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なぜ読まれない文章でも、読者を意識する必要があるのか?

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 誰にも読まれない文章にも、再読される機会はある。それは、著者自身によってである。
 人は、五年後、十年後で大きく変わる。日記を見ない限り、三年前の自分が何をどこまで書いていたかなど、まるでわからない。
 自分本位で書いた作品を、未来の自分が読んだらどう思うだろうか?
 答えは、「そもそも読めたものではない」である。
 執筆したとき、脳内で補っていたしていた文章が、すっぽりぬけいる。思考も、執筆熱に浮かされていないので、クリア。作品や、登場人物への思い入れも、薄れている。執筆時にかき集めた前提知識は、とうの昔に忘れている。趣味趣向も価値観も、ちがう。目も数段肥えている。そんな未来の自分が、今の自分の文を読んだらこう言うに決まっている。「はずかしくて、読めたものではない」。
 読者である未来の自分は、ほとんど他人だ。他人が読む以上、読者への配慮が必要になる。読まれることを意識していない「今、この瞬間の自分」本位の作品。人はそれを、黒歴史と呼ぶ。
 あなたが自分の作品を見捨ててしまったら、誰があなたの作品を愛するのか? そんな悲劇を防ぐために、他人に見られることを前提として、文章を書く必要がある。
 それに、何らかの事故で、本当の意味で、作品が他者に読まれる可能性もある。あの清掃員の作品ですら人目につくことがあったのだから、人生何があるかわかったものではない。
 「今日死んでも悔いはない」ように生きつつ、「今日死ななくても後悔しない」ように生きる。どちらも重要だ。同じように、「誰にも読まれなくても悔いはない」よう執筆しつつ、「誰かに読まれても後悔しない」ように執筆する必要があるのだ。
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