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高平・ルート協定締結

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    ぐぬぬぬぬぬぬ。
「せめて、上皇としてエルスントを支える他ないか……」
「…………」
    だーから言わんこっちゃない。

 1908年10月下旬、デイリー・テレグラフにビルヘルム2世が寄稿した文章は驚くべきものであった。何せ相手国であるイギリスどころかドイツ本国からも怒りの声が出ており、さらにはその炎上騒動は大日本帝国にまで飛び火してしまい、挙げ句の果てには……。

「父上っ!!」
「おう、どうしたエルンスト」
「この一報は本当ですか!」
「ああ、だから退位するぞ」
「退位で、収まればいいでしょうが……!!」
「なんだと?」

 この時期に、ドイツで革命騒ぎが起きたのは、この時期にまだレーニンなどの我々の世界でソビエト連邦をでっちあげる主犯がドイツ帝国に潜伏していたからだと言われている。
 この革命騒ぎは無事鎮圧されたものの、大きな「しこり」をドイツに残すことになった……。



 1908年、大日本帝国はアメリカ合衆国と協定を締結した。だが、その協定は決して平等ではなかった。とはいえ、一概に一方的に不利である協定とは言いがたかった。なぜならば……。
「大統領、本当によろしかったのですか……」
「仕方なかろう、あんな軍隊相手に我々が勝てると思うか?フィリピンやグアムが助かっただけマシだと思おうではないか」
 フィリピンの管理権こそ承認されたものの、ハワイ併合は違法、すなわち大日本帝国はハワイ王国の復古を支援することとなり、グアムとフィリピンはぽつんと大日本帝国の生存圏に取り残されたことになる。そして、ミッドウェー島やウェーク島などは大日本帝国の管轄下となり、アメリカ合衆国は太平洋から閉め出された格好になる。一方、大日本帝国にも不利な面は存在した。満州や遼東半島、朝鮮半島などの優越権こそ認められたものの、清とアメリカ合衆国の条約を許すこととなり、カリフォルニア州への移民も事実上の制限を強いられた。
 とはいえ、ハワイを経由せずに清へ向かうのは当時の常識を考えれば不可能に近くアメリカ合衆国の判定負けという格好になった。
 そして……。

「ではこれにて、ハワイ王国と大日本帝国の婚姻関係を締結いたします!」
 大日本帝国は、かつて申し込まれたハワイ王国との縁戚関係権をようやく履行した。事実上の、同盟関係であり並の条約よりもよほど有効であった。
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