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2話
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「ゆりちゃん、またきたよー」
お店の入り口を真っ直ぐ進むとキッチンカウンターがあり、その先にテーブル席が並んでいる。
キッチンの中でゆりちゃんはコーヒーを淹れていた。
「いらっしゃーい、お二人さん。
いつものでいい? 」
「うん。いつもの」
「おっけー、すぐ持ってくね。あ、奥の席だけ空いてるよ」
ゆりちゃんは元モデルだけあってスタイルが良くてさらには美人だ。
どうしてデザートを食べてるのに太らないのか不思議なぐらいである。
店内を見渡すと平日の昼間だというのにテーブル席はうまっている。
小さな子を連れてきている女性ばかりだ。
「優奈、あそこの席だね」
私は席を指差した。
いつもなら必ずうまっている席だ。
ちょうどお客さんが帰ったのだろうか?
席に座ると、隣の席からもドリスの話が聞こえてきた。
「昨日、ドリスでフランスに行ったのよ、そしたら……」
優奈は笑って、小さな声で私に言う。
「行ってないのに、行ったって言っちゃうんだね」
「しーっ、聞こえちゃうから」
優奈は少し舌を出してから微笑んだ。
どこからも聞こえるドリスの話。
CMでの影響や著名人も使っている事からいっきに普及した。
睡眠時間も増える事から体にも良いなどの話もでたけれど、短時間でも寝たことにしてくれるソフトもでたから余計に売れた。
仕事で忙しいサラリーマンにとっても朗報なのだろう。
もうCMもやっていないのに口コミだけで広がっている。
価格も手に入れやすいから中高生でも手に入れられる。
ただし、12歳以上ではないと使用は出来ないことになっている。
現実との境がつかないから?詳しくはわからない。
「ゆりちゃん、忙しそうだね」
「うん、夜まで仕事だし大変だよね」
「デザートやり始めた時はさ、暇だったからゆりちゃんともゆっくり話せたけど今じゃ全然話せる空気じゃなくなってきたね。まぁ、デザート美味しいしいいけど」
「そだね、あの頃と違って話してらんないよ。これだけお客さん来てたら」
その時、ゆりちゃんは笑顔でやってきた。
「おまたせー。はい、紅茶にコーヒーとそして、今日はクレマカタラーナ」
「え?なに、クレラ? 」
「クレマカタラーナ、スペインのデザートよ」
「へー初めて聞いた。美味しそう」
「あ、ほんとに?聞いたことない?今日は自信作、気に入ってくれるといいんだけど」
「じゃあ、早速いただきまーす」
「いただきまーす」
私は一口食べて、その美味しさにゆりちゃんの顔を見た。
「うまっ」
「うーーーーん、うまい」
「よかった。本当、二人とも美味しそうに食べてくれるから作り甲斐あるんだよね」
ゆりちゃんは嬉しそうに笑った。
この人は本当にみんなに美味しく食べてもらうのが楽しみなんだなって私は思う。
だって、ゆりちゃんならデザートに高い金額をつけても絶対お客さんが来るはずなのにそうはしない。
「ゆりちゃん、いっつも感謝。こんなに美味しいの食べれるなんて幸せだよ」
「ねーうちらマジで幸せ」
「かわいいこと言うわねー、こっちこそいつも来てくれて嬉しいのよ。美味しく食べてもらえるのが私の生き甲斐なんだから。二人のハマってる、ドリスじゃ味までは感じられないでしょ? 」
「ゆりちゃん、いい女。そだね、ドリスでは味わえないからね。って、ゆりちゃん、ドリスやってないの? 」
「いい女って、褒め方がおっさんか。私?私はドリスは使ってないよ」
「えーマジで? 」
「だってさ……ごめん、また後でね」
ゆりちゃんが話し始めようとした時、お客さんに注文で呼ばれた。
「ゆりちゃん、やっぱ忙しいね。てか、ドリスやってない事に驚いた」
「びっくりしたね。続きが気になる。
サービスでやってるから人も雇えないだろうしお客さんに呼ばれたら仕方ないね」
私達はデザートを口に運ぶたびに感動していた。
ゆりちゃんがドリスをやっていない理由はなんだろうか?
時々、ニュースになるドリスの引きこもりが増加している件?
それとも……。ゆりちゃんが引きこもる可能性は考えられないから別の理由か。
楽しいのになぁ、ドリス。
私は口にしなかったけれど疑問だった。
寝ている間に楽しめるのだから、素敵な事だと思うのに。
お店の入り口を真っ直ぐ進むとキッチンカウンターがあり、その先にテーブル席が並んでいる。
キッチンの中でゆりちゃんはコーヒーを淹れていた。
「いらっしゃーい、お二人さん。
いつものでいい? 」
「うん。いつもの」
「おっけー、すぐ持ってくね。あ、奥の席だけ空いてるよ」
ゆりちゃんは元モデルだけあってスタイルが良くてさらには美人だ。
どうしてデザートを食べてるのに太らないのか不思議なぐらいである。
店内を見渡すと平日の昼間だというのにテーブル席はうまっている。
小さな子を連れてきている女性ばかりだ。
「優奈、あそこの席だね」
私は席を指差した。
いつもなら必ずうまっている席だ。
ちょうどお客さんが帰ったのだろうか?
席に座ると、隣の席からもドリスの話が聞こえてきた。
「昨日、ドリスでフランスに行ったのよ、そしたら……」
優奈は笑って、小さな声で私に言う。
「行ってないのに、行ったって言っちゃうんだね」
「しーっ、聞こえちゃうから」
優奈は少し舌を出してから微笑んだ。
どこからも聞こえるドリスの話。
CMでの影響や著名人も使っている事からいっきに普及した。
睡眠時間も増える事から体にも良いなどの話もでたけれど、短時間でも寝たことにしてくれるソフトもでたから余計に売れた。
仕事で忙しいサラリーマンにとっても朗報なのだろう。
もうCMもやっていないのに口コミだけで広がっている。
価格も手に入れやすいから中高生でも手に入れられる。
ただし、12歳以上ではないと使用は出来ないことになっている。
現実との境がつかないから?詳しくはわからない。
「ゆりちゃん、忙しそうだね」
「うん、夜まで仕事だし大変だよね」
「デザートやり始めた時はさ、暇だったからゆりちゃんともゆっくり話せたけど今じゃ全然話せる空気じゃなくなってきたね。まぁ、デザート美味しいしいいけど」
「そだね、あの頃と違って話してらんないよ。これだけお客さん来てたら」
その時、ゆりちゃんは笑顔でやってきた。
「おまたせー。はい、紅茶にコーヒーとそして、今日はクレマカタラーナ」
「え?なに、クレラ? 」
「クレマカタラーナ、スペインのデザートよ」
「へー初めて聞いた。美味しそう」
「あ、ほんとに?聞いたことない?今日は自信作、気に入ってくれるといいんだけど」
「じゃあ、早速いただきまーす」
「いただきまーす」
私は一口食べて、その美味しさにゆりちゃんの顔を見た。
「うまっ」
「うーーーーん、うまい」
「よかった。本当、二人とも美味しそうに食べてくれるから作り甲斐あるんだよね」
ゆりちゃんは嬉しそうに笑った。
この人は本当にみんなに美味しく食べてもらうのが楽しみなんだなって私は思う。
だって、ゆりちゃんならデザートに高い金額をつけても絶対お客さんが来るはずなのにそうはしない。
「ゆりちゃん、いっつも感謝。こんなに美味しいの食べれるなんて幸せだよ」
「ねーうちらマジで幸せ」
「かわいいこと言うわねー、こっちこそいつも来てくれて嬉しいのよ。美味しく食べてもらえるのが私の生き甲斐なんだから。二人のハマってる、ドリスじゃ味までは感じられないでしょ? 」
「ゆりちゃん、いい女。そだね、ドリスでは味わえないからね。って、ゆりちゃん、ドリスやってないの? 」
「いい女って、褒め方がおっさんか。私?私はドリスは使ってないよ」
「えーマジで? 」
「だってさ……ごめん、また後でね」
ゆりちゃんが話し始めようとした時、お客さんに注文で呼ばれた。
「ゆりちゃん、やっぱ忙しいね。てか、ドリスやってない事に驚いた」
「びっくりしたね。続きが気になる。
サービスでやってるから人も雇えないだろうしお客さんに呼ばれたら仕方ないね」
私達はデザートを口に運ぶたびに感動していた。
ゆりちゃんがドリスをやっていない理由はなんだろうか?
時々、ニュースになるドリスの引きこもりが増加している件?
それとも……。ゆりちゃんが引きこもる可能性は考えられないから別の理由か。
楽しいのになぁ、ドリス。
私は口にしなかったけれど疑問だった。
寝ている間に楽しめるのだから、素敵な事だと思うのに。
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