がり、桜庭の側へ移動しようとしたその時だった。
1番上段に乱雑に積まれていたダンボールがバランスを失い桜庭の頭上に落ちてきた。
「桜庭!」
俺は咄嵯に駆け寄り、桜庭を庇うようにして覆い被さる。
強い衝撃に備えて身を固くしたが、やってきたのは頭に何かが当たったような小さな痛みとだけだった。
恐る恐る目を開けてみると、そこには驚いたように目を見開く桜庭の顔があった。
「……あれ?」
「悪い、山吹。大丈夫か?」
「俺はなんとも……あ、なーんだ。空き箱だったのか」
落下してきたダンボールに視線を移すと、それはただの空き箱だった。
もしあの中にファイルがぎっしり詰まっていたらそれなりの重さになっていたはずだ。
そんなものが頭に直撃していたらと想像するとゾッとする。
「桜庭に怪我なくて良かっ……」
言いかけたところで、桜庭の手が俺の頭に伸びてきて、そのまま髪を撫でるように優しく触れられる。
「え、なに」
「埃ついてたから」
そう言って俺の髪からぱらぱらと落ちた白い粉を見て桜庭は申し訳なさそうに笑った。
落下してきたダンボールに積もっていた埃をそのまま浴びてしまったのかもしれない。
しかし、そんなことはどうでもいい。
俺の頭の中は桜庭に頭を触られているという事実でいっぱいだった。
「あ、ありがとう」
「礼を言うのはこっちだよ。ほんとにどこも痛く無いか?」
「うん、俺はぜんぜん……」
「あ、肩にもついてる」
頭の次はパタパタと俺の肩を払う桜庭を見てハッとする。
床にしゃがみ込んで小さくなっている桜庭に俺が覆いかぶさっているこの状況。
しかも、桜庭は俺の事をじっと見つめながら俺の髪や肩に触れている。
密着してこそいないが、とんでもなく近い距離にお互いが存在している。
どうしよう。今の俺、絶対汗臭いぞ。
俺は緊張で心臓が破裂しそうになるのを必死に抑えつつ、なるべく平静を装って口を開いた。
「さ、さんきゅ!もう平気だから」
彼の上から退こうと、自分の肩をポンポン叩きながら立ち上がろうとした瞬間。
桜庭に腕を強く掴まれ、再び床へと引き戻された。
「え、」
突然の出来事に頭が真っ白になる。
動揺して何も言えないでいる俺とは対照的に、桜庭は真剣な眼差しを俺に向けていた。
「……桜庭?ど、どうしたの」
鏡を見なくても顔が熱っているのがわかる。
この部屋が薄暗かったことはまだ救いか。
「その顔の傷、どうしたんだ」
「顔?」
俺は桜庭にそう言われて反射的に自分の頬に手を当てた。
そこには絆創膏が貼られている。
昨夜、髭剃り中にカミソリで切ってしまった時にできた傷だ。
「あー、これ?髭剃ってたらうっかり」
それがどうかしたのか、と目で訴えかけると桜庭は俺の顔の傷をじっと見つめたまま何も喋らなくなってしまった。
「あの、桜庭?」
沈黙に耐えられず俺が声をかけると、桜庭はハッとしたように「ごめん」とだけ呟いて立ち上がった。
俺もつられて立ち上がろうとするが、桜庭はこちらに背を向けたまま動かない。
「……出られない部屋」
ぽつり、と呟かれた言葉に思わず体が固まった。
桜庭が何を言っているのか一瞬わからなかったが、その言葉の意味を理解すると同時に俺は自分の顔から血の気が引いていくのを感じた。
「今の言葉に聞き覚えがないか?」
桜庭の問いかけに俺は言葉を詰まらせる。
「……なん、でそれ」
「やっぱりな」
桜庭はこちらに背を向けたまま、静かにそう答えた。
「山吹も昨日見たんだな。いや、多分昨日だけじゃ無いよな」
ばくばくと心臓の音が大きくなる。
どうして桜庭が例の夢を知っているんだ?
『山吹も』って言い方から察するに、桜庭もあの奇妙な夢を見たという事か?
「じゃあ、もしかして桜庭もあの夢……」
俺が言い終わる前に、桜庭はこちらを振り返った。
その表情は険しく、怒りとも悲しみともつかないような感情が渦巻いているように見えた。
「ああ。夢の中のお前も今と同じ場所に絆創膏貼ってたろ。だから、まさか……って」
俺がカミソリで頬を切ったのは昨日の帰宅後。
つまり、昨夜の時点では「俺が怪我をした」という事実を桜庭が知る術はなかったという事だ。
にも関わらず夢に出てきた俺は頬に絆創膏を貼り付けていた。
そして、今日出勤した俺の顔にも同じ位置に絆創膏が貼られていた。
それを確認して桜庭は全てを察したというわけだ。
“桜庭と俺は同じ夢を共有している”?
その仮説が正しければ、今まで例の夢に現れた桜庭は全て本物ということになる。
『山吹がいつも話しかけてくれて嬉しい』というあの言葉も、脱出条件を満たすために行ったスキンシップの数々も、全て。
それが分かったところで、このおかしな状況をどう説明すればいいのかはわからないのだが。
桜庭も同じように考えたのだろう。
しばらく悩んだ末、口を開いたのは桜庭の方だった。
「正直、俺もまだ信じらんねーよ。こんなオカルトじみた話。しかもあんなふざけた夢……」
桜庭は眉間にシワを寄せてため息をつく。
「山吹はこの夢の原因とか知ってんの?」
「まさか!知ってたらもっと早くに相談してるよ」
正直にそう言うと、桜庭は少し間を空けた後「だよな」とだけ呟いた。
桜庭は長い長いため息をつくと、なにかを覚悟したように右手を差し出した。
「だから、これからよろしく頼むわ」
「おー……って、えっ!?」
「あの夢、脱出条件をクリアしないと目が覚めないっぽいじゃん。だから、協力してくれないか」
クリアしないと目が覚めない。
言われてみれば思い当たる節がいくつかある。
1番目の「手を繋がないと出られない部屋」は脱出条件を無視し続けたら結局遅刻ギリギリに目が覚めた。
確かこの日は桜庭も同じく遅刻しかけていたはずだ。
3度目の「相手を寝かしつけないと出られない部屋」では電車の中で爆睡してしまって終点まで運ばれた。
つまり、脱出に手間取った場合、仕事や用事に遅刻したり最悪無断欠勤するハメになる。
それを回避するためにも協力体制をとるのは賛成だ。
もしかしたら俺が考えているよりも遥かに厄介な状況に陥っているのかもしれない。
「……分かった。これからよろしくな」
俺は差し出された桜庭の右手をぎゅっと握り返す。
こうして俺と桜庭の奇妙な協力関係が始まったのだった。
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説
男だけど幼馴染の男と結婚する事になった
小熊井つん
BL
2×××年、同性の友人同士で結婚する『親友婚』が大ブームになった世界の話。 主人公(受け)の“瞬介”は家族の罠に嵌められ、幼馴染のハイスペイケメン“彗”と半ば強制的に結婚させられてしまう。
受けは攻めのことをずっとただの幼馴染だと思っていたが、結婚を機に少しずつ特別な感情を抱くようになっていく。
美形気だるげ系攻め×平凡真面目世話焼き受けのほのぼのBL。
漫画作品もございます。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
夜空に舞う星々のノクターン
もちっぱち
BL
星座と響き合う調べ、
野球場に鳴り響く鼓動。
高校生活が織りなす、
フルート奏者と
野球部キャプテンの出会い。
音楽の旋律と野球の熱情が
交差する中で、
彼らの心に芽生える友情とは?
感動と切なさが交錯する、
新たな青春の物語が始まる。
表紙イラスト
炭酸水様
@tansansui_7
花の妖精さん
まつのこ
BL
『素敵な夢ですね──』
毎日規則的に生きるトーマの一日は、不思議な雰囲気を纏う隣人のヨシュアとの挨拶から始まる。
今日も当たり前のように挨拶をしてから仕事に出かけると、いつもと違うことに度々出くわした。
何事かと考えていると、花屋で働くヨシュアとばったり会う。
意外だと話していると、彼から一緒に出かけたいと誘われた──
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
勇者な彼女がトイレから出てきません。
きもとまさひこ
ファンタジー
彼女が家に来てトイレに入ったかと思ったら異世界で勇者をやってました。
彼女は異世界の勇者で、僕は彼女を召喚した神様で。
彼女は勇者であることに誇りを持っていました。強い心を持っていました。
異世界の危機にも、先頭に立って戦おうとしてくれました。
だけど、だけど……。とうとう、彼女は言いました。
泣きそうな声で、珠美さんは言いました。
「異世界の危機なんて……知らんちん」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる