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第2章
10.初体験
しおりを挟む花壇に理斗はいなかった。
花壇の近くには、中等部の校舎があった。
中等部の生徒たちは、その日校外学習で出かけていた。
もしかして…
龍我は中に入る。
ひとつひとつ教室を見ていく。
理斗はいない…
が、奇妙な空気が漂ってくる。
ヤバい。
龍我は恐怖を感じながらも足を進めていく…
階段を上がって、最上階。
廊下の一番奥のところの教室まで来て…
ここに理斗はいる。
おかしくなりそうな何かに包まれて、龍我は確信する。
中に入る。
教室の端にしゃがむ理斗がいる。
真っ赤な顔で、苦しそうに息をしている。
怯えながらも、うっとりした瞳で龍我を見る。
発情期だ…
龍我は思う。
「理斗…フェロモンの抑制剤が切れたんだね…」
龍我の言葉に理斗はビクッとなる。
「こんなこと今までなかった…お母さんの言うとおりにしてたら、何も気にせずに普通でいれたのに…」
理斗の目から涙が零れる。
「成長したらフェロモンも増えるらしいから…なんで保健室に行かなかったの?」
「αが沢山いる廊下を通るのが怖くて…」
αが怖い、という言葉にαの龍我はたじろぐ。
でも、理性が吹き飛ぶほどの本能が龍我を支配していく。
理斗の両肩を掴んで、半ば強引に口づけする。
「ん…んっ…」
嫌がるかと思ったけど、されるがままに受け入れた。
初めてのキスなのに、2人とも余韻に浸る余裕もない。
「龍我ぁ…」
甘い声で理斗が言う。
欲望と恥じらいがせめぎ合い、身体を捩って耐えている。
龍我は理斗のシャツのボタンを外して開く。
中のTシャツをめくり、胸の突起を指で撫でる。
「やっ…」
言葉では拒否したけど、身体は求めているのが分かる。
「理斗…」
龍我の唇が突起に触れる。
「ああっ…やっ…」
さっきよりも強く拒否する。
手で龍我の肩を押す。
その力に負けずに両胸の突起を舌で撫でていく。
「あっ…あんっ…あん…んっ…」
少しずつ理斗が崩れていく。
本能が理性を溶かしていく。
理斗の腰が誘うように揺れる。
龍我は邪魔な服を下ろして、下半身を露わにさせる。
腹を下にして、うずくまるような体勢にさせる。
「理斗…」
大きく膨らんだ理斗の自身。
その手前で愛液を溢れさせている理斗の穴…
その穴に指を入れると中がヒクつく。
「あぁ…っ」
龍我を見つめる理斗の目は蕩けきっている。
理斗は今までΩらしいところは一度も見せたことがなかった。
隙のない美しさと隙のない能力の高さを当たり前のように見せていた。
影では相当努力していたのだろうけど、それは全く見せなかった。
龍我にも、きれいなところしか見せてこなかった。
でも、今、目の前にいるのは…
本能に囚われた、ただのΩの雄に過ぎない…
堕ちた獣。
その姿に圧倒されて…
龍我は覚悟を決めて最後の理性を手放す。
自分もαの雄に堕ちきるのが、今の理斗に対する誠意だと思ったから。
モノを理斗に入れる。
「ううっ…!!」
初めてモノを受け入れる理斗の中は狭い。
それでも、温かい液と肉壁が包み込む。
「龍我ぁ…あんっ」
「もっと気持ち良くさせたげる」
龍我は腰を振って奥に入っていく。
色々な場所を突き、擦りながら。
腰を動かしながら、理斗は喘ぐ。
「あん…ああっ…あんっ」
「はあっ…はあっ…」
もうすぐイくという予感を胸に、龍我はさらに激しく奥を突いていく。
「はあん…っ…!」
「あっ…!」
急に理斗の中が締まった。
慌てて龍我はモノを抜く。
床に白濁液が落ちる。
「龍我…」
荒い息を吐きながら龍我を見つめる理斗。
「理斗」
抱きしめると、理斗は泣きじゃくりながら龍我を求める。
龍我も身体の震えが止まらない。
圧倒的な快楽の記憶と、もう元の2人には戻れないという確信が胸を過ぎる。
誰もいない教室の隅で。
2人は互いのことを刻み付けるようにキスをした。
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