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第三章 王家との対立

第34話 旅は道連れ、世は直せ。

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 のんびりと街道を、王都に向け進んでいるが、いつの間にか人数は三千人を超えている。
 途中の荘園で、迫害されている亜人を見つけては、勝手に領主の館を壁で、出入り口すらなく、きっちり囲んであげたり。うむ、外は危険だからな。

 水を与えず、鞭うちしていたところでは、館の周りを深く彫り込み。まず、堀を作り、少し考え拡張して池の中に置くという工事をしてあげて、雅な屋敷にしてあげた。その代金かわりに頂いてきた。
 むろん橋は、オプションだから造ってはいない。
 そのうち、噂が広がり、『たすけてー』が聞こえるたび、押しつけ工事を行っている。

 まあ、そんな事をしていると、当然王国軍がやってくる。

 騎士達が、五十騎以上。
「やあやあ我こそは」
 では無く。
「おーい。そこの集団止まれ」
 と、以外と軽い感じで言ってくる。
 いきなり、けんか腰でもないようだ。

「代表者は誰だ?」
 そう言われて、キョロキョロするが、俺以外は、俺を見ている。
「おまえだな。キョロキョロしても、皆がおまえを見ている。どこの荘園から逃げ出した」
 そう聞かれて覚えはないし、だが説明が面倒なのはこの数日で理解した。ダメ元で、ギルドカードを出す。

「ぬっ、ギルドカードの詐称は大罪…… 後見人が、ミクス・マーキス・ハウンド侯爵だと。少し待て」
 いつの間に、後見人など入力されたのだろう。
 後ろから来た騎士が、見たことのある石板を出してくる。
 カードを重ねて、魔力を流すと光るよね。うんうん。確かそうだった。
「なっ本物。それに、商業ギルドから呼び出しが来ているではないか。まだブルーだがさっさと出頭せねば」
 説明してくれたから乗ってみる。

「じゃあ、行って良いですか?」
「待て、この者達は、どういう関係だ?」
「仕事をして、未払い料金の代わりに頂きました」
「ではおまえの持ち物か、問題ないように管理をしろ。奴隷の罪は、主人の責任だ」
 そう言うと、カードを返してくれて、王都に向けて皆帰ってしまった。


「隊長、あの集団でしょ。奴隷解放軍とか呼ばれている奴。噂が流れて、各荘園の奴隷達が浮き足立っているし、貴族達も怖がっているって言っていましたよ」
「だが、見ただろう。あのギルドカードは本物。後見人は侯爵だぞ。商業と、ハンター両方が金だ。規定ではあいつ自体が、男爵相当だ」
「ちっ。亜人のくせに」
 副官が、舌打ちをする。

「王都に到着すれば、絶対に騒動が起こる。人を付けておけ」
「はい」
 その命令を聞いて、その騎士はにやっと笑う。
 三人ほど呼び止め、彼らは騎士団の紋章が付いた自身の鎧を脱ぐ。
 それを、他の部下に持たせて帰らせる。

「無茶はするなよ」
 隊長の騎士は、皆を引き連れ再び帰り始める。


 その頃俺は、困っていた。
 さすがに人数が多い。どこかで腰を落ち着けて、農業でもしないと、食料がキツいな。田舎じゃ、俺達には売ってくれないし、町ならギルドカードが効くかな。
 そう言えば、カードの商業側が青く光っている。

「町に行くか」
 そうぼやきながら、広島風お好み焼きぽいもの、そば抜き肉キャベツのみをひたすら作っていく。
 まあ、ある程度作れば、皆がまねして作り始める。
 その辺りは楽だ。

 しかし予想以上に膨らんだ人数は、どんどん首を絞める。
 あれだけあった食料が、どんどんなくなっていく。

 小麦粉は、武器にもなるため大量にあるが、うどんと、ラーメン。
 ローテーションで作っているが、他の材料が欲しい。

 次の町、そう思って、先を急ぐと王都でした。
 門番が、教えてくれた。
「亜人がなんのようだ? どこかからの使いか? なら渡すから中には入るな。ここは王都だ、普通の町とは違う」
 そんな感じで。

「すみません。どうしても入らないと行けない用事がありまして、そこを通してくだしゃんせ」
「どこのなまりだ? その大量の亜人はなんだ?」
「ああ彼らは、入りません。私だけでございます」
 そう言いながら、ギルドカードを見せる。

「ほら、呼び出しで、そこに見えているギルドまでですので」
 門番は、ぐぬぬという感じだが、金色が効いたのか返事をしてくれる。
「おまえだけだ。他は入るな」

 振り返って、代表者に通達。
 面倒だから、人種事に代表を決めた。
 少し戻った所に、空き地があったのでそこで待っていて貰う。

「ほら行くぞ」
 付いてくるようだ。

 だけどね、ギルドでも対応がくそだった。
「あん? 亜人が会員? ちっ、カード、それと魔力を流せ」
 ぼわっと光り、カードが二枚に分かれる。
 ハンターは金のままだが、商業は白金。一般会員では最高位。

「なっ」
 驚く受付の狐獣人と、もう一つ出てきたプレート。
「ち、ちょっと待って、いえ、少しお待ちください。ギルド宛ての通知が来ていますので、マスターに面会して確認いたします」
 そう言うと、受付は、一目散に後ろ側の階段を駆け上がる。
 待たされながら考える。銀級以上は、個室対応のはずだが一般受付。
 王都だけが、対応が違うのか?
 聞いてみるか。

 その頃、三人の馬に乗った奴らが、悪意を持って亜人の集団に近付く。
 それを切っ掛けに、道照の怒りに触れ、怒ると怖い日本人の血が蘇る。
 いやまあ、ちょっと王様が死にかかり、制度が少し変わっただけだが。

 その日の、王都は、穏やかな良い天気だった。
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